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今日の一冊(51)『「がん」では死なない「がん患者」』

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がん患者の多くは餓死している

久しぶりの「今日の一冊」で、先日デジタル断食の際に読んだ本です。がん患者はがんではなくて餓死するのだと、長尾医師や梅澤医師もよくブログに書いていますね。ただ、がん患者の栄養についてきちんと書かれた本は多くはありません。なかには「四足動物の肉はダメ」だのと、なんら根拠のない説を披露する方もいます。

<内容紹介>
がん患者の多くが感染症で亡くなっている。歩いて入院した人が、退院時にはなぜか歩けなくなっている。
入院患者の3割は栄養不良――。まさに「病院の中の骸骨」とも言うべき高度栄養障害の患者がたくさんいる。こうした実態の背景には、栄養管理を軽視してきた、日本の病院の驚くべき「常識」があった。
人生最後のときまで食べたいものを食べ、がんを抱えてでも、本来の寿命まで元気に生き抜くことはできる。
そのために、私たちが知っておきたいことは何か。超高齢社会において、医療はどう変わらなければならないのか。

<目次>
序章 病院で「栄養障害」がつくられる
第一章 がんと栄養をめぐる誤解
第二章 症状や病気がちがえば栄養管理も異なる
第三章 老いと栄養
第四章 栄養についてもっと知る
終章 食べて治す

がんで入院しても、がんで亡くなる患者はたった2割です。8割の方は感染症で亡くなっています。なぜ感染症に罹るのか、それは栄養障害によって免疫機能が低下しているからです。

栄養素のバランスが崩れた結果、代謝障害が起き、身体機能に支障が出ます。免疫機能もそのひとつで、健康人なら問題のない弱い菌にすら感染して、回復できずに亡くなるのです。

栄養状態の良いがん患者の最期はおだやか

著者らの調査によれば、余命一ヶ月のがん患者の82.4%は栄養障害に陥っていました。適切な栄養管理をしてもこれ以上よくならなかった患者はわずか17.6%でした。そして適切な栄養管理を受けた患者は、がんそのもので亡くなるのですが、その最期はとてもおだやかでした。

がんの兵糧攻めは効果がない

栄養を摂るとがん細胞が大きくなる。だからがんを兵糧攻めにするためには栄養を摂らない方が良い、と考えが、医療者にもあります。これはまちがいです。

がん細胞は栄養が取れなければ、炎症性サイトカインを放出して、タンパク質の代謝を異常にして、筋肉などを溶かすようにして栄養を集めて大きくなるのです。食べて栄養を摂らなければ、がん患者はあっという間に栄養障害になり、やせ細っていきます。感染症で亡くなるのです。

「栄養を摂るとがん細胞が大きくなる」との考え方は、その栄養が私たちの身体から奪われているという事実を無視しているわけです。

私も術後の初期には肉類を控えていたのですが、すぐに止めましたね。体力がなければがんと闘えないと気づいたから。

タンパク質、糖質、脂質の三大栄養素のなかで、タンパク質が不足すると筋肉量が減少します。足りない栄養を補うために筋肉を消費してしますのです。歩けない、立てない、座れない状態になるのです。

血液中のタンパク質が減少すると免疫細胞を作れずに免疫機能が低下するのです。これじゃがん細胞と闘う兵隊を補充できなくなります。

身体を弱らせないための栄養素
ビタミンB1、コエンザイムQ10、L-カルニチン、BCAA(必須アミノ酸のうちバリン、ロイシン、イソロイシンを指す)、クエン酸や、著者の開発した栄養剤GFOについても紹介されています。

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多くの医者は栄養学を知らない

医学部の教育課程には栄養学はほとんど取り入れられていません。だからほとんどの医師が栄養に関しては素人同然なのです。

アルブミン濃度が低いほど副作用が大きく、抗がん剤、放射線治療の副作用を低減させるためにも栄養が大切です。味覚障害を改善するには亜鉛、銅などのミネラルやビタミン全般を摂ることも必要です。

膵臓がん患者の例もいくつか紹介されています。

等々、がん患者の栄養に関することを丁寧にかつ科学的に解説している良書です。

ゲルソン療法の危険性

これを読めばゲルソン療法の危険性がよりはっきり分かります。

決定版 ゲルソンがん食事療法

決定版 ゲルソンがん食事療法

シャルロッテ・ゲルソン, モートン・ウォーカー
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ゲルソンの娘であり、シュバイツアー博士の主治医でもあったシャルロッテ・ゲルソンの『決定版 ゲルソンがん食事療法』の12章に驚くようなことが書かれています。

どの程度であれ、また最後に受けた抗がん剤治療からどんなに時間が経っていようとも、化学療法を受けたことのある患者が、基本のゲルソン療法のまま忠実に実行することは大変危険である

そこで修正版の済陽式や星野式のゲルソン療法が登場します。ひまし油は禁忌だ、人参ジュースは作用が強いから一日に3杯飲まないように。とてもじゃないが信じられませんね。

12章の最後の段落にはこんな記述もあります。

膵臓がん患者で、以前に化学療法を受けたことがある場合には、残念ながらゲルソン療法でも良い結果が出せない。抗がん剤で膵臓があまりに激しく損傷を受けるからである。

膵臓がん患者がゲルソン療法で治りたければ、抗がん剤は一切止めなさいということですね。ゲルソン療法で治った膵臓がん患者の話は聞いたことがない。

「がんの悪疫質だからしょうがない」の多くは、実は栄養障害による飢餓状態なのですね。がん患者の多くは餓死しているのです。


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今日の一冊(51)『「がん」では死なない「がん患者」』” に対して2件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    ひぃさん。
    暑中見舞ありがとう。返信はしませんが。
    味覚障害にも栄養学的処方が有るのですが、腫瘍内科医には無理でしょうね。
    進んだ病院には全科型栄養サポートチーム(NST)があるのですが。
    暑いですから、お母さまもご自愛を。
    貴方もあまり夫婦間のストレスを溜めないようにね。

  2. ひぃ より:

    こんばんは。
    低栄養の怖さはまさしくこの通りです。
    母のような状態になると
    無理矢理食べろと言っては悪循環になったり
    困ったもんです。
    やっと最近、お腹がすく様になったといい始め前より食べてもアルブミン2.6。
    浮腫みもひどく立ち上がりも困難ですが
    少しでも良い方向に向かっているので少し安心しています。
    味覚障害も低栄養の方に多い気がしますね。
    とても勉強になる更新、楽しみにしています。

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