「医療危機」を解決する、上手な医者のかかり方

あなたの主治医が、毎日あるいは毎週「自殺」や「死ぬかもしれない」と考えているとしたら、どうしますか? あるいは、うつ病の傾向のある主治医だったら? 睡眠不足で診断をしているとしたら?

随分と昔のことですが、健康診断で、先生が私の胸に聴診器を当てたまま、コックリコックリと居眠りを始めたことがありました。

健康診断ならまだ良いですよ。これががんの診断で、CT画像を判定していたら・・・。

医療過誤や誤診は、こうした医師の過剰労働も原因になっているのかもしれません。

日本の医療が崩壊する、医療危機だとも言われています。そうなれば、被害を被るのは患者です。そうしないためにも、患者に何ができるのかを考えてみましょう。

知られていない「医療危機」

「週間 医学界新聞」の2月4日号にBuzzFeed Japanの岩永直子氏の『「上手な医療のかかり方」を広めよう』が寄稿されています。

そこには、現在の日本の医療の危機的な状態が明らかにされています。

  • 医師は、全職種中、最も労働時間が長い
  • 医師の3.6%が自殺や死を毎週または毎日考える
  • 6.5%が抑うつ中等度以上
  • 半数近くが睡眠時間が足りていない
  • 76.9%がヒヤリ・ハットを体験している

など、驚くような数字が挙げられています。

患者の受診行動も問題

2時間待って3分診療、患者の顔を見ないでパソコンの画面だけ見ている、どの抗がん剤を使うか、患者に決めろという。

患者と医療者のコミュニケーション不足から不信感につながり、治療拒否や代替医療への傾倒、クレームや訴訟などになり、双方に不幸な結果をもたらすことになるのではないでしょうか。

主な要因の一つが、患者の受診行動です。風邪に抗菌薬は効かないことを知らない。持病のない人なら、インフルエンザは休んで寝ていれば治るのに、病院に行こうとします。

それはしかし、患者だけの責任ではなく、少々の風邪では企業は休ませない雰囲気があります。同僚にの迷惑がかかる。したがって、インフルエンザで終業後の緊急外来にかかり、病院が混雑する。そうした社会的要因を無視できません。

インフルエンザに罹って休職した社員に「治癒証明書」の提出を求める企業もあります。せっかく治ったのに、またウイルスがいっぱいの病院に行く意味があるのでしょうか。

こうした社会や企業の無理解も医療を疲弊させている要因です。

患者にできること

「あの先生とは相性が合わない」とよく聞きます。どうしてもしかたのない場合もありますが、医者をイライラさせる患者も多いし、それに気付いていない場合もあります。

目の前の主治医は、もしかすると睡眠不足かもしれない。いや、うつ病の傾向があって、自殺も脳裏をかすめているかわいそうな人かもしれないと考えてみてはどうでしょう。

そうすれば、相手に対して慈しみの感情が湧いてくるでしょう。診察時間を有効に使って相手の負担を減らしてあげようと思うかもしれません。

自分の命を賭けた診察ですから、その場で思いつきを話すのでなく、事前の準備を入念にべきです。

現状をまとめ、質問したいことを箇条書きにし、自分の希望をきちんと書き出す。

そして、それを自分に窓口で渡して、「先生に読んで欲しい」と告げておく。できればスキャンして電子カルテに保存して置いてもらう。

こうすれば、医者も診察前に目を通してくれ、時間を有効に使えることになります。

すると、後の患者の待ち時間が短くなり、回り回って、患者の利益になるのではないでしょうか。

すべての患者に「患者力」を期待しても無理

モンスター・ペイシャントと言われる、問題のある受診行動をとる患者さんはごく一部です。また、自分の病気をよく勉強している熱心な人もごくわずかです。

大半の人は病気について知らないのです。

確かに「患者力」は大切だとは思いますが、全ての患者さんに「患者力」を期待するなんてことは、そもそも無理な話でしょう。

そういう人たちのために、情報を提供する場はあるのでしょうか。確かに「がん情報サービス」にはたくさんの情報があります。

しかし、がん患者には高齢者が多い。高齢者はパソコンやスマホを使いこなすことができません。そういう方が多いんです。

がん患者の多数である高齢者は、「がん情報サービス」にアクセスすることができません。アクセスができたとしても、必要な情報がどこにあるのかよく分かりません。自分が必要としている情報にたどり着けないのです。

多くのがん患者、特に高齢のがん患者は情報弱者となっています。

がんになった親のために、息子や娘たちが情報を検索して必要な情報にたどり着くことはできます。

『膵臓がん患者と家族の集い』に参加している多くの家族は、子供達が検索をして情報にたどり着き、参加の申し込みをし、一緒についてきます。

でもそうした幸運な患者は、がん患者全体から見ればやはり少数です。

「患者力を鍛えましょう」というのは正論かもしれませんが、全ての患者さんが必要十分な患者力を身につけるなんてことはありえないでしょう。

ではどうすれば良いのか。

  • 「がん情報サービス」のような、病気全般に対応できる、信頼できる医療情報サイトを国の責任で構築する。
  • AIを活用した相談アプリなどの開発をする
  • 高齢者に対する情報教育、スマホを使いこなせるスキルを教育する場を構築する

等が考えられます。

結局、信頼できる情報をたくさんの患者に届けるには、インターネットやAIを活用するしかないでしょう。高齢者にも優しい仕組みで、音声認識で検索できて、必要な情報が届く、そんなシステムが理想です。


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