死ぬのは、がんがいい

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中村仁一氏の『大往生したけりゃ医療とかかわるな』が評判になり、近藤誠氏は『がん放置療法のすすめ―患者150人の証言』が”私の総決算だ”という。その二人が対談をして『どうせ死ぬなら「がん」がいい』を出版した。

どうせ死ぬなら「がん」がいい (宝島社新書) 中村仁一氏は70人の「放置がん患者」を診て(見てきたと言うべきか)きたという。老人ホームの配置医だが、がんを放置した患者では、最期まで痛む患者は一人もいなかった。近藤誠氏は「がんもどき理論」に賛同した150人の患者を「放置」してきたが、その結果は「がんもどき」を放置しておいても転移も出てこないし、死ぬこともないとわかったという。ならば「どうせ死ぬならがんに限る」という結論だ。

私も「どうせ"何か"で死ぬのなら、がん死は悪い"何か"ではない」と書いたことがある。「がん死」のお迎えは最高だと思う。「風のガーデン」のように、生前葬をやる余裕だってあるし、人生の幕引きを自分の思い通りにできるかもしれないのだから。ポックリ死だとそんな時間も暇もないし、ぼけたら何もできやしない。脳卒中か心筋梗塞になって「しめしめ これでピンピンコロリか」と期待しても、ポックリと逝き損なって、寝たきりになったらいつ死ねるかわからない。先が見えないから、家族からは「いい加減に死んでもらいたい」と思われ、最悪なら家庭崩壊だ。

がんなら最期まで意識がはっきりしていることが多いし、介護している人も「そんなに長い期間じゃない」ということがわかる。死んだ後も介護の充実感がある(だろうと思う)。だらだらと生き長らえてしまうと、介護する側も力の加減がわからない。全力投球の挙げ句に「無理心中」になっては目も当てられない。

パスカルは、すべての人間は生まれた瞬間に「百年の間に死刑は執行される、しかしその方法は 伝えない」という残酷な”有罪判決”を受けている。だから、すべての人は「未決の死刑囚」だと言った。がん患者は「未決」ではなくなるのだから、感謝しても良いくらいだ。

ただ、子どもがまだ成人していなくて、離婚して父子家庭で父親が末期癌で、と深刻な例を聞かされて、それでも「がんが良いか」と訊かれると返答に困る。

私も膵臓がんが転移・再発したら治療はしないつもりでいる。抗がん剤は無駄だからだ。タルセバもフォルフィリノックスもお断りだ。この点では近藤氏と同意見である。しかし、がんには「がんもどき」と本物のがんがある、という彼の仮説には同意できない。近藤理論によれば、私の膵癌は「がんもどき」ということになる。手術してもしなくても、5年後には生きているはずであり、これからも転移はしないだろうから、食事や運動など、何をやってもやらなくても同じだというわけである。

近藤理論では、できたがん細胞の転移能力のありなしが全てであり、患者の「免疫力を高めてがん細胞が育ちにくい体内環境」を作る努力など無駄だという結論になる。体内に一個のがん細胞ができた時点で、あなたの運命は決まってしまうのである。これは人体では多くの因子が複雑に絡み合っているという「複雑系」思考を無視した、運命論・決定論だ。

近藤誠氏も逃げ道は残していて、「がんの9割は末期発見・治療断念・放置がいちばん」と、10割とはいわないのだが。

いつ再発しても良いように、今年中にはリビング・ウィルを書いておこうと考えている。


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