ASCO 2016 GEMとゼローダの併用で膵癌術後の生存率が向上
ASCO 2016の記者会見でも取り上げられた注目演題です。
『膵がん術後のカペシタビンと化学療法との併用療法により生存率が延長』 ***** 以下要約 *****
研究結果
- 今までで最大の膵がん研究の1つであるヨーロッパの第Ⅲ相試験(ESPAC-4)は、ゲムシタビン化学療法と経口薬剤カペシタビン(ゼローダ)との併用により、毒性の増加なく、生存率が延長することを示した。
- 全生存期間中央値は、併用療法28.0か月、ゲムシタビン単独25.5か月であった。
- 推定5年生存率は、併用療法28.8%、ゲムシタビン単独16.3%であった。
- 5年生存率において、手術単独で8%だったのが、アジュバント療法で30%近くまで増加した。
- 喫煙者であったが診断後に禁煙した患者は、喫煙を続けた患者に比べ、予後良好であった。
今後の展望
- この新しいゲムシタビンとカペシタビンの併用化学療法レジメンの安全性を追求すると、この併用療法に他の治療法を付加するチャンスが広がり、患者の転帰をさらに改善する可能性がある。
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日本では術後補助化学療法はTS-1が第1選択肢であり、それは日本において2013年にジェムザール(GEM)とTS-1の比較試験を行なった結果、TS-1のグループの再発率が低かったことにより、それまでのGEMからTS-1に変更されたのですね。
カペシタビン(ゼローダ:服用薬)との併用でまたGEMが復活するのでしょうか。あるいは、2013年の試験結果は日本人を対象としたものであるから、人種差を考慮して今後も維持するのでしょうか。それとも、GEM+ゼローダとTS-1の比較試験を行なうことになるのでしょうか。気になるところです。
がんになって日も浅い患者さんに、念のための解説:
医薬品には一般名と商品名があり、
- 一般名:カペシタビン、ゲムシタビン、S1
- 商品名:ゼローダ、ジェムザール、TS-1
となります。(TS-1の”T”は大鵬薬品工業の頭文字)
TS-1のTは大鵬薬品ではないですか?