サイモントン療法とは?(3)
6月の『膵臓がん患者と家族の集い』は、NPO法人 サイモントン療法協会認定トレーナー 川畑のぶこ氏の「がんと心の関係~サイモントン療法による癒やし~」を予定しています。
私とサイモントン療法
若いころから「死とは何か」を考え続けていたので、東洋的な思想に興味があったんです。そして、当時は不整脈が頻発してたので、それを治そうといろんな方法を取り入れてきましたが、その中に自律訓練法というのがありました。
これは、日本における心療内科の創始者である池見酉次郎博士が考案した治療法でした。
その当時のブログの記事が残っています。
(自律訓練法を)しばらくやっていると不思議と手足が重く感じられて、暖かくなる。熱さを感じるほどになる。そうして続けていると頑固な肩こりも軽減されて、何よりも不整脈がなくなってきた。しかし、不整脈がなくなって相変わらず以前と同じ生活・仕事態度を続けていると、また不整脈がぶり返してくる。
いくら新しい薬を飲んでも治らなかった執拗な不整脈が、「心」をコントロールすることで治るという経験は、当時の私には信じられなかった。しかし、『病は気から』とも言うように、『心のありようが病気を作る』ということが、自分の経験から納得できたのはこの時だったような気がします。
さらに、老子だとか道元、あるいは松尾芭蕉、鴨長明などの著作に深い興味を持っていたのです。
実際に膵臓がんの手術で入院した時は、道元の『正法眼蔵』を全巻、病室に持って行ったほどです。(ほとんど読むことができなかったけど)
そうした下地があり、サイモントン療法にも素直に入っていくことができました。
始めたのは、手術後1年経った2008年です。この頃PET検査で膵臓がんの再発が疑われ、精密検査をすることになりました。
結果的には再発ではなかったのですが、この時、「このままではダメだ、きっと再発する。自分で何かを真剣にやらなくては」と思った訳です。
サイモントン博士の言葉
こうして、CDやサイモントン博士らの著作を自分なりに解釈しながら、この治療法を続けていました。そして、ちょうどその2008年にはサイモントン博士が来日されます。博士は翌年2009年に亡くなったので、これが最後の来日講演でした。
講演で博士は次のように語られました。
私は立派な仕事をやってきたと思っているが、しかし仏教などの東洋思想ではすでに私がやってきたことを数千年も前に確立している。
瞑想や禅においては、病気はすべて心が原因だとして、深いリラクゼーションに導くことで病を治癒しようとしている。
最近のマインドフルネスにも通じることであるが、ストレスをなくし、リラックスすることによって、自分の免疫力に影響を与えることができる。
毎日のサイモントン療法のエクササイズを通じて、そのことを次第に確信するようになったのです。
『治るという前提でがんになった』の高山知朗さんも
『治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ』の高山知朗さんもサイモントン療法を実践してきたと書かれています。
点滴
が始まってからは、何となく眠くなったので、横になって、サイモントン療法的なイメージ療法をしていました。具体的には、黄色いメソトレキセートが、がん細胞に作用して増殖を阻害し、がん細胞が死んでいくイメージを、頭の中で描き続けていました。
がんをイメージ療法で治すというサイモントン療法については、10年以上前に妹が乳がんで闘病していた時に、サイモントン博士の著書を何冊も読み、勉強しました。生前のサイモントン博士が来日した際には講演会にも足を運び、直接質問をしたり本にサインをもらったりもしていました。
その時に勉強したことが、10年以上後に、まさか自分ががんになって役立つことになるとは思いませんでした。
「イメージ療法」というと曖昧で分かりにくいですが、非常に大雑把に言ってしまうと、「病は気から」を体系化して実践的にしたもの、でしょうか。
このサイモントン療法によるイメージ療法を、今回の白血病・悪性リンパ腫での入院中にも、特に抗がん剤や分子標的薬の点滴中や点滴後に実施しました。
「がんは心で治るのか?」と問われれば、治ることもあるし、その科学的な根拠もある。