今日の一冊(122)『ガンとわかったら読む本』佐藤典宏
佐藤典宏先生の著作を紹介するのは2回目です。
「はじめに」から紹介しましょう。
ガンの治療においては、告知後、患者さんが決断を迫られるポイントがいくつもあります。そのそれぞれのポイントで、 どのような選択をするかによって、治療の進展の度合いが違ってくるのです。
大事なのは、よりよい選択をするために、役に立つ正しい情報を知っておくことです。
がんとの闘いは「情報戦」です。
そして、「告知されたとき」「手術の前」「手術の後」それぞれに7つの要点にまとめています。
先日も、告知されたばかりの膵臓がん患者さんの家族から、「標準治療では膵臓がんは治らないと聞きました。先進医療を探しています」と言われました。告知されたばかりでは無理もないでしょうが、先進医療=すばらしい医療という誤解が多くの方にあるのですね。
「標準治療」というと、「並み」の 、「ランクが中くらいの」治療をイメージするかもしれませんが、そうではありません。
ガン医療における「標準治療」とは、 治療効果の高いことが科学的根拠 (エビデンス)によって実証されているため、最も推奨される治療 のことです。
一方、「先進医療」とは、研究の最先端で行われている医療であるものの、未だ評価が定まっておらず、科学的根拠はじゅうぶんでない治療なのです。
そのため、期間限定で先進医療として治療に使われていますが、それはあくまでも試験段階。その効果が実証されなければ、標準治療に格上げされることもなく、行われなくなることもしばしばです。わかりやすくいえば、先進医療とは、標準治療では治癒が期待できない患者さんが、一か八か賭けるような治療です。
佐藤先生は、肝胆膵外科の医長として、主に膵臓がんの手術を手がけています。膵臓がんの患者は、予期しない形で告知を受け、いきなり極めて厳しい現実を突きつけられることになります。
しかし、中には厳しい条件をクリアしてサバイバルする人がいます。
ガン告知の後、 なにをすればよいか。なにをしてはいけないか。
サパイパルした人たちの貴重な事例から見えてくるものがあります。患者さんから教えられたことがたくさんあるのです。
生き残る智恵と い ってもいいでしょう。 それを皆さんにお伝えしたい・・・。
との思いで書かれています。
下に目次のコピーを張っておきますが、これまでに出版された多くのがん関連本と一線を画した感があります。
病院選びを間違えない、ガイドラインが正しいとは限らない、手術前からスクワットを始めよう、タンパク質を多く摂れ、口腔ケアが大事、ガンの否定的な側面にとらわれない・・・など、実践的な内容が盛りだくさんです。
それによって、まったく違った未来が訪れる のです。
膵臓がん専門の外科医で代替療法にも深い関心を持っている佐藤先生の講演は、10月13日です。皆さんの参加をお待ちしております。