代替医療はニセ科学か、それとも・・・

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【日 時】2019年4月14日(日) 13:10~16:30(開場・受付:12:50ごろ)
【場 所】JR京浜東北根岸線 大森駅東口から徒歩4分 Luz大森4階 入新井集会室
【参加資格】膵臓がん患者とその家族、遺族
【参 加 費】1,000円(会場使用料及び資料代、講師謝礼)
【定 員】 130名
【内 容】
●講演:森省歩氏(ジャーナリスト)『最新取材報告 ここまでわかった「丸山ワクチンの実力」』
●患者さんどうしの情報交換~フリートーキング

オフィシャルサイトはこちら
申込み受付は、3月1日(金) 8:00からです。
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過去記事ですが、一部修正したので再度アップします。

アラビノキシランで進行胃がんが治った?

Jackさんのブロに、余命3ヶ月と言われながら、手術もせずに進行胃がんを完治させたお父さんの闘病記が載せられています。

 2006年12月に、進行胃がん、ステージ4、肝臓始め大腸・リンパ節他体中に転移…腹膜播種(ふくまくはしゅ)、骨盤底に腹水、・・・手術不能。–もっても1年、悪ければ余命3ヵ月–との宣告を受けます。しかし手術も受けず(というか、手術不能の状態)に、高品質のアラビノキシランを服用することで3ヶ月でがんが消失してしまった。

病院についた私と家族は、CT検査の結果が待ちきれず、医師のところへ出向いた。
…CT検査の結果は、すでに出ていた。
そして皆で、その写真を見せてもらった…

「え??」

「癌が…消えている???」

…そうなのだ、癌が「消えて」いるのだ!父の胃の部分に大きく影となっていた癌が、肝臓にあった影が、大腸部分が、他にバラバラとあった影が、無くなっているのだ!

—-「残っているのは、この胃と肝臓の間にあるリンパの部分だけですね…。それも、10cmあったものが5cmに縮小していますね。あとは全部消滅しています」
…医師が告げた。

あまりのことに、私は自分の目を疑った。夢を見ているのではないのか…
つい一昨日、胃カメラで見たときには、まだ胃の底に少しだが癌細胞が残っていたのだ。
それが跡形も無く消えてしまっている。たった二日で消えてしまうとは!!
何ときれいな胃に戻った事か!
私が心配していた肝臓転移の癌も無い!
散らばっていた小さな癌も、跡形も無いのだ!
…嘘ではない。自分のこの目で確かめたのだから。(CT画像のページ参照)

転移部分は、リンパの部分を1箇所残し、あとは全て消滅していた。
その残ったリンパ部も、当初10cmもあったものが、なんと5cmまで縮小しているのだ!

すばらしい体験談であり、闘病記ですね。高品質のアラビノキシランはそんなに効果的なのでしょうか? 抗がん剤も放射線治療も併用していたわけですから、何が効いたのかは特定できません。しかし、通常の標準的治療ではこうした奇跡的な回復はまさに「奇跡的」にしか起こらないことも事実です。Jackさんも次のように書かれています。

…私の父と同じように、皆様全員がこの代替療法で「絶対に治ります」とは申し上げられません。

様々な効能をもつ機能性食品であっても、化学療法と同様に効果の「個体差」はあり、各人によって効果の出方は変わります。

私が言いたいのは、がんでも健康であっても免疫力を向上させることが、がん治療および健康促進の一番の近道である、ということです。

がんに打ち勝つ免疫力をつけるには、高性能な機能性食品を軸とし、食事、水、ストレス、睡眠、運動、体温、スピリチュアル…など、生活全般のトータルバランス=総合力をもって対処することです。そうでなければ、がんには太刀打ちできません。

私の考えも同じです。つまり、「○○でがんが治った」という闘病記はたくさんあります。しかも○○にはいろいろのものが当てはまります。アガリクスかもしれないし、フコイダンかもしれない。サメの軟骨やプロポリスもあります。(中にはでっち上げたものも多いが・・・特にバイブル本に書かれたことは全てでっち上げだと思って間違いない)

私たちがん患者が信じてもよいのは、「末期がんでも治る」という「事実」です。この事実はたくさんあります。1万人に1件という人もいれば、いや100人に1人はいるという人もいます。がん=死ではないということです。しかし、これをやれば絶対に治るという方法もまたありません。治る可能性・確率が高くなるかもしれない、という程度です。

しかし、それは現代医療でも同じことです。手術以外にはがんを完治させる方法はありません。放射線も抗がん剤も「延命効果」しかないのですから。

アラビノキシランの成分であるL-アラビノースについては、厚生労働省の「素材情報データベース」に載っています。ただ、「アラビノースを関与成分とし、「血糖値が気になる方に適する」旨の表示ができる特定保健用食品が許可されている。」という以外は、全ての項目で「調べた文献の中に見あたらない」と書かれています。

私も少し調べましたが、アマゾンでいくつかの書籍があったので図書館で借りてみました。『難病を癒す免疫療法-病気の「原因治し」と免疫強化物質アラビノキシラン』-鶴見隆史著でしたが、内容が陳腐でよく理解できませんでした。著者が悪いのでしょう。江本勝流のニセ科学の見本とも言える「波動測定器」を使って効果を測定し、「だから効くのだ」という論理です。まともに読む気もしないで閉じてしまいました。帯津良一氏の監修した本もあるのですが、金を出してまで読む気がしません。

ニセ科学

がん患者の弱みにつけ込んだニセ科学があります。気をつけましょう。

では代替医療はすべて「ニセ科学」なのでしょうか。

一時ブームになった「マイナスイオン」や「水素水」はニセ科学の代表でしょう。トルマリンも一時はよく売れたようです。マーティン・ガードナーはその著書「奇妙な論理」の中でたくさんの「疑似科学」を列挙していますが、代替医療として、

疑似科学と科学の哲学を挙げています。有機農業も疑似科学に含まれている。もっともこの本が書かれたのが1952年ごろだから、その当時の知識を反映したものでしょう。

代替医療は全て「ニセ科学(疑似科学)」なのだろうか。

科学哲学の分野では、どこからを科学とし、どこからを疑似科学とするのかを決定する「線引き問題」の論争が続いています。そうした科学哲学を紹介した本に『疑似科学と科学の哲学』(伊勢田哲治)があります。この本の第4章では、「代替医療を題材に 科学と疑似科学と社会」の問題を扱っています。

ルルドの奇跡

以前に国際フォーラムで小椋佳のトリビュート・コンサートに行ったのですが、ゲストのえりさん(伊東恵里)の歌声には感激しました。武蔵野音大で声楽を学んだ歌手で女優。ディズニー映画の吹き替えによく出てくるようです。

ミュージカル座の「ルルドの奇跡」で主演のベルナデット役を演じ、東京芸術劇場ミュ-ジカル月間優秀賞を受賞しています。

ルルドの泉の奇跡については、最近では小説家で医師でもある帚木蓬生さんが『信仰と医学 聖地ルルドをめぐる省察』を書かれています。

1858年、ピレネー山脈の麓にある小さな町ルルドにすむ14歳の少女ベルナデットがマッサビエルの洞窟のそばで薪拾いをしているとき、聖母マリアを見たという話で、マリアの言葉通りに湧き出した泉にはあらゆる病気を治癒する不思議な力があるということです。今では年間500万人もの巡礼者があり観光名所にもなっています。

奇跡的治癒であるかどうかは、ルルドの医療局が認定します。その基準は大変厳しく、「医療不可能な難病であること、治療なしで突然に完全に治ること、再発しないこと、医学による説明が不可能であること」ということです。

これまでに6,700件の「奇跡」の自己申告があり、そのうち2,500件が「説明不可能な治癒」とされていますが、医療局により認定されたのは67件だけです。

がんはたったの3件しかありません。泉が発見されてから150年以上ですから、年間500万人は最近のこととして、少なく見積もっても100万人/年の巡礼者がいたとします。150年間で1億5000万人の巡礼者があったことになりますから、自己申告のあった6,700件でさえ、0.005%にしかなりません。

カール・セーガン 科学と悪霊を語るカール・セーがんは彼の最後の著作『科学と悪霊を語る』の中で、「がん全体でおおざっぱに言えば1万から10万人に一人は自然治癒するが、泉を訪れた人のうち5%ががんに苦しむ人だったとすると、そのうち50人~500人の人々からがんが治癒したという報告があっても良いはず」だと書いています。家でおとなしく療養していた方がましではないかと。

「奇跡」といわれているものは多くはプラシーボ効果ではないかという懐疑主義派からの主張です。(奇跡を支持する側からは、医者に見放された巡礼者だから少ないのは当たり前、自己申告しないものが数倍はいるはず、という反論もあるそうですが・・・)

数字にだまされない

「○○でがんが治った」というときに、「何人が対象で、治らなかった人はどれくらいいるのか」ということを確認しなければなりません。

人間は、自分が得たいと考えているものはよく覚えているが、期待に添わないものは忘れる傾向があります。架空の体験談をでっち上げたバイブル本で、アガリクスを売りまくった史輝出版の犯罪例もあります。私は、史輝出版から本を出したことのある人間の書いたものは一切信用しないように用心しています。

常識で考える

昔競馬予想に凝ったことがありました。20年以上も前のことです。まだパソコンが「マイコン」といわれていた頃、競馬予想ソフトを作って一発儲けようという考えです。おかげで統計学の勉強にはなりましたが、「強い馬を予想して勝ち馬を当てても、儲けることはできない」ということが分かりました。強い馬を予想しても配当が低くなるからです。

(最近また再開しました。人工知能のお勉強に、ビッグデータである競馬のデータがうってつけだなからです。Python、Anacondaの言語を使って開発しています。)

「弱い」と思われている馬がどのレースで勝つかを予想しない限り利益は出ないということです。そのためにはどうするか? オッズを時系列で分析し、あり得ないような馬券の購入があった馬を探すことにしました。ようするに八百長レースを探してそれに参加するということです。八百長とは言えなくても「演出」されたレースが1日に2レースくらいはあるのです。

これで負けることはなくなりました。なにしろ万馬券しか狙わないのですから。「演出」されたレースは高配当になるわけですから、50倍以下は買わないのです。

利益は出ました。しかしそのために土日は9時から16時までパソコンの前に貼り付けの状態です。これでは僅かの儲けのために時間が無駄になります。労力を考えたらペイしません。こんなことを続けていたらがんになるに決まっています(実際直腸がんになりました。これが原因かどうかはもちろん分かりません)

巷には攻略本というのがあふれています。競馬・競輪・パチンコ・・・がん。でもここで常識で考えてください。

本当に確実に儲かる方法があれば、私なら世間に公表はしません。そんな手間ヒマをかけるより、自分でその馬券を買った方が簡単に金が手に入ります。どうして原稿を書き、出版をするというやっかいなことをする必要があるでしょうか。

がん治療も同じです。本当に効果のある治療法・薬なら、世界の大製薬会社が放っておきません。株式関係のニュースでは、「○○製薬が新しいがんの治験を始めた」というだけでその会社の株が値上がりします。うまく成功すれば莫大な利益が転がり込みます。

バイブル本などという面倒なことをしなくても、きちんとデータと結果を公表すれば莫大な利益になるのです。がん患者を助けることにもなり、感謝されます。「治験をするには金も時間もかかる」という反論もありえます。ならば少なくとも、何人に試して何人に効果があったのか、何人が効果がなくて死んだのか、というデータくらいは公表すればよいのではないでしょうか。

アラビノキシランで進行がんが治ったというJackさんのお父さんの例を疑っているのではありません。ブログの内容は相当程度信用できるものだろうと感じています。がんは治るのです。しかし、何もしなくても自然治癒することもあるのですから、科学的に判断するには統計処理と二重盲検法によるチェックが必要だということです。

しかし、代替医療はそもそも統計処理にはなじまないという意見があります。統計処理するためには数量化されたデータが必要ですが、多くの代替医療は、効果を数量化することが困難です。

ホメオパシー

ホメオパシーは、「同様なものは同様なものを治すという類似の法則がある」いう考えの基に、ドイツの医師ハーネマンが、1810年の著書「オルガノン」によって提唱した代替医療である。ある症状を引き起こす物質を限りなく希釈して、その病気の患者に投与すると霊的な治癒能力を引き起こすとされている。

レメディと呼ばれるその薬は、限りなく希釈されます。例えば30xとは10倍に希釈する作業を30回行なう。中には300c(100倍に希釈する作業を300回繰り返す)というものもあります。

こうしてもとの物質は「1分子」も残らないほど希釈される。30xではもとの物質は10^30分の1に(ゼロが31個付く)、300cではなんと10^30000分の1(ゼロが30001個)に希釈されるというのです。

宇宙に存在する原子の総数が10^80程度とされていますから、300cに薄めた溶液の中には1分子も残らないことになる。30xでは東京都の水がめである矢木沢ダムに1滴のインクを垂らした方がまだ濃度が濃いほどです。

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元の物質の「記憶が水に残る」ことで治癒力を得られるから薄いほどよいのだという考えだが、水にどういう機序で「記憶」が残るのか、「記憶」とはなにかは全く理解不能です。激しく振動している水分子に、どういう「記憶」が残るのか、熱運動によっても破壊されない「記憶」とはなにか。ほかの不純物の「記憶」はどうして残らないのか。

アボガドロ数という概念を知らなかったハーネマンがおかしな理論を提唱することは無理がないとしても、現在でもそれを不思議と思わない人間がたくさんいるということが驚きを通り越して滑稽です。

ただ救いはあります。レメディは単なる水(を垂らした砂糖)ですから、副作用はありません。治ることはなくても死ぬことは亡いでしょう。問題なのは、ホメオパシーに傾倒して通常の医療を拒否することです。

「ニセ科学」の代表的な代替医療です。

アンドルー・ワイルの統合医療

20080909143733697_0001アンドルー・ワイルは現在最も知られた統合医療家でヒーラーです。彼の著書「癒す心、治る力」は全米でベストセラーになりました。

1999年4月、アリゾナ大学健康科学センターにおいて、代替医療の有効性に否定的なアーノルド・レルマンと、肯定派のアンドルー・ワイルがディベート討論をした記録『ディベート討論 代替医療はほんとうに有効か』(オルタナティブ・メディスン別冊)が出版されています。

レルマンは、「代替医療の実践者たちは、心や思念の力を信じ、その力によって物理的現象を変化させたり、疾病を治したりすることが可能だと信じています。これは、基本的に物理学の法則や自然に対する現在科学的観点とは相反する考え方なのです。・・・個人の主観的経験が事実を100%証明するものと確信しているようで、その方法がほんとうに有効であるかどうかを評価するためには、客観的な統計学的に有意なデータを得る必要があるということを、ほとんどが理解していません。」と代替医療に「ニセ科学」との烙印を押します。

一方アンドルー・ワイルは「患者さんに・・・ある方法を試してみて、それが有効であることに気づいたなら、もうそれ以上患者さんに対して効果を証明する必要はありません。治療の有効性を確かめてもらうために、医学雑誌を見せて無作為二重盲検試験の論文を読んでもらう必要などないのです。・・・現在、正当医学で使用されている治療法のうち、厳密な試験を受けているものは30%に満たないとされています。・・・たとえば(心臓の)冠動脈バイパス形成術なども、その効果が証明されていない患者に対して使われています。」と反論しています。

そして、正当医学を否定しているのではなく、正当医学との統合を目指しているのだと主張するのです。

「量子論について」

レルマンが、「ワインバーグといった有名な物理学者はほとんど皆、量子理論は、物理的事象への人間の精神の作用についてはまったく触れておらず、非物理的原因によって物理的現象が起きるという考え方を裏付けるようなものではないと述べています。」と質問を出している。

それに対してワイルは、ルイス・トーマス博士のコスモス・クラブ賞受賞の際のスピーチを引用し「深い催眠状態にある人の腕に、これはとても熱いですよと言いながら鉛筆を押し当てると、ほんとうに水疱ができてしまうという実験がある。つまり皮膚の特定の部位に自ら火傷をつくり出す方法や、血管やリンパ球や組織中のいろいろな成分に指示してイボを消させる方法を、人間の中枢神経系が知っているというのなら、人間の神経系はすでに生物医学の知識をはるかに超えたところまで進化しているということだ。・・・私が痛感するのは、量子理論のほんとうの意味をなかなか直視なさらない物理学者がたくさんいるということです。量子理論は明らかに、観察者である研究者の気持ちが観察の対象物に影響を及ぼすということを示しているにもかかわらず、物理学者は、仮想の世界の存在である原始未満の粒子を現実の世界へ持ってこようとはしないのです。」と答えている。

しかし、ここにはワイルの誤解がある。これはハイゼンベルクの「不確定性原理」を指しているのだと思われるが、不確定性原理は対象物の「運動量」と「位置」を同時に厳密にに知る方法はない、としているのであり、極微の世界で「見る」ということは対象に波長の短い光の粒子を当てるということで、その行為によって対象が影響を受けるということである。(もっとも不確定性原理に対する解釈はいろいろあり、定まっているとは言えないかもしれない)

ただ、人間の「気持ちが対象物に影響を及ぼす」というワイルの主張を指示していないことは確かである。量子論の世界では「シュレーディンガーの猫」というおもしろい思考実験(パラドックス)もあり、その解釈につていて論争が続いている。一つの解釈にエヴェレット解釈というのがあり、多世界解釈ともいわれるが、世界はあらゆる瞬間からたくさんの世界に分岐して存在しているのだというものである。これらの解釈の一部に「観察者が箱を開けて結果を知るという行為によって、結果が左右される」という考えがあり、ワイルの主張はこのあたりを根拠にしているのではないかと思われる。

しかし、これらは「ミクロのレベル」での量子的な話であり、人間の体(化学反応の集積)における分子レベルでは問題にはならないし、適用するほうが無理であろう。

ワイルの統合医療の考えは、身体的・精神的・霊性という3分野を対象としているが、「霊性」といわれる部分においては「ニセ科学」だと言ってよいように思う。

ただ、科学的でないから役に立たないと言っているのではない。「霊性」的な要素を考えることは効果があるかもしれないが、それが科学的かどうかは別の問題である。ワイルがよく持ち出す、念じることによってイボが消失する例や催眠状態の人の腕に水疱ができるという例に関して、残念ながらレルマンからは反論がない。

先に紹介した『疑似科学と科学の哲学』において、代替医療の特徴として、

  1. 全体的な視点の強調
    「患部」でなく、体全体がよくならないと病気は治らない
  2. 精神的な側面の強調
    心と体の結びつきを重視する。ただ神秘的な「霊性」を重視するものから「ストレスをためない」というレベルまで温度差がある
  3. 自然治癒力の信頼
    医療は自然治癒力を助けるものであり、治すのは本人である。神秘的な「生命力」に訴える流派から、正当医学でも認めている治癒力まで、ここでも温度差がある
  4. 古代からの知恵の尊重
    伝統医療や民間療法を基礎に置くものが多い。

を挙げている。

代替医療が批判されるのは、正当医学でも認められている穏健な主張をするもわたしたちはなぜ「科学」にだまされるのか―ニセ科学の本性を暴くのから、いかがわしいものまでが連続的につながっていて、穏健な主張がいかがわしい主張に利用されがちだという点にある。

カイロプラクティックは腰痛などに効果があることは正当医学も認めているが、脊柱のゆがみを直すことでがんも治ると主張することがある。また、安保免疫学は、心のありようが白血球数に影響を与えるという点では正当医学だと言えるだろうが、ストレスをなくせばがんも治る、抗がん剤も手術もかえって悪影響であると断言する。代替医療が疑似科学(ニセ科学)といわれるのは、こうした文脈においてである。

マラリアの特効薬キニーネは、ペルー産の「キナノキ」という木の樹皮のエキスであり、17世紀頃からペルーインディアンにはよく知られていたらしい。

キニーネについては、ペルーインディアンに伝わる伝説がある。マラリアによる熱でふらふらとなった一人のインディアンが、山の中をさまよっていた。そのうち、よどんだ水溜りを見つけ、その淵に倒れこんでその水を飲んだ。ひと口飲んで見ると、水が苦い。

よく見ると、そばにあった、当時は毒だと言われていたキナノキの樹皮で汚れていることがわかった。彼はこれで死ぬかも知れないと思った。

しかし、喉の渇きをいやすことが最優先だった。彼は一気に飲んだ。でも命に別状はなかった。それどころか、逆に熱が下がり、元気が戻ったのである。

彼は村に戻り、この奇跡的な回復のことをみんなに話したと言う。それから、ペルーのインディアンは、恐ろしい熱病(マラリア)にかかったら、キナノキのエキスを飲むようになった・・・

この例のように、現在有効だといわれている薬も、もとは土着医療だったものや植物由来の薬がたくさんある。ですから代替医療・迷信だといって一概に否定はできないが、そこは「科学的」に考える必要がある。

水俣病の例

先に紹介した本、「疑似科学と科学の哲学」では、”科学の社会への影響”の例として、ロシアにおけるルイセンコ事件と水俣病事件について分析している。ルイセンコ事件はおいておくとして水俣病事件と科学論の関係について紹介する。

5123wtkeawl_ss500__2水俣病は熊本県水俣市にあったチッソ水俣工場の有機水銀廃液が原因となった公害病である。石牟礼道子の『苦海浄土 わが水俣病』によって日本中に知られるようになった。

私は、桑原史成さんの衝撃的な写真集をみて、意識も奪われた人形のような少女、その瞳の純粋無垢な水晶のような輝き故に、公害病の残酷さを突きつけられた気がした記憶が生々しい。

1953年頃から水俣湾周辺の漁村地区を中心に、猫・カラスなどの不審死が多数発生し、同時に特異な神経症状を呈して死亡する住民がみられるようになった。多くの住民はチッソ工場の排出する毒々しい廃液が原因ではないかと疑っていたが、廃液と水俣病の因果関係を立証することができなかった。

熊本大学医学部の研究班は、水俣病は重金属中毒だという推定の元に企業に協力を求めたが、廃液の提供すら拒否された。そのため原因の重金属を特定できず、マンがん説・セレン説・タリウム説などを提案したが、決め手を欠いていた。(後で分かったがこれらは見当外れの説だった)

その間も廃液は流し続けられ、ほかに食べるもののない水俣の漁民は水銀を含んだ魚を食べ続けた。1959年になってイギリスのメチル水銀中毒を報告した論文が熊本大研究班の目にとまり、有機水銀が原因物質として疑われるようになる。研究班は患者の体内や海底の泥から有機水銀を検出し、水俣病有機水銀説を提案する。紆余曲折があり、1962年になってやっと研究班が工場廃液を入手して塩化メチル水銀を抽出した。しかし政府が水俣病を公害として認定したのは更に6年後の1968年であった。

水俣病の大まかな推移は上の通りであるが、正しい科学方法論をどのように定義するかにかかわらず、1959年以前の段階で「チッソ水俣工場の廃液が水俣病の原因である」と断定できるだけの証拠はなかった。

人体や泥から水銀が検出された時点においても他の原因説(アミン説)などを排除するほどの強い証拠にはなり得なかった。したがって、この時点では「水俣病の原因は不明」とするのが科学的には合理的な立場だったということになる。

水俣病の場合、排水以外に原因が考えられないと多くの人が気づいていたにもかかわらず、「科学的に立証されていない」ということで工場の操業を止めることができなかった。政府が何もしなかったために、たくさんの住民の一生を台無しにしてしまったのである。科学に基づかない一般的な感覚としては、チッソの廃液と水俣病の因果関係は十分明らかに見えたのである。

写真集などで患者の悲惨な姿を知ると、こうした場合には科学的な合理性よりも社会的配慮を優先すべきではないかと考えたくなる。しかし一方で、チッソ工場の操業を止めることにすれば、工場の労働者が職を失うなどの社会的損失が発生する。

末期がんで他の治療法がない患者に対して、「科学的でない」「エビデンスがない」ということで代替医療を非難することは、水俣病のことを考えれば、必ずしも正統な主張とは言えないだろう。しかし一方で、ほとんど効果のない治療法が蔓延することによってほんとうに効果のある治療が遅れてしまうなら、その社会的損失は計り知れないとも言える。科学的合理性と社会的合理性が、ここでも対立する。

代替医療と現代医療(正統医療)のすれ違いは、結局は「現に目の前にいる被害者、患者に対してどのように対処するのか」という問いについて回答の姿勢が違うのだと言えよう。代替医療の側は、目の前の患者に対して「エビデンスはなくても何でもやってみよう」であり、正統医療は「それでは医学の進歩はない。結局は社会的に多くの損失を被ることになる」というわけだ。

プラシーボ効果で治ってはいけませんか?

また、現代医療(正統医療)の側からは、二重盲検法などの実証的な検討が必要だと主張する根拠として、プラシーボ効果を排除しなければならないからだという。しかし、プラシーボ効果でない「本当の」効果がどうしてそんなに重要視されなければならないのかという問いは、あまりに当たり前すぎるためなのか、論議になることが少ない。

患者からみれば、プラシーボ効果だろうが「本当の」効果だろうが、治れば何でも良いのである。

現代医療は、プラシーボによる効果は医学の進歩に役立たない。プラシーボで治らない病気(治る確率は非常に小さい)の治療開発の妨げになる、と主張し、代替医療の側は、Dr.ワイルの考えだが、プラシーボ効果こそが医学の本質であり、治癒の本質である。理想的な治療法は、できる限り侵襲性の小さい治療を行なって、そこから最大のプラシーボ効果を引き出すことにある。プラシーボ効果を排除するのではなく、もっと頻繁に起こさせるにはどうすべきかを医学の基礎にするべきだと主張する。

科学と疑似(ニセ)科学の線引き

『疑似科学と科学の哲学』伊勢田哲治著による科学と疑似(ニセ)科学の線引きは可能かどうかという問いに対する結論は、「明確な線引きはできない」ということだった。

しかし、これは科学とニセ科学を区別できないということを意味しているのではない。例えば適当でないかもしれないが、男と女の線引きは明確には難しい。というのも性同一性障害や先天館手術の例を考えてみれば、男女を100%区別できるとは限らないと言える。だからといって、男と女に違いがないかというと、そういうことにはならない。

代替医療においても、オーラを写真に写して診断するという「キルリアン写真」といういかがわしいものから、ヨーガ・マッサージ・鍼灸などのなじみのあるものまで、幅が広い。現代(正統)医療にしても、昔は正しかったといわれたものが今は間違いだという例は枚挙にいとまがない。

正統医療の方法では「もう打つ手がありません」と言われたがん患者にとって、プラシーボであれ何であれ、万に一つも治る可能性があるのならやってみたいと思うのは当然のことであり、しかしそこに悪徳業者や悪徳医者が虎視眈々と狙ってくるのだが。

サバイバーへの挑戦スタンスは次のようになろう。

  1. 適用できる現代医療があるのなら、それを受け入れる
  2. 代替医療と現代医療の統合を図る
  3. 治るという信念と治す姿勢を持ち続ける
  4. 運動と食事を計画的に改善する
  5. 「今ここに」生きていることに感謝し、充実した一日を過ごすこと
  6. 人生の目的は、楽しむことである
  7. しかし、社会への貢献という目的意識を無くしない
  8. 死と闘って勝った人はいない。勝てるはずのない相手と闘おうとするから、悩みや迷いが生じる。死ぬときがくれば、ただ受け入れて死ねばよい。

代替医療を取り入れる基準

代替医療を取り入れるならば、次の考え方です。

  1. 害のないものから取り入れる。
    例えばメディテーション、サイモントン療法などは、たとえ効果が無くても害になりそうにはない。
  2. 高価なサプリメントは、そのほとんどがインチキである。
    安価なもので害がなさそうなら取り入れてみる。効果を確かめながら、続けるかどうかを考えればよい。ビタミンC、E、セレン程度がその対象になる。
  3. 健康食品は、少しでも科学的な実証データのあるものを選ぶ。
    アガリクス・サメの軟骨・プロポリスなどの中では、AHCCが金沢大学と大阪大学で臨床試験が行なわれており、PubMedにもその第一相試験の結果が載せられている。ということで他の健康食品よりは少しは”科学的かもしれない”という期待が持てる。
  4. プロバイオティクスは最近科学的データでがんへの有効性が証明されつつある。
    乳酸菌・ビフィズス菌・納豆菌というような種類。ヤクルトのシロタ株など。これに関してはまだ調査不足。
  5. 食事に関しては玄米菜食。少なくとも害は考えられないだろうし、これまでの数ヶ月間を考えても健康への効果はあるように思える。
  6. 音楽療法
    これは元々好きだから、それを治療だと考えれば良いだけのこと。楽しむべし。もっとモーツアルトを。

「代替医療はニセ科学か」などと、大上段に構えた割にはありふれた結論になってしまったが、逆転ホームランのような劇的な治療法はないのだから、イチロウのようにこつこつとヒットを狙って継続する、ということです。


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