膵臓がんのステージはどのように決める?
沖縄県知事の翁長氏が膵臓がんの摘出手術を終わって記者会見しました。なによりも、手術が出てき成功したことにおめでとうと言わせてもらいます。
ネトウヨの諸君が、「先は長くないね」とか「反日は〇ねばよい」などとしゃべっているが、見苦しいね。低俗です。
ま、それはともかく、写真を見ると激やせです。でも、膵がんの術後はそんなものでしょう。がんのために激やせしたわけではなく、消化器系の手術後は体重が急速に落ちます。
私の場合も、術後の体重測定では毎日500gずつ落ちました。退院時には20kgも減量し、ダイエット効果抜群でしたね。
報道では、ステージⅡだったとされていますが、膵癌にステージⅡはありません。ステージⅡA、ⅡBのどちらかです。
琉球新報の記事が詳しいので転載します。
病理検査の結果、膵臓(すいぞう)に見つかった腫瘍は悪性で、進行度が「ステージ2」の膵臓がんだったことを公表した。
2~3センチ大の膵臓の腫瘍を切除した。
その上で、膵臓以外の臓器には腫瘍はなく、主要部を切除したと説明した。今後、再発や転移を抑える治療を行う予定を示した上で、「1日も早く公務に復帰し、私に与えられた知事としての責任を全うしたいと考えている」と体力の回復を進めながら公務復帰への意欲を語った。
がんの転移については「膵臓周囲のリンパ節にひとつ確認されたが切除された」と説明。12月までの任期を全うするため治療に全力を挙げて公務復帰を目指すとした。
- 他の臓器への転移はない
- 大きさは2~3センチ
- 周辺リンパ節へ1個の転移がある
この3つが分かれば膵臓がんのステージが決まります。「がん情報サービス」のサイトで確認できます。
腫瘍がどの部位にあったのか、膵頭部か膵体部かは書かれていません。
膵癌の病期分類は2016年7月に改定されている
2016年7月に、日本膵臓学会の膵癌取扱い規約が改定されて、病期分類が概ねUICC基準に合わせるようになりました。
これ以前に診断された患者さんは、下の図の旧分類で告知されています。ただ、この頃には病院、医師によって旧分類または新分類での告知が混在しているようです。
![](https://i0.wp.com/cancer-survivor.jp/images/pancreatic.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2016/09/27/pancreas02_2.gif?w=750&ssl=1)
2016年7月以前の旧分類
2016年7月以降の新分類では次のようになっています。
膵臓がんの病期は、日本膵臓学会が定めたもの(表1)と、国際的に使われている「UICC分類(表2)」とで内容が多少異なるため、両方が使用されています。
リンパ節への転移が4個以上の場合、日本膵臓学会の基準ではⅡBですが、UICC基準ではⅢになります。
これに照らすと、翁長氏は膵臓がんのステージⅡBに該当します。ⅡBとⅢには、手術できる場合とできない場合のボーダーライン層があり、翁長氏は幸いにも手術できました。
がん統計から、2006~2008年診断例の5年相対生存率を見ると、10.2% です。最近ではたぶん20%ほどにはなっているでしょう。
今後は再発予防のための抗がん剤治療になるでしょうが、頑張って健康を大切にして欲しい。
普天間基地の移設問題は、がん患者の翁長氏としてはたいへんなストレスだと思います。どのように対処するのか、知事選に出るのかでないのか、結局は翁長氏の価値観・何が大切なことなのか、によって判断するしかないのでしょう。