代替医療を考えるなら、今でも『がんに効く生活』
標準医療だけでは皆さん不安になります。そこで代替医療を探すことになるのですが、本屋に行けばたくさんのがん関係の本が並んでいます。たまたま棚にある本を選んでしまいがちですが、本当にそれがあなたのがんに役立つのでしょうか。
代替医療(統合医療)を考えるのなら、シュレベールの『がんに効く生活』はぜひ読んでください。10年前に邦訳版が出版されたものですが、代替医療に関して基本的な考え方は、今でも十分に役立ちます。
シュレベールとは
シュレベール氏は熱意ある科学者・医師であり、文筆家としての評価も高い。そして自身もがんサバイバーである。臨床精神医学教授、ピッツバーグ大学メディ カルセンター内総合医療センターの共同創設者にして、国境なき医師団の創立メンバーであり現在も国際的危機への介入に尽力している。
内容紹介(Amazon)
31歳のとき脳腫瘍が発見された精神科医の著者。自分の命の期限を知ってしまった著者は、「生きる」ことに望みをかける。摘出手術、化学療法を受けながら、がんのメカニズムを研究し、食事・心のケア・運動による「がん克服」メニューを導き出す。自らその方法を実践した著者は、がん発見から15年、いまも現役医師として活躍している。本書では、がんのメカニズムを解きながら、がんを育てない、たとえがんになっても成長させない、がん治療に効果的な体質にする生活術を具体的に紹介していく。さらに、脳腫瘍により、著者の人生も人生観も大きく変っていった。そのエッセイも随所に盛り込まれている。
がんと闘っている人、治癒してもなかなか不安が消えない人、身近な人ががんと告知された人、そして健康を維持したい人への、がん体験記と克服法の両方を併せ持つ新しい「抗がん(anticancer)」本。
シュレベール博士が最初の外科手術と化学療法を受けたあと、担当のがん専門医に、今後どのような生活をした方がよいのか、再発しないためには何に注意するべきかと質問した。
がん研究の第一人者でもある担当医は、「これといってすべきことはありません。普段どおりの生活を続けてください。定期的にMRI検査をしましょう。再発してもすぐに分かりますから。」と答えた。
「でも、自分でできるエクササイズとか、食べた方がよいものや食べてはいけないものとかがあるのでは? 精神的には何に気をつけた方がよいでしょうか?」と食い下がったが、「日常生活のこういう点に注意すれば再発が防げると断言できるような科学的なデータなど存在しないのですから」とにべもない。
こんな状況は、今日でも多くのがん患者さんが実感していることです。
彼は最終的には次のような結論に達します。「私たちは誰でも、体内にがん細胞の芽を持っているだけでなく、体自体がその芽ががんに育つプロセスを妨げるように作られている。それを活用するかしないかは、本人次第である」
目次
私も「がんに効く生活」を実践してきた
この本に書かれている「がんに効く生活」のほとんどが、私が「@私のがん攻略法」に書いて実行していることと共通しています。この方向でよいのだと、更に確信を与えてくれる著作でした。
巻頭にある次の言葉は、こころ(精神)の働きの重要さを改めて確認しているようで印象的でした。
「私はかねがね、科学としての医学の唯一の問題点は、十分に科学的でないところにあると考えている。
医師と患者が、自然の治癒力を通じてからだと精神のもつ力を引き出すことができるようになるまでは、現代医学が真に科学的になることはないだろう」 ルネ・デュボス(抗生物質の発見者)
医師であり、研究者、ピッツバーグ大学統合医療センターの院長でもあった著者が、自分のがんを合理的・科学的に考え抜いてサバイバーになったのです。
統合医療に興味がある人ならばぜひ読んでおきたい一冊です。