膵臓がんの粒子線治療:最新情報

膵臓がんは見つかった時には手術ができない例が圧倒的に多いがんです。

局所進行膵癌は、がんが膵臓の表面を越えて周りの重要血管と血管周囲に浸潤しているが、遠隔転移はしていない状態です。手術はできず、抗がん剤で延命治療しかないのですが、成績はよくありません。5年生存率は、ステージ2で2割、ステージ3だと6%程度です。

そこで重粒子線治療を選択すると、多施設共同研究J-CROSでは、2年局所制御率(2年間照射部位に再発がない割合)が62%、1年局所制御率が82%でした。

全症例の2年生存率は46%です。その一方で、副作用は少ないことが報告されています。

2022年4月に、粒子線治療(重粒子線・陽子線)が局所進行膵癌に対して保険適用となりました。それまでは300万円ほど自己負担がかかっていたのですが、高額療養費の範囲で治療が受けられるようになりました。

しかしこの2年間を見ていますと、膵臓がん患者さんで適用になる例は比較的少ないような気がします。

しかし、予後の良くないと言われる膵臓がん患者さんにとっては希望のひとつです。

最近日本放射線腫瘍学会から、粒子線治療に関する本が出版されているので、その中から膵臓がんに関する部分を紹介いたします。

粒子線治療がしっかりわかる本

粒子線治療がしっかりわかる本

日本放射線腫瘍学会 広報委員会/粒子線治療委員会
2,750円(04/25 13:56時点)
Amazonの情報を掲載しています

膵臓がん

膵がんは、早い段階から画像に映らない小さな転移が潜んでいることが多く、抗がん剤などの全身薬物療法から治療を開始することが一般的です。その後、手術が可能であれば手術を行うことが最も長期生存を期待できますが、切除不能と判断された場合にはエックス線による放射線治療とともに粒子線治療の適応となる場合があります。粒子線治療後も可能な限り化学療法を継続します。

【治療区分】
保険診療:手術による根治的な治療が困難な局所進行性膵がん

【治療を行っている施設】
すべての陽子線治療および重粒子線治療施設

【適用となる症状】
手術による根治的な治療が困難な膵がんが対象です。遠隔転移がある場合は適応になりません。
膵臓の周囲には放射線感受性の高い(放射線に弱い)消化管(胃や十二指腸など)が近接するため、消化管を安全に避けて照射できない場合は治療が困難です。
照射が可能かどうかはCTなどの画像検査で判断しますので、詳細は粒子線治療施設を受診し、ご相談ください。
その他、胆管に金属ステントが挿入されている等、照射する範囲に金属がある場合には治療をできないケースがあります。
また、膵がんに対する粒子線治療はターゲットとなる膵がんに正確に放射線を集中し、かつ周囲の正常組織を安全に避ける必要があるため、高い精度が要求されます。治療準備から照射終了までの数週間はできるだけ安定した状態を維持することが重要です。
がんが急に大きくなったり、食事が取れず体重減少により体格が変わってしまったり、がんによる痛みによって治療中の安静が得られないなど、不安定な場合には治療の精度が低下します。

【治療期間など】
陽子線治療:25回/5週間
重粒子線治療:12回/3週間

【効果と副作用】

粒子線治療は手術と同様、局所治療ですので、長期生存、根治を目指すことが治療の目的となります。
現時点では、粒子線治療を行えば必ずがんが治るとは限らず、治療効果には個人差があります。
がんを制御する効果は手術には及よばないため、切除可能な場合は手術を選択することが最も長期生存を期待できる手段となります。
また、画像上転移がない場合でも、実は画像に映らない小さな転移が潜んでいることは少なくありません。
遠隔転移がある場合には、粒子線治療を行っても本来の目標を達成することへの貢献は乏しくなるため、注意が必要です。
副作用として最も注意することは消化管障害です。胃や十二指腸などに強い放射線が照射されると、潰揚などの傷ができることがあります。多くは軽い程度ですが、まれに出血、穿孔などの重い副作用が出現することがあります。
このような副作用は照射が終わって数ヵ月~数年後に出現することがあります。
その他にも膵臓、胆管、骨、血管など、照射された臓器には何らかの副作用が出現する可能性があります。
問題となる副作用が起こる頻度は非常に少ないですが、治療の部位や患者さんの状態によって異なりますので詳細は治療を行う際に確認してください。
膵がんに対する粒子線治療は、どのような病状の患者さんに対して、いつ行うのがよいかを慎重に見極めることが重要です。安定した状態で精度の高い治療を行うことが、治療の効果向上、副作用軽減につながります。

『粒子線治療がしっかりわかる本』より

国内の粒子線施設

各施設の詳細は施設紹介ページでご確認ください。

重粒子線陽子線都道府県施設名称紹介ページ
北海道北海道大学病院陽子線治療センタークリック
北海道札幌禎心会病院陽子線治療センタークリック
北海道札幌孝仁会記念病院 札幌高機能放射線治療センタークリック
山形県山形大学医学部東日本重粒子センタークリック
福島県南東北がん陽子線治療センタークリック
群馬県群馬大学医学部附属病院 重粒子線医学研究センタークリック
茨城県筑波大学附属病院 陽子線治療センタークリック
千葉県国立がん研究センター東病院クリック
千葉県量子科学技術研究開発機構QST病院クリック
神奈川県神奈川県立がんセンター 重粒子線治療施設クリック
神奈川県湘南鎌倉総合病院先端医療センター陽子線治療室クリック
長野県相澤病院 陽子線治療センタークリック
静岡県静岡県立静岡がんセンタークリック
愛知県社会医療法人明陽会 成田記念陽子線センター クリック
愛知県名古屋陽子線治療センタークリック
京都府京都府立医科大学附属病院 永守記念最先端がん治療研究センター クリック
大阪府大阪重粒子線センタークリック
大阪府大阪陽子線クリニッククリック
奈良県社会医療法人 高清会 陽子線治療センタークリック
福井県福井県立病院 陽子線がん治療センタークリック
兵庫県兵庫県立粒子線医療センタークリック
兵庫県兵庫県立粒子線医療センター付属神戸陽子線センタークリック
岡山県岡山大学・津山中央病院共同運用 がん陽子線治療センタークリック
佐賀県九州国際重粒子線がん治療センタークリック
鹿児島県メディポリス国際陽子線治療センタークリック

膵臓がんで重粒子線と陽子線のどちらを選ぶ?

局所進行膵癌の場合、重粒子線と陽子線治療のどちらを選ぶべきでしょうか。

局所進行膵臓癌に対する粒子線治療、どちらを選択すべきか悩ましいですよね。どちらの治療法も有効性があり、それぞれに長所と短所があります。最適な治療法は、患者さん個々の状況や腫瘍の状態によって異なるため、慎重な検討が必要です。

重粒子線治療と陽子線治療の比較

1. 生物学的効果

  • 重粒子線は陽子線よりも高い生物学的効果を持ち、同じ線量でも癌細胞をより効率的に殺傷できます。
  • 一方、重粒子線は陽子線よりも周辺組織への影響も大きくなります。

2. 照射精度

  • 両治療法とも高い照射精度を誇りますが、重粒子線は陽子線よりもさらに精度の高い照射が可能とされています。
  • 重粒子線は、より小さな範囲に集中的に照射できるため、正常組織へのダメージを抑えられる可能性があります。

3. 治療効果

  • 局所進行膵臓癌に対する治療効果において、重粒子線治療と陽子線治療の間に明確な差は示されていません。
  • 過去の臨床試験では、どちらも局所制御率や生存率において同等の結果が出ています。

4. 副作用

  • 重粒子線治療は陽子線治療よりも、皮膚障害や骨髄抑制などの副作用が強く出る可能性があります。
  • 重粒子線は、より深い位置にある腫瘍に照射できるため、腸管障害などのリスクも高くなります。

5. 治療施設

  • 重粒子線治療を受けられる施設は、陽子線治療を受けられる施設よりも限られています。
  • 重粒子線治療は、高度な技術と設備が必要となるため、治療を受けるためには遠方まで移動する必要がある場合もあります。

治療法選択のポイント

  • 腫瘍の大きさや位置
  • 患者さんの年齢や体力
  • 副作用への許容度
  • 治療施設へのアクセス

最適な治療法を選択するために

  • 担当医と相談し、それぞれの治療法のメリットとデメリットを十分に理解する。
  • 他の治療法との比較検討を行う。
  • 複数の医療機関の意見を聞く。
  • セカンドオピニオンを利用する。

こちらの記事も参考にしてください。


膵臓がんと闘う多くの仲間がいます。応援のクリックをお願いします。

にほんブログ村 病気ブログ 膵臓がんへ
にほんブログ村

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です