城山三郎 『そうか、もう君はいないのか』

Web交流会のご案内


【日 時】2020年12月12日(土) 13:00~16:00(開場:12:45)
【場 所】Zoomを使ったオンラインの集まりです
【対 象】膵臓がん患者とその家族、遺族
【参加費】500円 (PayPal決済、郵便振替)
【定 員】100名
【内 容】
第一部 がん研有明病院 腫瘍精神科部長 清水研先生の講演
『もしも一年後、この世にいないとしたら ~4000人の患者家族と対話した精神科医の学び~』
第二部 患者さん同士の交流会

ウェブ会議ツール「Zoom」を使ったWeb交流会となります。
スマホだけで簡単に参加することができます。

参加申込受付中です。 詳しくはオフィシャルサイトで


スポンサーリンク
LINEで送る
Pocket

このところ6週間連続でチェロのレッスンが続く。年末年始の分をまとめてやっておこうということなので、それなりに気合いが入って通っている。いつものように蕎路坊で野菜天ざると酒。一時間ほど酔いを覚ましてレッスンに入る。左腕の五十肩もだいぶよくなってきたのは、チェロのレッスンが効いているのかもしれない。課題曲の「私のお気に入り」も今回でおしまい。初めのころに比べてずいぶんと上達したと自分でも感じる。テンポに乗っている。低音部とのハーモニーもきれいに調和している。先生もべた褒めだから気分がいい。

そうか、もう君はいないのか

城山三郎の『そうか、君はもういないのか』を読む。城山さんの没後に発見された愛妻への遺稿であり自伝のような本で、妻の容子さんが癌でなくなるまで
の思い出でもある。ほのぼのしたいい夫婦だ。容子さんが高校生で城山さんが学生の時、突然の休館日となった図書館の前で、途方に暮れている二人が偶然にであう風景。『天から降りてきた妖精』のような赤いワンピースの容子さんに一目惚れした城山さん。親から反対され一度は分かれるが、数年後のまた偶然の出会い。こうなるともう結婚へとまっしぐらしか道はないよね。

新婚旅行の宿で、初夜の行為の結果としてベッドのシーツを汚してしまい、一生そのホテルには近づけなかったなど、笑ってしまう。容子さんが新婚旅行の報告を電話して、「とってもよかった」を連発したそうで、後日義兄から「あのときはすっかり当てられてしまった」と言われる。そんな天真爛漫というか、うぶな容子さん。

城山さんのこんな詩もある。

深夜
おまえの寝息を聞いていると
宇宙創造以来の歴史が
ふとんを着て
そこに居る気がする

生きていることの
奇怪さ
美しさ
あわれさ

おまえの寝息がやむと
大地に穴があいたように
寒くなる

さて
おまえの乳房をつかんで眠れば
地球ははじまり
地球はおわり

そんな容子さんが肝臓癌になる。診察を終えて帰ってきた容子さんは、鼻歌交じりにポピュラーな歌に自分の歌詞を乗せて歌いながら部屋に入ってくる。
「ガン、ガン、ガンちゃん ガンたららら・・・・・・・・」
癌があきれるような明るい歌声であった。城山さんの腕に飛び込んできた容子さんをただ抱きしめるだけの二人。

どうせ、あちらへは手ぶらで行く―「そうか、もう君はいないのか」日録

ニューヨークにいる息子さんが見舞いに来て、帰ろうとしたとき、突然病室のベッドから滑り降りて立ち上がり、直立して挙手の礼をする。息子さんも驚きながらも挙手の礼を返す。悲しいけれども、笑いたくなる最後の別れ、と書かれている城山さんはそのシーンを思い出すたびに、容子さんの最後にふさわしいフィナーレだったと思う。

別の一冊『どうせ、あちらへは手ぶらで行く』は城山さんが亡くなったあと発見された9冊の手帳の内容を整理したもの。

個人情報保護法に反対の立場の城山さんが、何度かテレビに出ていたことを思い出す。最愛の奥さんを亡くし、ご自身も体調を崩している状態で、生き残った特攻隊員の使命感からあのような行動を取られていたことを知る。

癌を告知され、余命を告げられて時、「残された時間を有意義に過ごす」などと、書いてある本をよく見かけるが、有意義な時間の過ごし方なんていうものは、われわれ凡人にはどう過ごしていいのか、はたと迷ってしまう。偏凡な日常を平凡に生きることでいいのじゃないだろうか。これまでよりは少しは物事をよく見て、ほんの少しよく考えて、食事や家族との時間を、これが大事な時間なんだとちょっと意識的に感じ取って過ごす。そんなことしかできそうにないし、それでいいのだと思う。やりたいことを精一杯にやる。死に対峙する妙案は、案外そんなところにあるはずだ。


がんと闘う多くの仲間がいます。

にほんブログ村 病気ブログ すい臓がんへ
にほんブログ村

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


スポンサーリンク

このブログの関連記事

  • 良寛と多元宇宙論良寛と多元宇宙論 量子力学におけるシュレーディンガーの猫の問題を解決するための仮説として、エベレットの「多世界解釈」というものがあります。そのひとつの多元宇宙論(マルチバース)が、初期宇宙や宇宙の […]
  • 治療歴のある転移性膵癌を対象にリポソーム化イリノテカン注射剤が米国で承認治療歴のある転移性膵癌を対象にリポソーム化イリノテカン注射剤が米国で承認 期待が膨らむニュースなのでコピペ。わずか2ヶ月の延命ですが、GEMに耐性ができたときのセカンドラインとしてエビデンスが出てきた。 『治療歴のある転移性膵癌を対象にリポソーム化イリ […]
  • 大豆食品で膵臓がんのリスクが上がる大豆食品で膵臓がんのリスクが上がる 国立がん研究センターなどの多目的コホート研究グループは、さまざまな食品とがんとの関連を研究し、発表しています。 中でも大豆食品に関しては、心血管疾患や一部のがんのリ […]
  • 心と癌と量子力学の関係(6)心と癌と量子力学の関係(6) 前回、「いま切実にがんの治癒を願っている患者は、がんを複雑系と考える立場をどのように自分の治癒へとつなげばよいのでしょうか」と書いて宿題にしてありました。私の答えは次のようになり […]
  • 直虎の里 浜松直虎の里 浜松 浜松から帰って、日曜は休みだが月曜からまた出張です。今週いっぱいは帰れない。苛酷な現場作業で時間がないので、コメントなしの写真だけ。 コメントをいただいているが、返信できま […]
  • 紫陽花とふくろうの蕎麦紫陽花とふくろうの蕎麦 何人かの方から5年経ったことへのコメントをいただいております。ありがとうございます。これからは、あまり気負わないでのんびりと更新してまいります。ま、気楽におつきあいください。 […]
  • サイモントン療法でがんを治す サイモントン療法とは サイモントン療法は、イメージ療法の一つと言われています。サイモントン療法協会のサイトには次のように紹介されています。 サイモントン療法は、米 […]
  • 湯布院の朝霧を撮ったわけ、撮れたわけ湯布院の朝霧を撮ったわけ、撮れたわけ 泊まったのは、写真の合掌造り(鉄筋ですが)のホテル「ゆふいん 七色の風」でした。4時頃に目が覚めて外を見ると霧が出ている! […]
LINEで送る
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です