丸山ワクチンと膵臓がん
4月に「膵臓がん患者と家族の集い」で講演をしてくださる予定の森省歩氏は、2012年に大腸がんのステージⅢaで手術をされましたが、中間リンパ節に2ヶ所の転移がありました。ジャーナリストという職業柄、抗がん剤をしないで丸山ワクチン(SSM)だけで経過を観察中で、6年半を経過しているのです。
では、丸山ワクチンの膵臓がんに対する効果はどうなんでしょうか? もちろん、確かな臨床試験によるエビデンスはありませんが、日本医科大学付属病院ワクチン療法研究施設のサイトに、丸山ワクチンを使用した患者数が紹介されています。
患者数は1979年4月~20012年3月の登録数)
5年以上使用している患者が約4%(3.96%)です。丸山ワクチンを希望する患者は、いわゆる標準治療や他の代替治療で効果がなくなった患者が大多数ですから、ステージⅣの患者が多くを占めているものと思われます。
さらに言えば、丸山ワクチンを投与することによって、抗がん剤の副作用を低減する効果が期待できるので、無理なく抗がん剤を続けることも可能になります。それによってより延命効果が期待できるとされています。
この簡単なデータだけでは確定的なことは何も言えませんが、他の代替療法とは違って、母数が公開されていることで、少しは判断の材料になるでしょう。
それにしても、他の癌腫に比較して膵臓がんや胆道がんは成績が悪いです。
皮下注射とはいえ、一日おきに注射をしなければならないのが面倒で、がんの末期になってから治療を考えることが多いのですが、もっと初期の段階から試してみれば、よりよい効果が得られるのではないかといわれています。
うーん、この数値を信じないわけではないですが、どうも僕の感想はキノシタさんの文章とはちょっと印象が違います。
> ステージ4の膵臓がん患者の5年相対生存率は1.4%程度と言われますから、丸山ワクチンに驚くような効果は期待できないにしても、ある程度の効果は認められるのではないでしょうか。
僕にはこのようには読み取れませんでした。
まず、表欄外にある・・・
*ワクチン使用者のうち30%以上は1クール(40日)内で終了しているというデータもあります。
をどのようにデータとして扱うのか?です。
当然、追記部分の・・・回復や追跡困難をどうデータとして扱うのかも問題です。
仮に、母数が30%を含んでいないとして再計算すると、528/(8343/0.7)=4.43% 330//(8343/0.7)=2.77%
となってしまいます。
この差をどうみるのか?
で、仮に、その30%母数が少ないこと(マイナス要因)と、回復で中止した分(プラス要因)の両方を考慮しなかったとしてで述べます。
ステージ4で、丸山ワクチンの使用開始が診断直後だとすれば、確かに330/8343 3.96%は、1.9%を上回っていますが
おそらくそうではなくて、1年後、2年後というのが実際でしょう。
そうすると、全体から言えば、1年後の生存率(50%位)から3年・5年、2年後の生存率(25%位?)からの3年・5年となります。
例えば、2年後の生存率が25%だとすると、そこから3年後の生存率は、元から言えば5年。
丸山ワクチンを診断2年後から使いはじめたとすれば、25%の患者の6.33%、つまり大元の1.58%となってしまいます。
この公表データから、丸山ワクチンを否定するつもりはありません。
ただ、キノシタさんが書かれている記事の理屈にはなっていないと思います。
FIT393さん。
鋭い指摘、ありがとうございます。
母数の8343人は、ワクチンを受け取った患者数という解釈をすれば、0.7で割る必要はないと考えます。
1クールで離脱した方も、2~3クールで離脱する方もいるでしょうから、そうした方すべてを考慮することは、数値も明らかでないから不可能ですね。これらの方がすべて亡くなったと仮定すれば、生存率曲線と同等の考え方が適用できそうです。その場合には0.7で割る必要もなくなります。
ただ、問題は、
>おそらくそうではなくて、1年後、2年後というのが実際でしょう。
>そうすると、全体から言えば、1年後の生存率(50%位)から3年・5年、2年後の生存率(25%位?)からの3年・5年となります。
と書かれているように、2年、3年と生存した患者が登録しているとすれば、予後の良い患者が集まっている、つまりバイアスのかかった数字ということになります。その意味では、膵癌患者全体の5年生存率と比較するのは適当ではなかったと思います。FIT393さんの指摘通りです。
一方で、これから丸山ワクチンを考えている患者も、告知から2年、3年以上経った、比較的予後の良いと思われる患者でしょうから、この数字は参考になるはずです。
手術ができた方、できなかった方も混ざっているのでしょうから、この数値だけでワクチンの効果を述べることは重々適当ではないと考えますが、これ以外にデータがない状況で、大きなバイアスや誤差を覚悟で考えてみた結果です。印象としては、費用対効果も考えれば「悪くはないね」でしょうか。
巷の免疫細胞療法とは違って、母数を出しているだけでも、少しは参考になる情報ではないかと考えます。
現在進んでいる「アジア・トライアル」の結果が注目されます。
ああ、0.7で割る意味をちょっと理由飛ばしてしまっていました。
表の冒頭に、
>使用期間30日未満は除く
とあります。それと、前述の
>ワクチン使用者のうち30%以上は1クール(40日)内で終了
の二つの記載から、
使用期間30日未満として除かれているのは、当然3年使用者や5年使用者ではないので、母数団。よって、表の母集団が受けとった人全体ではないです。
そして、終了していることが判っている(おそらく、薬を渡す時点で1クール分だろうし、その後に実際に投与していない側が終了していると認識しているのは、「やめました」の連絡が来ている)ということで1クール使用とほぼ変わらないと判断しました。
そうすると、30%は母数に含まれていなかったと判断するべきかな?と。
ただ、そういう想像部分は根拠がないので、そのまま母数を扱って比較することを考えました。(母数を大きく調整しない=良い結果になる)
もうひとつ。
返信で、予後が良いバイアスと書かれていますが、それは違います。単に0年からの割合との比較を数度に置き換えた場合の計算方法が違うので、ということです。
対象を逆に見て、
仮に5年生存率で言う2年経過後の(25%位?)から、5年生存率5年目(1.9%)は、単に1.9 / 25 =7.6%
2年生存率の3年目・・・つまり表で言う6.33% とどう比較するのか?
ということになります。
繰り返しますが、僕はこの計算によって丸山ワクチンを否定するつもりはないです。
データを提示しているのは正直なことだと思います。そこに誠意も感じます。
FIT393さん。
やはりこのデータから何かを言うこと自体に無理がありますね。
仮定に仮定を重ねなければ、数値解析もできません。
無いよりはましというレベルのデータですので、記事を修正しました。
こんばんは!
本年もよろしくお願い申し上げます。
お江戸で、MYUさんにお会いしました・・不思議なことに約束の時間よりかなり早く、たくさんの人がいるのに、すぐにわかりました!
丸山ワクチンのお話もして、希望なら、早いうちに手続きはしておかないと最初ちょっと手間なので、そして注射を受ける先生の確保も場合によっては必要なので話だけでも聞いてみてはとお話しました。
以前、婦人科がんの治験をやっていましたが、アレは某製薬会社のスキルの問題もあって承認は厳しいですね。ただ、その時の患者さんもご存命ですし、心の平安のためにやるのも悪くはないかなと思います。もし自分なら試すのではないかと思います。
MYUさんが「尊敬する彼女に会いに行く」と仰ってましたが、金魚さんのことだったのですね。
婦人科がんの治験ではP値がたしか0.07で有意差が証明できなかったのでした。でも0.05は人間がまぁこんなものかと決めた値。0.07なら期待できる治療法ではないかと思います。
本年もよろしくご教示ください。