サイモントン療法とは?(8)

次回の『膵臓がん患者と家族の集い』は、6月22日(土)に開催します。

川畑のぶこ氏

NPO法人 サイモントン療法協会の川畑のぶこ氏による講演:がんと心の関係~サイモントン療法による癒やし~を予定しています。

また、今回の開催には次の方の特別参加も予定しています。

  • 腫瘍内科医:押川勝太郎医師
    毎回参加されている押川先生は、YouTubeでがん情報を発信するユーチューバーです。ブログでも積極的に患者に役立つ情報を発信されています。

参加申込みと詳細は、オフィシャルサイトから。

バランスを取り戻す

様々な辛い出来事や悩みに対して、自分の心が”恐怖感”や”無力感”を感じるままに任せておくと、がんに対する防衛力を妨げる生理学的変化が起きます。

そうさせないためには、できるだけストレスをやり過ごす術を学ぶことが大切です。

既に述べたように、免疫システムは常に脳と情報伝達分子を交換し続けています。つまり意識内の出来事は脳だけではなく、体の全ての組織・器官を共振させているのです。

これらの情報交換は、自律神経系を通じて行われますが、同時にホルモンを通しても行われています。私たちのストレスや興奮、欲望、意思決定などは、そうしたすべての細胞の活発な動きの表れでしかありません。

それらの細胞は独自に周囲を生かそうとし、また反対に周囲からの脈動を受けて活性化するのです。こうした全体的な活動のバランスが取れていれば”健康”ということになります。健康とは細胞同士の調和のとれた振動ということもできます。そして”魂”とは、これら細胞や臓器の相互作用全体からのぼる特性です。

そして誰でも、このバランスに直接を働きかけることができるのです。5000年前からヨガ、瞑想法、太極拳、気功など東洋の偉大な伝統では、精神を集中させ、呼吸法に気を配るだけで、精神的にも肉体的にも、本当の自分自身も取り戻すことができるといわれてきました。

そして、多くの研究を通じて、そうした訓練をすれば、様々なストレスの影響が抑えられることが分かってきています。つまりバランスを取って体内の調和を復活させ、結果的に体が本来持っている自然な防衛力を刺激するのに最適な方法でもあるのです。

私達がまず行わなければならないことは、生理機能をコントロールするために集中力を高め、注意を自分自身の内面に向けることなのです。

しかし現在人にはその訓練が不足しています。

自分自身と対話する

私たちの思考は四六時中、あらゆる方向に飛び回っています。いわゆる”モンキー・マインド”と呼ばれる状態なのです。一日中携帯電話にしがみつき、ゲームに熱中し、テレビドラマに時間を費やす。電子メール、電話、その他もろもろが、私たち自身の心の中の世界とのつながりを失わせています。檻の中を意味もなくただ動き回っている猿のように。

こうした”モンキー・マインド”から抜け出す最も重要で、しかし最もないがしろにされていることが、ジョン・カバット・ジンは次のように言います。

「毎日、一定時間一人になり、自分自身と対話することである」と。

それが自分自身に対する究極の愛の行為である。

サイモントン療法もまた、この東洋の伝統を取り入れて、静かな環境で一人になり、呼吸に意識を集中することから始めます。

瞑想法の効果

サイモントン療法やマインドフルネス瞑想法、それらを含む様々な瞑想法による効果は次のようなものが挙げられています。

  • 免疫システムの正常な作動
  • 炎症の減少
  • 血糖値のよりよいコントロール

そしてこれらはすべて、がんの成長を妨げる主要な要因でもあるのです。

日常的に生活に瞑想を取り入れたグループでは、8週間で脳の電気活動に注目すべきバランスの回復が見られました。実験前の状態に比べて、機嫌や楽観性を司る部分、つまり前頭葉の右側、右脳が、はるかに活性化していたのです。

しかもその効果は能に対するものだけではなく、免疫システムもまた、インフルエンザワクチンに対して対照群よりも強く反応しました。ほんの2ヶ月瞑想を実践しただけでこのような違いが生まれたのです。

瞑想は免疫システムにより良い影響を与えてくれます。白血球はNK細胞も含めて正常に戻り、前よりもずっとがんと戦いやすくなります。炎症性サイトカインのTNF-αとインターフェロン・ガンマ(IFN-γ)が減少し、炎症に対抗するインターロイキン10が増大してきます。同時にコルチゾールのレベルも低下してきます。

キラーストレス

NHKスペシャルで「キラーストレス」という番組が放送されたことがあります。

がんの告知を受けた患者は、さらに大きなストレスに曝されます。免疫系の活動が弱体化して、がん細胞の増殖がより早くなるのです。

またストレスホルモンは、免疫細胞のATF3遺伝子を活性化させて、免疫細胞ががん細胞を攻撃することを抑制するのです。このためにストレスがあるとがん細胞が増殖しやすくなり、再発・転移につながるのです。

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乳がん患者でATF3遺伝子が活性化している患者と、活性化していない患者の1年生存率を比較すると、前者では45%に対して後者では85%と大きな差があります。ストレスががん患者の生存率に大きく影響しているのかが分かります。

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NHKの番組では最新の研究を紹介しながら、キラーストレスがわたしたちの体に大きな影響を与えていることを解明しています。

瞑想をの8週間実践すると、記憶をつかさどる海馬の一部が増加し、

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ストレスホルモン・コルチゾールを放出する指令を出す扁桃体は縮小していた。

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さらに、瞑想によって、エピジェネティックに遺伝子の発現も変えられることが明らかになりつつあるのです。


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