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「治らない人のための情報」がない

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「余命1カ月」。今夏、そう医師から宣告を受けた千葉県船橋市の男性がいる。「残された日々とどう向きあえばいいのか知りたい」。しかし、がんを克服した人の話は多々あれど、死を覚悟した人が必要とする情報がほとんどない。「治らないがんもあるのに」。

そう語る田端健太郎さんの記事が目に留まった。

「残り1カ月となると、みんなそれを口にするのもためらう。だから情報がない。僕自身、どう受け止めたらいいのか知りたくて調べたけど全然ない。あのね、ここが伝えたいポイントだと思っているんだけど、治らないがんと治るがんがある。どんなに医療が発達しても治らない。治る人ばかり脚光を浴びるけど、治らない人もいるのです」

免疫チェックポイント阻害薬にゲノム医療、ウイルス療法だのと、新しい画期的な治療法が脚光を浴びている。

しかし、それらにアクセスできる人は限られている。臨床試験に参加したくても敷居が高い。地方に住んでいればなおさらだ。

「余命数ヶ月」と言われ、緩和ケアを受けたくても、これもまだ制度が道半ばだ。理想と現実な間で、患者は「緩和ケア難民」になっている。

死を目前にした人に必要なのは、その日を迎えるまでに何をすれば良いのか、だ。

遺された家族の問題、子どもたちへの遺すもの、自分の死後の経済的なこと、家のローンや葬儀や墓のこともあるだろう。

「死」という自分が存在しなくなることへの圧倒的な恐怖にどのように立ち向かうのか。「命」とはなにか。どこへ行くのか。

こうした問いに答えるのは宗教家や思想家の役割だが、臨床宗教師はいても充分に活動しているとは言い難い。

「治らない人のための情報」はないのではなく、たくさんあるのだ。しかし、たくさんありすぎて、余命数ヶ月の患者にはよく考えて選択して咀嚼する時間がない。

だから、死の間際になってから考えるのは遅すぎる。がんを告知されたらそうしたことを考え始めるべきだろう。いや、人間いずれは死ぬのだから、ある年代になったら半生を振りかえって、これらのことを考えておかねばならない。

私の場合、膵臓がんの手術で入院する際には、道元の『正法眼蔵』と良寛に関する書籍を持っていった。術後のベッドの上では、田舎の墓じまいをして東京に移す算段をした。

膵臓がんは治ることが難しい。そのつもりで生きた私の、思索の過程がこのブログに残してある。

善く生きること。生の充実を促すことが、善き死を迎える準備となるのだ。


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