ビッグ・ファーマの真実

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【日 時】2019年6月22日(土) 13:10~16:30(開場・受付:12:50ごろ)
【場 所】JR京浜東北根岸線 大森駅東口から徒歩4分 Luz大森4階 入新井集会室
【参加資格】膵臓がん患者とその家族、遺族
【参 加 費】1,000円(会場使用料及び資料代、講師謝礼)
【定 員】 90名
【内 容】
●講演:がんと心の関係~サイモントン療法による癒やし~
川畑のぶこ氏(NPO法人 サイモントン療法協会)によるサイモントン療法とマインドフルネスの講演およびエクササイズ
●患者さんどうしの情報交換~フリートーキング

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毎日新聞と朝日新聞で報道されました。でましたね。やはりというか、汚いというか。

肺がん治療薬「イレッサ」の副作用被害で患者と遺族が国と輸入販売元のアストラゼネカ社(大阪市)に損害賠償を求めた訴訟を巡り、日本医学会として東京、大阪両地裁の和解勧告に懸念を表明する内容の声明文案を厚生労働省が作成し、同学会に提供していたことが23日分かった。文案は和解勧告について「イレッサのみならず、今後の日本の医療の進展を阻むような内容が示されており、裁判所の判断に懸念を禁じ得ません」と国の主張に沿った内容で、専門家からも厚労省の対応に批判の声が出ている。

東京大学医科学研究所の上昌広准教授は、複数の学会の方から「厚労省から声明を出すように頼まれた」との相談を受けたと、声明を出すまでの舞台裏を福田衣里子衆議院議員もブログで紹介しています。さて、当の学会と嘉山理事長の対応が注目されます。

「今後の新薬の承認が遅れる」などと、患者同士を反目させるような声明は出すべきではなかったのです。本当に将来のがん患者のことを考えての声明だったのか、疑問が残ります。医者が「鼻薬」をかがされていたとしたら笑い話ですが、イレッサの患者にとっては笑い事ではないです。

ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実
ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実』という本が参考になりました。著者のマーシャ・エンジェル氏は、ランセットと並び世界的権威を持つといわれるニューイングランド医学雑誌(NEJM)の前編集長。彼女が製薬会社のあくどさにやむにやまれず書いたというこの本は、当時大きな衝撃を与えたと言います。「有名医学雑誌の編集長という仕事は、・・・医学界をリードする医学の守護神のはずだ。その医学の守護神が、こんな奴らは信用なりませんよと、医学界、製薬業界、臨床医たちを激しく追求する。」とあとがきにありますが、ことはアメリカだけではなく、日本でも同じだと、今回のイレッサの件も思い出しながら読んで、本当にゾッとしました。

抗がん剤の薬剤費が高くて、治療を断念するがん患者がいます。3割負担でも平均的な家計では負担しきれないほどになっています。そして国の医療費が破綻しそうだとも報道されますが、どうしてこれほどまでに薬価が高いのか、正統な価格なのかという追求をするメディアはありません。それも当然です。民放でも新聞でも製薬企業の広告が占める割合は相当なものでしょう。製薬企業の機嫌を損ねたらマスコミは存続できません。NHKですらそのような報道は見たことがない。『ビッグ・ファーマ』ではその真実を明らかにしています。「新薬が高いのは研究開発費を取り戻す必要があるからだ」という製薬会社の主張に対して、ほとんどの新薬が「ゾロ新薬」といわれる化学構造式を少し変えただけのものである。数少ない新薬は、そのほとんどが大学、バイオ企業、NIHなどの前金を使って行なわれた研究が下地になっているのであって、製薬企業が独自でゼロから開発した新薬はほとんど存在しないこと。マーケティング費用が研究開発費の2.5倍を占めており、なおかつビッグ・ファーマはこの半世紀間莫大な利益を上げ続けていること、等です。

抗がん剤タキソールの開発は、1億8300万ドルの国費と30年の歳月をかけて、米国国立がん研究所(NCI)が実施主体あるいはスポンサーとなって開発したものです。またタイヘイヨウイチイの樹皮から抽出するしかなかったタキソールの合成方法を開発したのもNIHがスポンサーとなった研究である。ブリストル・マイヤーズスクイブ社は排他的販売権を手に入れたが、同社はほとんど研究開発費を投じていないのである。

グリベックは慢性骨髄性白血病の画期的な抗がん剤であるが、ノバルティス社はこの薬剤の価値に気づかずに店ざらしにしていたのです。ドラッガー医師が同社のコレクションの中に慢性骨髄性白血病に効果があるものはないかと探し出して、グリベックの臨床試験の必要性を説き続けたが、ほとんど関心を示さなかったのです。しかし、ドラッガー医師がこの薬のめざましい効果をアメリカ血液学会総会で報告してこのニュースが世界に瞬く間に広がると、やっと大規模臨床試験の開始の同意したのです。

タキソールには製造原価の20倍の値段が付いています。グリベックはがん治療費.comによれば1ヶ月33万円であり、グリベックの効果がなくなった患者にはスプリセル(552,900円)が用意されている。ところが新薬一剤あたりの研究開発費は100億ドルだとこの本では解明している。世界中で数千憶ドルも売上のある薬なら、100億ドルはどうってこともない金額です。

イレッサの製造元であるアストラゼネカ社も登場します。胸焼け用の薬プリロゼックの特許が切れる直前に、プリロゼックの活性体だけで作った製品の特許を取り、ネクシアムと命名して販売を開始したのです。そして医師がネクシアムが優れた薬であると思い込むように猛烈なキャンペーンを展開した。医師にはサンプルを浴びせかけ、新聞には割引クーポンまで入れたのです。これはイレッサの「副作用のない夢の抗がん剤」という大宣伝を想起させます。

さらに同社はネクシアムの臨床試験において、プリロゼック20mgにたいしてネクシアム20mgと40mgという高用量で臨床試験を行なった。本来ならネクシアムはプリロゼックの活性体だけをとりだした製品だから、プリロゼックよりも低用量にして比較すべきであるが、高用量を投与するといういかさま試験を行なったのです。しかし、残念なことに、4つの臨床試験のうち2つでわずかに優れているという結果が出ただけでした。アストラゼネカ社とは、このような前歴のある会社です。同社だけが特異な存在であるはずがなく、他のビッグ・ファーマも似たり寄ったりですが。ファイザー社もイーライ・リリー社も登場します。

臨床試験についても、体験に基づいてこのように指摘しています。

1980年代までは・・・製薬会社は自分たちに都合のいい結果が出るのを期待してはいたが、そうなるようにする方法は知らなかった。製薬会社は研究者に対して臨床試験のやり方を、まったく指示しなかったのである。しかし、現在では製薬会社は研究デザインの決定、データの解析から、研究結果を公表するかどうかの判断まで、あらゆることに口を出す。こうして研究に介入することで、単に研究結果を歪めてきただけでなく、自分たちに都合のいいように結果を作り替えてきたのである。

新薬ひとつに1000億円!? アメリカ医薬品研究開発の裏側 (朝日選書)
その具体的実例にも触れているので興味がある方はぜひ一読ください。『新薬ひとつに1000億円!? アメリカ医薬品研究開発の裏側 (朝日選書)』では、同じ問題を物語風に詳細に検証しています。

マーケティング費用とは別に「教育」費用にも製薬会社は多くを使っている。これは研修会という名目の医者への宣伝費用である。また、製薬会社が医療政策に大きな影響を与えるようになった患者支援グループを放っておくはずがない。

患者アドボカシー・グループへの支援も、教育を偽装したマーケティングの一つである。単に製薬会社の隠れ蓑にすぎない患者アドボカシー・グループも多い。患者たちは、自分の疾患に対する世間の認知を広めるための支援ネットワークに出会ったと思い込む。しかしこれこそが、実は製薬会社が薬を売り込む手口なのである。製薬会社がバックにいることを知らない患者アドボカシー・グループの会員もいる。製薬会社は単に教育を援助したいだけなのだと思い込んでいる人もいる。

全米のいくつかの州にあるC型肝炎連合会は、ワシントンポスト紙によれば、C型肝炎の第一選択薬・レベトロンを作っているシェリング・ブラウ社によって組織されたものだと言われています。

断わっておくが、私は日本の患者支援グループが製薬会社の寄付を貰ってはいけないというつもりはありません。製薬会社が利益の一部を社会と患者に還元しているのだという見方も有り得るからです。実際問題として製薬会社の寄付なしには活動を継続できないグループも多いに違いない。支援活動ししている方は本当に真摯に患者のことを考えている人ばかりです。己の損得を考えているわけではありません。そして多くの患者が恩恵を受けていることも事実です。一方で、患者が生活を切り詰めてまで払った法外なな薬剤費のほんの一部が寄付として回ってきているのだと考えることもできます。儲けに繋がらない「教育」に多大の費用を支出しているのだとすると、ビッグ・ファーマとしては、株主への説明責任を果たすことは難しいことに違いありません。このように、一つの物事にはいくつもの側面があるということを知り、いざという時には製薬会社からの支援を突き返してでも正しい主張をする覚悟があるかどうかが問われているのでしょう。明日は大阪地裁でイレッサ裁判の判決が出ます。これに対する「声明」を出すならば、両手を胸と財布に置いて、いま言っている言葉はどちらが言わしめているのかをじっくりと考えてみるべきだろうと言いたいのです。


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ビッグ・ファーマの真実” に対して1件のコメントがあります。

  1. 石浜幸夫 より:

    興味深く拝読しています。「事実」を大切にされている姿勢に共感を覚えています。ただ、「がんペプチドワクチン」に関する東大医科研と朝日の問題については、異なる見解を持っています。両者の「紛争」自体にはそれほど関心もありませんが、こと「がんペプチドワクチン療法」にたいする、その開発推進者の世間に対する「説明」の、その結果生じている「誤解」放置姿勢には強い憤りを持っております。個人的にブログを設けてこの問題を、追求しています。少々くどい文章で読みづらいかとは思いますが、最初の記事だけでも目を通して頂き、あなた様の論評なりをメールで頂戴できれば幸甚です。

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