イレウス

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イレウス(腸閉塞)を起こしたようで、昨日は夕方から激しい腹痛、嘔吐に見舞われました。ガンの末期になる場合もあるのですが、私のはたぶん「機能的イレウスとよばれるもので、腸管の気質的な原因がなく、腸管を支配する神経の障害により腸管の運動障害がおこり、腸管内容が停滞するもの」だろうと思います。
膵臓手術後の後遺症で、食後は必ず下痢になるため、毎食前アヘンチンキを服用しています。たぶんアヘンチンキの効き過ぎで、腸の神経が必要以上に鈍感になったのでしょう。

腸の途中から先に食物が行かず、胃のあたりで激しい腹痛が続きました。腹回りも膨張してベルトがきついくらいです。嘔吐も複数回、嘔吐すると少し楽になります。イレウスは緊急手術も必要になるほど怖い症状ですが、原因が予想できたので、タクシーで自宅に帰り、そのままベッドへ。深夜に近くになってやっと大量の便とガスが出ました。おかげで急速に体調も回復。しかし、1日ですっかり疲れました。

これ、世間では「糞詰まり」というのでしょうね。人間は単純化してみれば口と肛門を両端の出入口としたパイプのようなもの。食ったものがきちんと出てくれれば、それが一番の幸せ。人間は「ウンチ製造器」であり「糞袋」です。パイプと考えれば身体の表面も胃腸の表面も外部に接しているわけで、小腸に大量の免疫細胞があるのは、外部と接触するからでしょう。10年前に直腸がんの手術をしたとき、切ったあとの自分の肛門がしっかりするまで、半年の間人工肛門を着けていました。半年後自分の肛門からウンチが出たときの幸福感は、いまでもありありと思い出します。当たり前のことが当たり前にできる、これが一番の幸せです。末期のがん患者に、一番したいことは何ですか、と聞くと、「家に帰りたい。自分の居場所に座って庭の草花を眺めたい」。「気のおけない仲間とおしゃべりがしたい」「デパートで買い物がしたい」。こんな希望が多いのです。今日と違わない明日が来て、何でもない1日が過ぎていく。これが一番の幸せです。

「ウンチ製造器」として「まぁ、こんなものか」と暮らしていれば良いものを、過ぎたる欲が出てくると「4億円の出所は?」などと追求されるようになるのですね。社会的に成功すると「もしかして俺はすばらしい性能のウンチ製造器かも」なんて誤解をすることになる。そりゃ機械にも少しは性能の差がありますよ。しかしたかがウンチ製造器、基本的性能には違いがないわけで、失敗も成功も「たまたま」であり、偶然の要素が大きいことを知らねば。

たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する

ビル・ゲイツが世界の長者になったのも、野村監督の楽天が優勝したのも、ハリー・ポッターがこんなに読まれているのも、偶然=たまたまの要素が大きい。能力が5のAチームと9のBチームが対戦したとして、Aチームが連続して勝つ確率は3割はある。

ハリー・ポッターの原稿は9社の出版社からはねられ、グリシャムの『評決のとき』は26社からはねられ、『アンネの日記』は「退屈」「典型的な家族間の口論とつまらない悩みと青臭い感情のわびしい記録」として複数の出版社からはねられている。並外れた内容の小説でも成功するとは限らない。

「並外れた事象に並外れた原因は要らない。」多くの事象がランダムネスに従っているとき、並外れたことが起きるのは珍しいことではない。ヒトの身体もがんも、多くの要因が複雑に関連しているのだから、ことの起こる前に結果を予想するのは難しい。しかし、起きてしまったあとでは、その経過をいちいち言い立てることはできる。天気予報がいい例で、予想に反して今日雨が降ったことを、予報士は「寒冷前線が少し南に移動し、高気圧が北に・・・」などと説明することはできる。しかし、同じ予報士が明後日の天気を正確に言い当てることは難しい。『あと知恵』でランダムな事象を説明することはたやすいのである。

代替医療にも同じことが言える。プロポリスやアガリクスを飲んで治った患者を拾い出すことは簡単である。しかし、私が飲んだ結果を100%性格に保証してくれる人はいない。

逆も言える。食事療法、運動をする、深呼吸や瞑想、身体を温める。これらはいってみれば弱い野球チームのようなものである。しかし、勝つ要素が小さくてもいくつかの要素を粘り強く実行していれば「並外れた事象」が起きることは、決して小さな確率ではないのである。

代替医療をどう考えるか、がん治癒には何が大事かということをランダムネスの考えて説明できる。代替医療を盲目的に信用はしない、しかし、いくつかの方法を実行していれば「並外れた」結果が起きるのは、実は自然界にはありふれているのである。レナード・ムロディナウの『たまたま』を読んでこんなことに思い至ったというわけである。

さらには「プラシーボ効果」も考えなければならないが、別の機会に。

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イレウス” に対して3件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    安西さん。大建中湯が効きますか。漢方薬にはほとんど知識がないので調べてみます。機械的イレウスだけではなく、まだ手術後の癒着が残っているのかもしれませんね。

  2. 安西 より:

    大事にいたらず良かったですね。イレウスには大建中湯がとてもいいようです。ご参考まで。

  3. K より:

    腸閉塞の痛みが 収まって、よかったです。
    今日の内容も 大変 興味深いです。
    『たまたま』 読んでみますね。

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