今日の一冊(72)『ダメな統計学:悲惨なほど完全なる手引書』

統計学と聞いて、スルーしようと思った方、少し待ってください。この本には一切数式は出てきません。統計学がいかに誤って用いられているか、医者がどれほど統計学を知らないか、そのために間違った治療法を選んでいるかなど、がん患者にも大いに関係のあることが書かれています。

ダメな統計学: 悲惨なほど完全なる手引書

ダメな統計学: 悲惨なほど完全なる手引書

アレックス・ラインハート
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科学者の統計に対する理解がどれほど不足しているかを示す例として、本書『ダメな統計学:悲惨なほど完全なる手引書』では、医学研修生に対する調査があげられている。この調査では、研修生は医学分野でよく使われている統計手法に対してすら50%以下の正答率でしか回答することができなかったという。また、医学校教授陣でも正答率は75%未満だった。しかし何より統計教育の不備を端的に示しているのは、上記の統計に関する調査を作成した人も統計をきちんと理解できておらず、p値の意味を問う選択式問題に誤った選択肢しか回答として用意できていなかったことだ。

一般のニュースでも見聞きするようになったp値や「統計的に有意である」という言葉が、本当は何を意味するのか、というところから始めてくれる本書は、絶好の統計入門書である。統計学はいまやあらゆる科学や医学の土台となっている。がん医療はエビデンス主義であり、統計学抜きには語れないはずである。

ところで、本書に取りあげられている以下の質問に正しく答えられるでしょうか?

フィクシトルとソルヴィクスという二つの薬を試験しているとしよう。対象者はそれぞれの薬を服用した後、体力テストをした。単純な有意差検定で、テストの平均点を比較し、P=0.01を得た。当然二つのグループの平均には統計的有意差があることを示唆している。(慣例的にP<0.05を統計的に有意差があると考える)

以上の前提のもとで、下記の項目の正誤を判定してください。

  1. 帰無仮説(「平均に差がない」)が誤りであることを完全に示した。
  2. 帰無仮説が真である確率が1%ある。
  3. 対立仮説(「平均に差がある」)が正しいことを完全に示した。
  4. 対立仮説が正しい確率を導き出すことは可能である。
  5. 帰無仮説の棄却を決めた場合、その判断が間違っている確率が分かる。
  6. もし何度も実験を繰り返した場合、繰り返された実験の99%で優位な結果が得られるという意味で、信頼のおける実験結果が得られた。

6なんか、よく聞かされる解釈ですね。

「体力テスト」を「生存期間」や「生存率」に置き換えてもらえば、より身近に感じられるでしょう。

p値は非常にわかりづらい概念ですね。多くの医者も取り違えているから、議論がかみ合わない。p値を元にした統計的に有意差があるというエビデンスも、間違って解釈していると悲惨です。

上の項目は・・・全て× !間違っています。


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