「先進医療」言葉の罠

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【日 時】2019年10月13日(日) 13:10~16:30(開場・受付:12:50ごろ)
【場 所】JR京浜東北根岸線 大森駅東口から徒歩4分 Luz大森4階 入新井集会室
【参加資格】膵臓がん患者とその家族、遺族
【参 加 費】1,000円(会場使用料及び資料代、講師謝礼)
【定 員】 130名
【内 容】
●講演:佐藤典宏先生「膵臓がんの標準治療と代替医療~外科医の立場から~」(仮)
●患者さんどうしの情報交換会~フリートーキング

オフィシャルサイトはこちら
10月9日(水)午前9時まで、参加申込み受付中
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膵臓がんと言われた。手術できなければ5年生存率は数%、10年生存率はほぼゼロ、抗がん剤治療は「延命効果」が目的ですと言われて、慌てて別の治療法を探します。そして、「先進医療」に指定されているのだから「最高の医療」だと勘違いして、重粒子線や免疫細胞療法を選択することになります。

そもそも「先進医療」って何でしょうか?

厚生労働省の言う「先進医療」は、次のようになっています。

先進医療とは、国民の安全性を確保し、患者負担の増大を防止するといった観点を踏まえつつ、国民の選択肢を広げ、利便性を向上するという観点から、以下について、安全性、有効性等を確保するために一定の施設基準を設定し、当該施設基準に該当する保険医療機関の届出により、又は安全性、有効性等を確保するために対象となる医療技術ごとに実施医療機関の要件を設定し当該要件に適合する保険医療機関の承認により、保険診療との併用を認めるものである。

1 未だ保険診療の対象に至らない先進的な医療技術(2又は3を除く。)

2 承認又は認証を受けていない(以下「未承認等」という。)医薬品又は医療機器の使用を伴う先進的な医療技術

3 承認又は認証を受けて製造販売されている医薬品又は医療機器について承認又は認証事項に含まれない用法・用量、又は効能・効果、性能等(以下「適応外」という。)を目的とした使用を伴う先進的な医療技術

保険給付の対象とすべきものであるか否かについて適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な「評価療養」と、特別の病室の提供など被保険者の選定に係る「選定療養」

つまり、まだ健康保険の給付の対象となるかどうかわからない、治療の効果が定まっていないが、選択の幅を広げる観点から、自費の部分と保険で賄う部分の「混合診療」を認めましょう、ということです。保険診療の対象として適正かを評価中の医療技術を指しているわけです。

そして「先進医療(A)」29種類、「先進医療(B)」60種類が法律で定められています。

重粒子線治療や陽子線治療、がんワクチン療法、リンパ球療法、多少点眼内レンズなどがこれに含まれています。

以前に膵臓がんの方で、手術ができる状態だったにもかかわらず、重粒子線治療を選んで後悔しているという方がいました。「切らずに治る」という甘い誘惑に乗ったのです。手術は身体への負担は大きいですが、体力のない高齢者ならともかく、完治する可能性は手術の方が高いのです。

言葉の罠


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「先進医療」とは、厚生労働省の官僚が付けたネーミングでしょう。

官僚の付けるネーミングには、実態と合わないものが多いですね。沖縄で自衛隊の「弾薬庫」を「保管庫」と言い、「戦闘」は「武力衝突」、ヘリが「墜落」しても「不時着」、「共謀罪」を「テロ等準備罪」、「武器輸出」は「防衛装備移転」などなど、実態を表わさない表現を造ることに長けているように思えます。

「先進医療」もそんなノリで付けたのでしょう。

先進医療特約は必要か

厚生労働省の『平成29年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について』では、1年間における各先進医療技術の実施件数が報告されており、先進医療を受けた患者数は約33,000人であった。

そのうちで「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が14,500件と半数近くを占めている。つまり、それ以外の先進医療を受ける機会は多くないと言えよう。

対象となる適応症も厳密に定められていて、患者が一般の保険診療を受ける中で、疾病・症状など細かな条件が合致しており、患者の希望を受けて医師がその必要性と合理性を認めた場合だけ先進医療を受けられるのだ。

ちなみに、陽子線治療は2,319件、重粒子線治療は1,558件、自己腫瘍・組織及び樹状細胞を用いた活性化自己リンパ球移入療法が55件、ゲムシタビン静脈内投与及び重粒子線治療の併用療法(膵臓がん)が8件である。

医療保険の先進医療特約は、保険料が100円前後と安いのは、使う契約者が少ないからですね。しかし、がんになって重粒子線や陽子線治療をするとなると300万円もの費用がかかるので、コストパフォーマンスは高いです。安心のために100円出しておくというのも、悪い選択ではない。

がんセンターなら先進医療を受けられるという誤解

がんと言われたら、どの病院にするか、何となく「がんセンター」なら、一番進んだ治療が受けられそうな気がして、取りあえず国立がん研究センターや地域のがんセンターを選択する患者が多い。地域によってはそれしか選択肢のない場合もあるが、往々にして「がんセンター」のブランド・イメージに惹かれていることが多いのではないか。

特に国立がん研究センターは、「将来の患者のための治療法」を研究する施設であり、現在の患者は、そのためのいわば「モルモット」なのです。

厚生労働省の定めた「先進医療」ですら、保険適用になるかどうか分からない治療法であるのに、臨床試験が「先進医療」であるはずはありません。(「先進医療」に含まれている臨床試験もある)臨床試験の中でも、有望なものが「先進医療」として定められているわけです。

がんセンターなら最高の治療が受けられるというのも、誤解です。


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