炎症を抑え、免疫力を高めるために
シュレベールは、がんと炎症の関係について、このように述べています。
炎症はがん細胞の親衛隊
炎症は、治癒のための新しい組織の形成を支えていると見せかけて、がんの成長を促す役回りをしていることもある。
生物の体が損傷すると、自動的に組織を修復するようにできている。修復の中心となるメカニズムが”炎症作用”である。
組織が損傷すると、それを探知した血小板が集まってくる。化学物質を分泌し、白血球に警告を与える。白血球はサイトカインなどの媒介物質を作りだし、組織の修復に取りかかる。傷口周辺の血管を広げて援軍の免疫細胞の通り道を確保する。血小板の周りの血液を凝固させて傷口をふさぐ。組織の細胞を増殖させるために必要な酸素や栄養を運ぶための細い血管を作る。
がん細胞はこれらのメカニズムを利用していることが明らかになっている。がん細胞は自ら炎症を引き起こして、これらのメカニズムを乗っ取り、サイトカインなどの化学物質を大量に作り始める。これらが肥料となって周りの細胞に侵食しやすくし、増殖をしていく。
また、炎症作用を利用して、がん細胞は周囲の免疫細胞を「武装解除」していきます。NK細胞を初めとする白血球の活力が弱まり、目の前で増殖していく腫瘍と闘おうとしなくなるのです。
炎症マーカーで予後を推測
したがって、CRP値とアルブミンの炎症マーカーの測定によって、大ざっぱではあるが、患者の今後の生存率が推測できる。
患者の危険度を知るための指標
- 最小限のリスク
C反応性タンパク(CRP)が10mg/l未満 & アルブミンが35g/l以上 - 中ぐらいのリスク
C反応性タンパク(CRP)が10mg/l以上 OR アルブミンが35g/l未満 - 高いリスク
C反応性タンパク(CRP)が10mg/l以上 & アルブミンが35g/l未満
CRP値が高く、アルブミン値が低いほど、患者の生存率は下がることになります。
ストレスはがんの味方
炎症を抑えるには、まずはストレスをなくすることです。
がんの告知を受けた患者は、大きなストレスに曝されます。その結果、免疫系の活動が弱まり、がん細胞の増殖がより早くなります。
ストレスホルモンは、免疫細胞のATF3遺伝子を活性化させて、免疫細胞ががん細胞を攻撃することにブレーキを掛けます。
ストレスがあるとがん細胞が増殖しやすくなり、再発・転移につながるのです。
そのためには、ヨガ、座禅、マインドフルネス瞑想などが効果があります。
マインドフルネス瞑想法によって、免疫システムの正常化、炎症の減少などが効果があることが証明されています。わずか2ヶ月間の瞑想をするだけで、免疫システムがインフルエンザ・ワクチンに強く反応するようになり、NK細胞などの白血球が正常になり、がんとより強く戦えるようになるのです。
免疫システムを活性化させるには?
- バランスのとれた正しい食事
- 自分に合った定期的な運動
- 心の平安
です。