今日の一冊(46)『バビロンの秘文字』
イラクのモスルの近くに、100万人のラガーンという架空の民族がいるという設定である。ラガーンには奴隷という意味がある。
しかし、ラガーンは独特のくさび形文字を持ち、どの民族にもつながらない。もとの土地を追われ、世界に散らばっているが、金融の才能を活かしてニューヨークで世界の金融市場を動かしている。
ラガーン人はバビロンの末裔ではないかといわれている。失われた故国を再建するために、その根拠となる古代バビロンの遺跡を発掘して神殿を探そうとしている。それをもとにイラク内にラガーンの國を建国するのが4500年来の彼らの悲願である。
戦場カメラマンの鷹見正輝と恋人でありくさび形文字の研究者である松村利香は、その企てに巻き込まれていく。
鍵になるのはラガーンの言語を解読する辞書であり、鍵を握るくさび形文字で書かれた粘土板。それをCIA、ラガーンのエージェントが狙って暗躍する。
古代文明へのロマンと現代の大国の思惑、アメリカ、ソ連が入り交じって駆け引きが続く。舞台はバビロン、ロンドン、ベルリン、ヘルシンキ、東京、ニューヨークとめまぐるしく変る。
全三巻の書き下ろしを一気に読んだ。
バビロンの空中庭園。遠くにバベルの塔が見える。
バビロンの北域に位置する、8番目の門。紀元前575年、新バビロニアのネブカドネザル2世により建設された。
バベルの塔