ChatGPTに膵臓がんの治療法を訊いてみたら

今話題のチャットGPTです。

「Chat(チャット)GPT」という言葉を最近よく目にします。スマホなどで質問を入力すると、自然な会話の形で人工知能(AI)が答えるシステムです。

https://openai.com/blog/chatgpt/

2022年11月末にインターネットで公開されてから、交流サイト(SNS)などで話題になっています。日本語も使えます。

試しに膵臓がんの治療法などを質問してみました。

膵臓がんを完治させる治療法は?

膵臓がんの治療法は、手術、化学療法、放射線療法などがあります。具体的な治療方法は、病状、進行度、患者の一般的な健康状態などに応じて決定されます。また、多職種チームアプローチでのマルチモーダル治療が有効であることも報告されています。治療選択肢については、専門医と相談することが重要です。

う~ん、まぁ妥当な答えでしょうかね。「マルチモーダル治療」とは「集学的治療」のことでしょうね。

1.集学的治療とは
1)集学的治療の目的
がんの治療法には、手術(外科治療)、薬物療法、放射線治療などがあります。治療法が進歩した現在においても、がんの種類や進行度によっては、それぞれ単独の治療法では十分な効果を得られない場合があります。そこで、より高い治療効果を目指して、これらの治療法を組み合わせて治療することを集学的治療といいます。

「がん情報サービス」より

更に質問を続けました。

先の記事でmaaさんがTS-1の副作用で治療を継続できないと質問でした。

抗がん剤S-1の副作用対策は?

S-1は抗がん薬であり、副作用には消化器系の問題(便秘、嘔吐、下痢、胃痛、食欲低下)、疲れや発熱、貧血などが含まれます。副作用を対策するためには、以下の措置が考えられます:

  1. 食事管理:栄養バランスの良い食事、適度な量を心がけましょう。
  2. 消化器系の問題:薬剤師や医師からの指示に従って、適切な薬物療法を行いましょう。
  3. 疲れや発熱:適度な運動や休養、水分補給などにより、体力の回復をサポートしましょう。
  4. 貧血:栄養バランスの良い食事や貧血予防のためのサプリメントなどを検討しましょう。

これらは一般的な対策であり、個人差があるため、必ず医師の指示に従ってください。

膵臓がんに有効だと思われる代替医療やサプリメントは?

膵臓がんの治療に対して代替医療やサプリメントが有効だという明確な証明はありません。膵臓がんの治療には、手術、化学療法、放射線療法などのメインストリーム医療アプローチが使用されています。

代替医療やサプリメントが治療に有効であるという証拠は十分ではないか、または負の証拠があります。代替医療やサプリメントを使用する場合は、専門医と相談し、メインストリーム医療アプローチと組み合わせて使用することを検討することが重要です。代替医療やサプリメントによって、望ましい効果を期待することもありますが、逆に治療効果が減少するか、望ましくない副作用が生じることもあります。

膵臓がんでステージⅡだと言われて手術をしましたが、その後肺と肝臓に転移しました。どのような治療法があるでしょうか?

膵臓がんが肺や肝臓に転移した場合、治療の選択肢は多岐に渡ります。一般的な治療法には以下があります:

  1. 化学療法: 転移した部位に対する化学療法薬を使用して細胞のグロウアップを抑制します。
  2. 放射線療法: 転移した部位に対する放射線療法を使用して癌細胞を抑制することができます。
  3. 再手術: 転移部位を手術的に除去することができる場合、再手術が行われることがあります。
  4. 関連治療: 肺や肝臓の状態に応じて、他の治療法と組み合わせて使用することができます(例:免疫療法、ターゲット治療)。

最適な治療法は、病状、進行度、患者の一般的な健康状態などに応じて決定されます。専門医との説明責任ある相談が重要です。

ハイパーサーミアはがん治療に有効でしょうか?

ハイパーサーミアはがん治療に対する有効性に関しては、明確な証明がありません。ハイパーサーミアは、一般的な温熱療法として知られていますが、がん治療に特別な効果は認められていません。

ハイパーサーミアは、患者の一般的な症状や健康状態に応じて適切な方法で使用されることが重要です。がん治療に対する有効な治療法としてハイパーサーミアを使用することを考慮する前に、専門医と相談することが重要です。

いや~、これは驚きましたね。当たり障りのない回答だとはいえ、これをベースにしてさらにネットで検索や専門医に質問をすれば良いのではないでしょうか。

しかし、AIでもまだまだ人間の専門家には敵わないですね。患者が欲しい情報であるかどうか、微妙なところです。

「シンギュラリティ」という言葉が一時ブームになりました。

私はシンギュラリティはやってこないと断定しています。

シンギュラリティとは「人工知能(AI) が人間の能力を超えることで起こる出来事」ですが、AIは要するに数学的処理ができるだけです。

そして数学は、論理と確率と統計で構成されています。

ChatGPTは、膵臓がんの治療法に関する多くの文章情報を集めてそれを数学的に処理、つまり確率と統計で処理をして、多数決を取るだけなのです。少数意見は無視されるか、あるいは評価は低くなります。

Python で機械学習のプログラムを組む時に、LightGBMフレームワークで「勾配ブースティング」(決定木)などの手法を使いますが、これも結局は確率と統計の結果を多数決で採択しているのです。

がんは複雑系だからAIでは対処できない

「複雑系」とは、相互に関連する複数の要因が合わさって全体としてなんらかの性質(あるいはそういった性質から導かれる振る舞い)を見せる系であって、しかしその全体としての挙動は個々の要因や部分からは明らかでないようなものをいう。-Wikipediaより。

原因と結果が1対1に定まらない。同じ原因があれば同じ結果になるとは限らない系です。銀河系も気候も、もちろん人間も複雑系です。抗がん剤が効く患者もいれば、効かない患者もいる。多数の要因が複雑に絡み合って、時には<奇跡的治癒>のように、思いもよらない結果をもたらすのです。

脳神経学者であり医師でもある中田力氏は『穆如清風-複雑系と医療の原点』でこう述べている。

医療における不確定性は、複雑系のもたらす予想不可能な行動に由来し、実際にやってみないと結論が出せないことで満ちている。そして、やってみた結果が予想と反することなど日常茶飯事である。

それでも、現実的には、病に悩む人々に複雑系の理論を説いて納得を促すことは無理である。現場の臨床医は神に尋ねることも許されず、医学にすべてを委ねるわけにもいかず、不確定さを理解した上で、患者の選択すべき道を決定論的に示さなければならない。もっとも適切な選択は経験則だけが教えてくれる。しかし、それが必ず良い結果を生むとは限らない。

原因と結果が一対一に定まらないから、医療のエビデンスに統計を持ち出さざるを得ないのです。そして、上に述べたように、統計や確率では患者個人の「未来を予測する」ことはできません。

だから、がん治療の専門家に訊くのが一番ですね。

さてこの質問、次回の「膵臓がん患者と家族の集い」で講演をしていただけることになっている押川勝太郎先生ならどのように答えるでしょうか。

がんに関する事前質問をお受けします。参加申し込みページからご記入ください。講演後に押川先生が丁寧にお答えいたします。


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