リキッドバイオプシーが保険適用に

血液を検体として検出する「遺伝子パネル検査」を8月から保険適用

先日の膵臓がん患者と家族の集い Web 交流会で参加者の方からの情報の提供がありましたが、がん遺伝子パネル検査で使われるリキッドバイオプシーが8月に健康保険に収載され、9月1日から保険適用で使用することができるようになります。

「8月2日より医療機関からの検査受付」に修正

中外製薬は8月2日、固形がんに対する包括的ゲノムプロファイリング(CGP: comprehensive genomic profiling)を提供するリキッドバイオプシー検査である「FoundationOne® Liquid CDx がんゲノムプロファイル」について、8月1日より保険償還が開始され、2日付で発売したと発表した。

当社の連結子会社である株式会社エスアールエル(代表取締役社長:東 俊一、本社:東京都新宿区、以下「SRL」)は、国内初となる血液検体を用いた固形がんに対する包括的ゲノムプロファイリングとコンパニオン診断機能を併せ持ったがん遺伝子パネル検査「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」(以下、本検査)について、本日(8月2日)より医療機関からの検査受託を開始いたしましたのでお知らせいたします。

バイオプシーとは生体材料検査、略して生検のことです。特殊な針や内視鏡を用いて臓器組織の一部を採取し、主にがん組織の切片を顕微鏡で病理組織学的に検査する方法です。

しかし膵臓など身体の深部にある臓器の場合は簡単に臓器組織を採取することができません。手術ができた場合はそのサンプルをプレパラートなどで保存している場合があり、病院からの提供を受けて遺伝子パネル検査に回すことができます。しかしその量は限られております。

そこで血液や尿などの液体の中にあるがん組織を網羅的に検査する方法が開発されました。それがリキッドバイオプシーです。

がんゲノム医療の流れ

がんゲノム医療は、大きく次のような流れで提供されます。

  1. 患者の遺伝子情報・臨床情報を、「がんゲノム情報管理センター」(C-CAT)に送付する
  2. C-CATで、送付されたデータを「がんゲノム情報のデータベース」に照らし、当該患者のがん治療に有効と考えられる抗がん剤候補や臨床試験・治験などの情報を整理する
  3. がんゲノム医療中核拠点病院・がんゲノム医療拠点病院の専門家会議(エキスパートパネル)において、C-CATからの情報を踏まえて当該患者に最適な治療法を選択し、これに基づいた医療を提供する
がんゲノム医療の流れと、C-CATの役割
産学官連携でがんゲノム医療を推進するコンソーシアム

(1)の「患者の遺伝子情報の解析」については遺伝子パネル検査として次の二つが保険適用されています。

(A)FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル
(B)OncoGuide NCC オンコパネル システム

FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイルが追加

さらに今般、(A)の改良版とも言える、新たな遺伝子パネル検査FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイルを保険適用することが中医協総会で了承されました。

「特例として、当該医療機器の保険適用を決定した月の翌月1日からの保険適用とする」とされており、8月に保険収載予定なので、9月1日から使用できます。

使用目的
  1. 本品は、固形がん患者を対象とし、全血検体を用いて腫瘍の包括的なゲノムプロファイルを取得する。
  2. 本品は、下表の医薬品の適応判定の補助を目的として、対応する遺伝子変異等を検出する。

が掲げられており、包括的なゲノムプロファイルを取得する他に、固形がんのNTRK融合遺伝子に対するエヌトレクチニブの適応判定(コンパニオン診断)にも用いることができます。

FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」および「メドトロニック Vanta PC」に関する中医協資料はこちら

算定条件

血液を検体とする場合については、以下に掲げる場合にのみ算定できる。

  • 医学的な理由により、固形腫瘍の腫瘍細胞を検体としてがんゲノムプロファイリング検査を行うことが困難な場合。この際、固形腫瘍の腫瘍細胞を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
  • 固形腫瘍の腫瘍細胞を検体として実施したがんゲノムプロファイリング検査において、包括的なゲノムプロファイルの結果を得られなかった場合。この際、その旨を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

膵癌患者には朗報

遺伝子パネル検査を行っても、最適な治療薬が投与された患者は検査受験者の8.1%しかおりません。膵臓がん患者の場合はさらに少ない印象があります。

しかし手術ができず、腫瘍の細胞を検体として取得できない膵臓がん患者さんにとっては、選択肢が一つ増えるという意味では朗報です。

超音波内視鏡下穿刺吸引法 (EUS-FNA)で胃から膵臓の組織を取ることもできますが、がん細胞を胃壁などに転移させる危険性が指摘されています。リキッドバイオプシーならその危険性はありません。

さらに言えば、膵臓がんと確定診断がされた時点で遺伝子パネル検査にアクセスできることが望ましいと言えます。


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