スーパーシステムとしての免疫系

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プロバイオティクス

先の記事ではプロバイオティクスについて書いたが、乳酸菌飲料などは、NK(ナチュラル・キラー)細胞の活性化に効果があるということだから、免疫系のシステムに働きかけることが期待できる。

免疫に関しては、まだまだ分からないことが多い。

多田富雄さんの『免疫・「自己」と「非自己」の科学』では、「免疫という劇場」で、T細胞、B細胞、サイトカインなどのたくさんの役者が互いに連携しながら「免疫」力を発揮する様子が、分かりやすく説明されている。

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しかし、自己免疫疾患である花粉症一つですらまともに治すことができないのが現状である。

がん細胞の免疫からの「逃避」、つまりがんの特徴を隠して白血球などからの攻撃を逃れること、あるいは「免疫の寛容」という複雑な現象についても、今の科学では分からないことばかりである。

プロバイオティクスがどこまでがんの再発を抑えることができるのか、十分なデータがあるわけではないが、少なくともいくつかのヒトの臨床試験で有効性を示すデータがある。

複雑系としての免疫、スーパー・システムとしての人間

こちらの記事で紹介した非線形科学とも関連するが、多田富雄さんは免疫は「複雑系」であるとして、

たった一種類の造血幹細胞から始まって、複雑な生命システムを作り出した免疫。その中には、マクロファージ、異なった機能と認識能力を持つ何種類ものT細胞、B細胞、そしてNK細胞などの多様な細胞が含まれ、さらにそれらの細胞群は、抗体、補体、サイトカインなどの液性の因子を介して複雑な連係プレイを行ないながら個体の「自己」というものを決定し、その全体性を維持している。

もともとは単一の細胞の自己複製から始まって、自ら多様なものを作り出し、その相互関係を介して自己の行動様式を決めている免疫は、より高次の複雑系として働いている、生命全体のひな形として眺めることもできると思う。

と書いている。

免疫系は、個々の細胞の相互作用によって、あたかも目的と意志があるかのように振る舞うことができる。

免疫系の成立とその運営、脳神経系や消化器系などのその他の高次生命システムとが共通して使っているルールがあるはずであり、多田富雄さんはそれを「超(スーパー)システム」と名付ける。

いくつもの複雑系がさらに有機的に関連し合いながら働いているのが「超システム」ということになる。

ここには現在医学がデカルト以来の要素還元主義にどっぷりとはまり込み、臓器は見るが全体としての「生きている人間」は見えない医者の態度などの批判ともなっている。

オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤が開発され、複雑なスーパーシステムとしての免疫系の一端が明らかになりつつある。しかし、有機的に関連し合いながら働いている「免疫」の全容のほんの一部が分かっただけに過ぎない。


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スーパーシステムとしての免疫系” に対して2件のコメントがあります。

  1. より:

    いつも更新ご苦労さまです
    免疫の理解という高い山の、人間はまだ裾野にいる状態だと思います
    癌は細菌やウイルスなどの外から来た異物ではなく
    あくまで自分の細胞が変異したものです
    ですから癌を宿した本人の特質もまた色濃く持っていて
    そのために免疫細胞は攻撃できないことがあります

    癌は病気であり、生命をおびやかす憎い敵であるのは間違いありませんが
    それと同時に本人の一部であるのも確かで、完全な新生物ではありません
    ではどうやってお引取り願うか
    自分は免疫で癌を撃退することができるまでには
    まだまだ膨大な時間がかかりそうに思います

    むしろ検診のほうに光明があるような気がしますね
    もし発生した癌を、ごく小さい状態で、簡便な検査で発見・特定できれば
    物理的手段で取り去るのは難しくないように思います

    1. キノシタ より:

      鳥さん。
      そうですね。リキッドバイオプシーなどの検査が日常的に行えるようになれば、腫瘍が小さなうちに発見できるでしょうから、期待できますね。

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