半殺しのがん細胞を体内に戻すと、正常ながん細胞も死滅する
がん消滅の鍵は『半殺し』だった!
決して悪ふざけではありません。「ナゾロジー」に載っているマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究論文の紹介です。
第4の治療法と言われるオプジーボなどの免疫療法でもがん患者の15%程度にしか効果がありません。その自由は十分に免疫細胞を活性化させることができなかったからです。
そこで MIT の研究者たちは、がんになったマウスから腫瘍の一部を取り出して化学薬品で半殺しにし、改めてマウスの腫瘍に戻すという方法を免疫療法と組み合わせることにしました。
- 腫瘍から取り出したがん細胞の DNA に化学薬品で回復が不可能なほどの損傷を与えます(半殺し状態)
- このがん細胞を元の腫瘍に戻します
- 回復が不可能となったがん細胞からは、アポトーシスを誘導する信号が発せられます
- しかしこの信号を免疫システムが感知するためには、オプジーボなどの免疫療法との併用が必要でした
- 免疫システムが信号を感知すると 「半殺し」になったがん細胞だけでなく、腫瘍全体を対象として攻撃を始めます
- 半殺しにされたがん細胞は、半殺しにされた(不活性化された)ウイルス同様にワクチンとして働くことも判明しました
- 黒色腫と乳がんのマウスの40%において腫瘍が完全に消滅しました
この研究がうまくいけば、免疫療法の有効率を劇的に向上させて、がんの完治に繋がることも期待されます。