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マインドフルネス瞑想法はがんに効くか?

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押川勝太郎先生の昨日のメルマガで、がん治療の虚実『マインドフルネスはがん患者さんに効果あるのか?』がYouTubeで公開されています。

見ていると、「すい臓がんサバイバーのキノシタさんのブログを読んでると、再発予防で一番効果あるのは瞑想だったと言っている」と、濾胞性悪性リンパ腫の方が質問している場面がありました。

いやいや、膵臓がん以外の方にもこのブログが読まれているのですね。少し驚きました。

質問者は「瞑想」一般のことを言っているですが、押川先生は「マインドフルネス瞑想」に特定して答えていました。

私自身は、告知後は「サイモントン療法」を主に取り入れてきて、しばらくしてからマインドフルネス瞑想法も取り入れるようになったのです。あくまでも私の実感ですが、確かに効果があったと感じています。でも、一症例で個人的な感想ですから、科学的な根拠には乏しいでしょう。

サイモントン療法は、瞑想を取り入れたイメージ療法といえます。どちらも東洋の瞑想法を基盤としていることには違いありません。私としては、がん患者さんにはサイモントン療法の方が取っつきやすいように思えます。

サイモントン療法のエビデンス

サイモントン博士が行った研究は『がんのセルフコントロール』に詳しく紹介されていますが、概要は次のとおりです。

全人的アプローチの成果を図るべく、サイモントンは約3年間にわたって精神や感情面のアプローチを利用して病気の経過に緒影響を与えるという方法を実施した後、心理面での治療が、実際に身体面での治療に効果を示しているかどうかを科学的に調べる研究を実施し、1978年に下記のとおりその研究成果を発表しました。 まず、医学的に言って不治と考えられている患者を何人かまとめて調べます。このグループに属する患者の生存可能期間は平均12ヶ月とされていました。このように不治と考えられていた患者159名を、4年間にわたって治療した結果、そのうち63名の方々の平均寿命はがんが判明してから24.4ヶ月でした。 これに対して、対照群患者の平均寿命はサイモントンが治療した群の約半分以下という数値でした。また、治療を行った群のうち、死亡した患者の平均寿命は20.3ヶ月でした。さらに、生存している患者の生存期間は、ふつうの身体的治療だけを受けた患者の約2倍であるということ、そして、サイモントンの治療を受けたグループのうち、死亡した患者の場合でも、対照群の約1.5倍以上も生き長らえていたということが明らかになりました。

サイモントンが治療したグループの患者のうち、1978年1月の時点で生存している患者を分類すると次のとおりです。

がんが消滅した者 14名 22.2%
がんが退縮した者 12名 19.1%
安定している者 17名 27.1%
新しくがん細胞が発生した者 20名 31.8%

これらの患者はいずれも末期患者(医学的に不治と考えられていた者)であったことを考えると、このデータは驚異的です。(引用は以上)

この研究に対して、経済的に裕福な患者が多いなどのバイアスがある、という批判があることも承知しています。しかし、それでも一定の有効性が他の研究でも示されています。

マインドフルネス瞑想はがんに効果があるのか?

マインドフルネスについても、このブログに何度も書いているので、右上の「検索窓」に「マインドフルネス」と入れて検索してみてください。

マインドフルネスに基づいた治療法の無作為化対照試験は、これまでに何百と行われてきました。そして、系統的レビューとメタ分析は相次いで、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)が慢性痛と不安感を軽減させ、がんを克服した人から健康な被験者まで、あらゆる人のストレスを軽減し、生活の質を向上させるという結論を出しています。ストレスに関しては確かなエビデンスがあります。

しかし、残念ながら、マインドフルネスストレス瞑想でヒトのがんが小さくなるという確かな実験は存在しないのです。効果がないと証明されたのではなく、こうした実験をヒトに行なうことが困難だからです。 しかし、ストレスががんの原因の一つであるのだから、ストレスが低減すれば、それに応じてリスクが低減し、得るものがあると考えるのは自然なことではないでしょうか。

動画で押川先生がコメントしているように、マインドフルネスでがんの予防になることは証明されていません。しかし、効果がないとも証明されていないのです。

シュレベールは『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』において、心理的なストレスが、がんの種子が成長する土壌に大きな影響をおよぼしていることはまちがいないといっています。そしてがんと関連するストレスとは、ひどい”無力感”である。解決できそうもない対立に直面し、思い義務を負わされたりしている。こうした環境が一気に解決するはずもないのだから、自分の考え方、感じ方を変えるしかない。そのためには「瞑想」によって「今ここに」存在する瞬間に生きることが、無力感を克服する近道である、と述べているのです。

2016年8月に放映されたNHKのサイエンスZeroで、マインドフルネスが紹介されていました。その詳しい紹介はこちらでしています。

  • マインドフルネスは、扁桃体を小さくして海馬を大きくさせることで、ストレスから早く回復できるようになります。
  • 病気やストレスに関係しているといわれるRIPK2遺伝子の活性化を抑えることも実証されています。
  • RIPK2は炎症に関係する遺伝子で、肥満やがんになると体のなかでは炎症反応が続いており、またがん細胞は炎症反応を利用して増殖することが知られています。
  • マインドフルネスは炎症に関係する遺伝子にまで影響を与えることができる

などと、解説されていました。

マインドフルネス瞑想法の効果は、免疫システムの正常化、炎症の減少などが証明されています。2ヶ月間の瞑想だけで、免疫システムがインフルエンザ・ワクチンに強く反応するようになり、白血球はNK細胞も含めて正常になり、がんとより強く戦えるようになったのです。

費用もかからず副作用がないのですから、取り入れてみれば良いのです。そして効果が実感できれば、それ以上にエビデンスを求める必要はありません。続ければ良いのです。

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エビデンスのある医療は限られている

がんに限らず、医療一般に言えることですが、すべての医療行為に確たるエビデンスがあるのではないのです。抗がん剤に二次治療にはほとんどエビデンスが存在しません。

治療法を選択する際には、エビデンスを参考にする必要がありますが、既に行っている治療法が、効果があり、実感できるのであれば、それに対してエビデンスを求める必要などないのです。

がん患者自身が取り組むことのできる医療行為は限られています。そのほとんどが代替医療として「エビデンスがない」と言われるものになることはやむを得ません。

ヒトに関するある程度の研究があり、重篤な副作用がなく、経済的に負担にならないのであれば、「やってみればよい」のです。

治すことを目的にしてはいけない

「瞑想」に関して、カバットジンはの『マインドフルネスストレス低減法』で次のように注意を喚起しています。

「自分のストレスをコントロールし、病気と闘うために免疫システムを向上させたい」という期待をもって、多くの癌やエイズの患者たちが瞑想を始めようとしています。

しかし、私たちは、「瞑想で自分の免疫システムを強化できる」という強い期待をもつことは、実際には自分のもっている癒やしの力を十分に引き出すうえでの障害になる、と考えています。なぜならば瞑想は、ゴールをめざすものではないからです。

あまりにも期待感や目的意識が強すぎると、瞑想の精神が損なわれ、効果どころか逆に障害になってしまうのです。瞑想の本質は”何もしない”ということです。何もしないで、あるがままに受け入れ、解き放つことによって、”全体性”を体験するのです。そして、これが治癒力の基礎となるわけです。

何が何でも治りたい、という気持ちは理解できますが、それが強すぎると「治ることは希である」ということになりかねません。奇跡的治癒は、それを目的にしている人には決して訪れることがないのです。

質問した濾胞性悪性リンパ腫の方ですが、瞑想を取り入れたのでしょう。一年後も再発はないそうです。


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