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今日の一冊(113)「死に逝く人は何を想うのか」

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親しい人、最愛の人の死期が迫っているときに、私たちはどのように接すれば良いのでしょうか。

この本では、死を迎える患者さん特有の心の変化に焦点を当てながら、家族が「見送り」の際にできることについて考えていきます。

(116)死に逝く人は何を想うのか 遺される家族にできること (ポプラ新書)

(116)死に逝く人は何を想うのか 遺される家族にできること (ポプラ新書)

佐藤 由美子
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佐藤由美子さんは、ホスピス緩和ケアを専門とする米国認定音楽療法士です。長年米国のホスピスで音楽療法を実践してきた方です。またブログ「佐藤由美子の音楽療法日記」も開設されています。

大切な人との別れは辛いものです。あまりの辛さに誰もが打ちひしがれてしまいます。

私たちは、死に逝く人の気持ちがわかりません。何かをしてあげたいのに、何をしたらいいのかが分からない。どうすれば末期の患者さんの心に寄り添い、サポートできるのだろうか。

佐藤さんの1200人以上の人生を見届けたホスピス音楽療養療法士の経験から、多くの実話を紹介して「見送り」に必要なことが説明されています。

これまで気づかなかったこと、なるほどそうなのかと言う内容が盛りだくさんです。

生き方が人それぞれ違うように、死に方も人によって全く違います。その事実を受け入れる必要があると説きます。キューブラー・ロスが「死の受容」のプロセスとして五つの段階を示していますが、全ての患者さんがこうした段階を追っていくわけでもありません。最終的に死を受け入れる「受容」は、何も旅の最終地点ではなく、あらゆる段階で見られる現象なのです。

突然がんだと宣告される。また治療しても生きられる時間は長くはないと言われたとき、本人にとっても周りにとってもショックは大きいです。そして「そんなはずはない」あるいは「どうして自分だけが」という否定の思いや、怒りや絶望感に悩まされる時期が続きます。現状を受け入れられるようになるまでには、時間が必要なのです。

こうした「否定」の状態にある患者さんにはどのように接すればいいのでしょうか。例えば、余命いくばくもない患者さんが「早く元気になって海外旅行に行きたい」と言ったとします。それに対して「そうね、きっと行けるわよ」と言えば嘘になる。かといって、「旅行できるような体じゃないことはわかっているでしょう?海外旅行なんて無理よ」などと言えば、本人を傷つけることになる。

ここで大切なのは、彼らの言葉の奥底にある”希望”に気づくことだ。わかってほしいのは、「海外旅行にまた行きたい」という希望、つまり、「海外旅行にまた行きたいんだね」と患者さんの言葉を反復し、本人の気持ちを確認するだけでいいのだ。それだけでも患者さんは気持ちをわかってもらったと感じ、自分の気持ちを自覚することもできる。もちろん、何も言わずにただ耳を傾け、彼らの気持ちを受けとめるだけでも十分だ。

患者さんは、自分の死期をはっきりと悟ります。そして凄いエネルギーで「やり残したこと」を叶えようともします。それには家族のサポートが必要です。

また、音楽療法のすばらしい効果についても多くを語っています。

末期の患者さんであれば、自分の最期のときにはどうして欲しいのか、この本を参考にして家族に伝えておくことも、役に立つに違いありません。介護をしている家族であれば、死に逝く人の気持ちへの理解が深まるでしょう。


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