がんのエピジェネティクスと奇跡的治癒

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この本は、以前にも何度か紹介していますが、9つの習慣の多くが「心の有り様」が大切という「仮説」です。

プレジデント・オンラインの、『がんが自然に治る生き方』の著者 ケリー・ターナー博士へのインタビュー記事によれば、博士は自分の仮説を検証する準備をしているということです。

現時点では、どちらのグループに入れるにせよ、ボランティアで研究に参加してくれる患者を集めているところです。盲検試験ではありませんから。盲検試験は倫理的にできません。
――いつからその話が出ているのでしょうか。
【ターナー】アメリカで本が出て、2、3カ月経ったころですね。昨年の6月ごろからからです。この試験には100万ドル以上かかるので、資金集めにも取り組んでいるところです。

この本、中には首をかしげるような内容もありますが、膵臓がんのように「治らないがん」を宿した患者には気になる内容です。

ターナー博士が上げた9つのこととは、

  1. 抜本的に食事を変える
  2. 治療法は自分で決める
  3. 直感に従う
  4. ハーブとサプリメントの力を借りる
  5. 抑圧された感情を解き放つ
  6. より前向きに生きる
  7. 周囲の人の支えを受け入れる
  8. 自分の魂と深くつながる
  9. 「どうしても生きたい理由」を持つ
  10. 毎日適度な運動をする

です。(10番目は私が付け加えたもの。博士も巻末で運動を入れるかどうか迷ったと書いている)

ターナー博士へのインタビュー記事『免疫を強化してがんを治す遺伝子スイッチの可能性』の3ページ目に下記のように述べているところがあります。

エピジェネティクスとは、遺伝子のDNA塩基配列の変化を伴わない、後天的な遺伝子制御の変化を生じる現象で、その研究学問分野です。

――エピジェネティクスは遺伝子研究でもっとも重要な分野ですね。一卵性双生児は遺伝子上は100%同じですが、スイッチがオンになっている遺伝子、オフになっている遺伝子が異なるので、性格も能力も違います。

【ターナー】そうなのです。「劇的寛解を経験した患者は、免疫システムを強力にする特別な遺伝暗号を持っているのではないか」と言う人もいます。その可能性はあると思いますが、同じ人が20年前にがんになったときの遺伝子発現と、劇的寛解をしたあとの遺伝子発現が異なることも考えられます。つまり、わたしが本に書いた9つのアプローチを実践して、特定の遺伝子のスイッチがオンになったという可能性もあるのです。

エピジェネティクスの研究で明らかになったのは、毎日30分の瞑想を8週間続けることで著しく遺伝子発現が変ったということです。つまり、瞑想はがん遺伝子のスイッチをオフにして、健康を促進する遺伝子のスイッチをオンにすることができるということです。

現代のがんに対する主流の考え方は、がん細胞が一旦発生すればそれは宿主の命を奪うまで増殖する一方であり続けるというものですが、エピジェネティクスの考えからは、がん細胞も周囲の環境との相互作用で増殖することもあれば寛解することもあるということになるのです。

がん細胞と正常細胞の相互作用は、がんの進行に拍車をかけることもあれば、その進行を止めて自然寛解に導くこともある。がんの自然寛解は、体細胞突然変異説(SMT)では”奇跡”のように見えるが、組織由来説からみれば、がん細胞の正常なふるまいの範囲なのである。この自動修正は、幹細胞でも、完全に分化した細胞でも起きる。

がん細胞の周辺の微小環境に注目する組織由来説では、細胞間の相互作用が破綻すると、それによって細胞の内部環境が変化し、非メチル化などのエピジェネティックな変化が起きてがんが発生すると主張する。発がん物質は細胞の相互作用を破綻させ、その結果がんが引き起こされる。

がんの進行の第一段階はエピジェネティックな変化であり、それは逆行させることもできる。相当進んだがんでも、適切な条件を整えれば、エピジェネティックに逆行させることが可能である。微小環境論では、その適切な条件とは、免疫反応と、周囲の健康な細胞との相互作用であるとする。

瞑想によって遺伝子の発現がエピジェネティックに変化したということは、やはり心と身体、がん細胞はつながっている。脳はホルモンやサイトカインといわれる情報伝達物質を使って、免疫反応と細胞の相互作用をコントロールしているのです。

劇的寛解を経験した患者に、こうした要因があるのだろうと推察できます。

しかし、それじゃどうすれば劇的寛解になることができるのか。それはまだ明らかになっていない。確実な方法などないのです。あくまでもターナー博士のいうような9つの習慣を持っている患者には”起こりうる”としか言えないのでしょう。


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がんのエピジェネティクスと奇跡的治癒” に対して1件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    ババリーナふじこさん。
    いつも”激しい”応援の言葉、ありがとうございます。
    がん患者は、しかたのないことなのかもしれませんが、どうしても”もの”に惹かれるようです。サプリメント、食事療法、がんを一発で打ち砕く魔法の弾丸。形のないもの、運動や心の有り様で治療や癒やしを求めるのは、頼りなく感じるのでしょう。
    でも、多くの情報からは運動や心の有り様が一番大切だと分かり掛けているのですが。
    福岡伸一さんも最近はあまり話題にならないですね。エピジェネティクスとがんの関係でも、彼のわかりやすい言葉で書いてくれれば良いのに。

  2. ババリーナふじこ より:

    1.~9.の記事、改めて再読させていただきました。
    ありがとうございます。
    私はエピジェネティクスと聞くと、福岡伸一さんの顔が浮かびます。テレビの対談番組での「癌細胞に『君はもともとは〇〇の細胞なんだよ』と説得して正常な細胞に戻すのが最善」という言葉。それは、私のイメージ療法そのものでした。最初はTS-1の働きを心の中で映像化していましたが、なにも厳密に医学的事実に基づかなくても・・・と思い、方針転換。「自分の細胞が変化したものなんだから、変身解除させよう!」
    それから暫く経った2013年5月、(以前、高濃度ビタミンC療法の話で登場した)M医師に今後の相談をしました。その時、福岡伸一さんの言葉を紹介すると「その通り」という反応。また、「今のところ、医学的にそれを可能にする方法は無いようですから、取り敢えずイメージ療法でやっています」に対しては、「ドンドンやってください」
    あれから、もうすぐ2年。あの時、「あと2年はカル~イでしょ」とのお言葉をいただきました。確かに、一度も入院することなく、週1とは言え〈跳んだり跳ねたり回ったり〉できているのは有り難いことです。
    エピジェネティクス。学習はなかなか捗りませんが、〈体の不思議探究オタク〉の私にとって、非常に魅力的分野です。

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