今日の一冊(62)『がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点』
聖路加病院精神腫瘍科の保坂先生の著作です。精神腫瘍学とは、
昔は、がんが心にもたらすダメージについての研究が多かったのですが、次第に、「心の状態ががんにどんな影響を与えるか」という研究に移り、それ以降、がんと心の関係を研究する新たな分野が確立されました。それが、私の専門とする「サイコオンコロジー(精神腫瘍学)です。
精神腫瘍免疫学(PNI)とも言いますね。乳がんでステージ4の患者 今渕恵子さんとの対談本『がんでも長生き心のメソッド』に書かれていることと基本的に同じです。
うつの患者さんの心をケアすることで、がんの予後を左右するということはあまり知られていません。このブログでも執拗に取り上げているように、心を元気にすることは、がんの治療そのものと密接な関係があるのです。がんであっても、なくても、「心のありかた」が健康に大きくかかわっています。
『ゲムシタビンによる膵臓がん術後の再発防止にはナチュラルキラー(NK)細胞が関与:研究報告』の記事に書かれているように、NK細胞はがんとの闘いの最前線にいる免疫細胞ですが、NK細胞も脳と密接に情報交換をし、脳の状態=心のありように大きく影響を受けているのです。心のありようが、局所再発や転移にも影響を与えていると考えても良いと思います。
著者は、がん=死ではないから深刻にならないでと、
日本人の半分はがんになるというのを、「がんになったら半分は死ぬ」と誤解している人が多いのですが、実際にがんで亡くなる人はずっと少ないわけです。 さらに、がん全体の五年生存率は六〇%にまで達していて、元気になった患者者さんが大勢います。実際には心臓病や脳卒中など一般的な病気で亡くなる人が多く、がんをそれほど特別視する必要はないのです。
と言われても、膵臓がんはなぁ。
断言しますが「がん=死」「がん=壮絶な痛み」ではないのですから。
と言われても、膵臓がんは違うでしょ。痛まない患者も結構いるけど。
とぶつぶつ言いながらも読み終えた。
あとがきに、ステージ4で40代の乳がんの患者さんが、養子縁組の選択をした。こどもを育てたいのだと。周囲の反対を押し切って実行したら、転移していた肝臓の腫瘍がほとんど見えなくなったそうです。
私がすすめたのは『がんでも長生き心のメソッド』(今渕恵子・保坂隆共著/マガジンハウス)と、第四章で紹介した『がんが自然に治る生き方──余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと』(ケリー・ターナー著/長田美穂訳/プレジデント社)の二冊です。
肝臓に転移していたがんが、なんとだいぶ消えたのです。
こう言うと、すぐに「奇跡的な回復」といったフレーズが浮かぶかもしれませんが、その後、旧知の医師にこの話をすると、「ぼくの患者でもこういう人が二人ぐらいはいる」「それほど多くはないが、こういう回復例は確かにある」という反応を得ました。つまり、決してこの例は奇跡ではなかったのでしょう。 だからといって、私は、心の力ですべてが解決するとは思っていませんし、すべての人のがんが自然に治るとも断言できません。
なぜなら、一〇〇のがんがあれば一〇〇の特性があり、一〇〇の体質や性格、嗜好、経験、一〇〇の心の動きがありますから、それをひとくくりにはできません。 ただ、がん患者さんがうつになることで免疫力が著しく低下するように、病と心には密接な関係があることが実証されています。とすれば、これが回復のキーポイントになるのは間違いないでしょう。
著者のお勧めのもう一つは、
私がおすすめするのは、カール・サイモントン博士の認知療法を解説してロングセラーとなった川畑のぶこさんの著『サイモントン療法──治癒に導くがんのイメージ療法』
です。私のお薦めでもあります。
「超ひも理論」を「死後の世界」が存在するかもしれない根拠にするのは、量子力学を誤解しているのではなかろうか。しかし、そう考えることで患者のスピルチュアリティが確保できるのなら、まっ良いか。