膵癌診療ガイドライン 2019年版がPDFで

膵癌診療ガイドライン 2019年版がPDFで

日本膵臓学会のサイトで、『膵癌診療ガイドライン2019年版』がダウンロードできるようになりました。2019/10/29に改定された部分も抜粋で別に公表しています。

画像をクリックして、膵臓学会のサイトへ飛びます。

ガイドラインのPDFはこちらにもリンクしました。

2016年版で出されたような患者向けの解説版は、予定しているはずですがまだ出版されていません。

先日保険収載が公表されたオニバイド(リポソームイリノテカン:MM-398)と5-FLの併用療法については、「切除不能膵癌に対して二次化学療法は推奨されるか?」(P.228)で言及されています。

<以下>

イリノテカン塩酸塩のナノリポソーム化製剤であるMM-398(nanoliposomalirinotecan,わが国では保険未収載)とFF療法の併用(FF+MM-398併用療法)がFF療法に比べて明らかに延命効果を示した第Ⅲ相試験の結果が公表された4)。

FF療法とMM-398の比較ではFF療法の全生存期間中央値4.2カ月に対してMM-398は4.9カ月(ハザード比0.99,p=0.94),FF療法とFF+MM-398併用療法の比較ではFF療法の全生存期間中央値4.2カ月に対してFF+MM-398併用療法は6.1カ月(ハザード比0.67,p=0.012)であった。本試験は当初FF療法とMM-398単剤を比較する2群の試験として開始され,途中で試験デザインが変更されFF+MM-398併用療法群が追加された。その結果,FF+MM-398併用療法はFF療法に対して生存期間で延長を認め米国,欧州などでは承認されている。日本でもランダム化第Ⅱ相試験が実施されたが結果は未発表である。

メタアナリシスの結果や試験デザインの問題は残るものの,FF療法よりも延命効果に優れた化学療法(OFF療法ないしFF+MM-398併用療法)があり,BSCとの比較は十分ではないが,ゲムシタビン塩酸塩後の二次化学療法の延命効果はほぼ確実と考えられる。

わが国ではこれまでS-1単独療法がゲムシタビン塩酸塩不応膵癌に対する実質的な暫定的標準治療であった。S-1を対照としてS-1+イリノテカン塩酸塩併用療法,S-1+オキサリプラチン併用療法,あるいはS-1+ホリナートカルシウム併用療法を比較したランダム化第Ⅱ相試験が実施された5-7)。S-1+ホリナートカルシウム併用療法は第Ⅲ相試験まで進んだが8),延命効果を示すことはできなかった。海外ではルキソリチニブリン酸塩+カペシタビン併用療法とカペシタビン,selumetinib+MK-2206併用療法とmFOLFOX療法を比較するランダム化第Ⅱ相試験が実施されたが延命効果を示すことはできなかった 9,10)。

以上より,ゲムシタビン塩酸塩関連レジメン後の二次化学療法として,フルオロウラシル関連レジメンを行うことを提案する。具体的には,OFF療法,S-1単独療法が候補となる。

MM-398は生存期間においてFF療法への上乗せ効果が示されたが,わが国では保険未収載である。

フルオロウラシル関連レジメン後の二次化学療法に関する比較試験はないが,一次化学療法として確立しているFOLFIRINOX療法やS-1単独療法は,そのもととなるRCTにおいて多くの患者が二次化学療法としてゲムシタビン塩酸塩単独療法を受けている 11,12)。

FOLFIRINOX療法やS-1単独療法の優れた遠隔成績の一端はゲムシタビン塩酸塩による二次化学療法が担っており,フルオロウラシル関連レジメン後の二次治療では,ゲムシタビン塩酸塩が事実上の標準治療といえる。FOLFIRINOX療法不応膵癌に対する二次化学療法として,観察研究ではあるがゲムシタビン塩酸塩+ナブパクリタキセル併用療法の有用性を示唆する論文が出されている13)。

以上より,フルオロウラシル関連レジメン後の二次化学療法はゲムシタビン塩酸塩を含め
たレジメンを行うことを提案する。具体的には,ゲムシタビン塩酸塩単独療法やゲムシタビ
ン塩酸塩+ナブパクリタキセル併用療法が候補となる。


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