今日は「がん記念日」

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12年前の今日、6月11日は私の「がん記念日」です。

当時、境界型の糖尿病と言われて治療を続けていたところ、体重が減り、血糖値が急激に上昇してきました。

ちょうど会社の健康診断があったので、オプションで超音波検査を追加して、「糖尿病の先生が膵臓がんを疑っているので、膵臓だけを見てください」と検査技師さんに伝えました。

検査が終わると、女の若い技師さんでしたが、廊下をすっ飛んでいきました。そして診察室に呼ばれて、「主膵管が明らかに拡張しています。良性の可能性もあるからそんなに心配はしないでください」と言われましたが、先生の目を見ると笑ってはいません。

近くに、珍しく CT 装置を備えた小さな医院があったので、電話を入れると、すぐ CT 検査をすることができると言われました。

大学病院なら数週間先の予約になりかねません。この病院で検査をしてもらいました。

若い先生でしたが「膵体部に腫瘍がありますね。ただ腫瘍マーカーは基準値内なので良性であるか膵臓がんにしてもまだ初期なのかもしれません」と言われました。

私は「先生これは死刑宣告ですよね」と訊いたのですが、「そんなことはありません。やるべきことをやりましょう」との返事です。

その日のうちに手術ができそうな病院を探しました。手術数と、自宅からの距離を考えて、築地のがんセンターとがん研有明が候補であるとわかりました。

結局がん研有明にしたのですがその理由は、病室でインターネットに接続をしてもよいのががん研有明だったからです。(当時としてはめずらしかった)

12年前ですから wi-fi の環境が病院にあるはずありません。インターネット上で探してもすい臓がんに関する情報はほとんどありませんでした。

しかし予後が悪い膵臓がんは足が速い。その程度の予備知識はあったので、超音波検査で異常が見つかったその日のうちにがん研有明に、二日後の予約を入れました。

その二日間、インターネット、あるいは書籍でいろいろと調べましたが、膵臓がんに関しては気の滅入る情報ばかりです。


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二日後、がん研有明でも再び造影 CT 検査をして、先生は腫瘍の「大きさは約23 mm、膵臓がんの手術ができた場合の5年生存率は15%」などと説明をしてくれましたが、私が「先生、手術はできますか?」と尋ねると、「大きな血管に近いが、画像を見た限りでは1 mm ほど離れている。ギリギリで手術ができると思います。」と言われました。

「じゃあ先生、手術日を決めましょう」と私。

先生の返事には一瞬の間がありました。そりゃそうでしょう。膵臓がんで初診日にいきなり手術日を決めちゃう患者も多くはなかったのでしょう。

手術前の検査もあるので、手術日は2週間後に決定しました。

超音波検査で異常が見つかって2日後には手術日を決め、二週間後の手術に決めたのですが、それは膵臓がんは「がんの王様」で予後が悪い、しかも腫瘍の増大速度が速いいわゆる足が速いと言われている、その程度の知識はあったからです。

それと私の性格でもあるのですが、選択肢のない時にはあれこれと迷わない。膵臓がんで生き残るためには手術をするしかありません。手術ができなければいずれは死が待っていることが分かっていました。つまり生き延びたければ手術しか選択肢がありません。迷う必要はないのです。

なんといっても決定打は、主治医の先生を一目見て、この人なら信頼できるという第一印象だったからです。

第一印象って意外と当たるんですよね。主治医がパソコンの画面ばかり見て患者の方を見ないという話をよく聞きますが、この先生はニコニコと笑顔で、私のの目をまっすぐに見て丁寧に説明をしてくれました。

これが齋浦明夫先生でした。後に「若き神の手」と言われる、日本で有数の肝胆膵外科医でしたが、もちろん初診日にそんなことを知るはずもありません。しかし第一印象で「この先生なら命を預けられる」と思ったのです。

こうして手術から12年が経ちました。

私の経験から言っても、特に膵臓がんは早期発見がたいせつです。そして可能性の高い治療法を迅速に決めることもたいせつです。無限の時間が与えられているはずもないのですから、情報の取捨選択も重要です。

  • 早期発見
  • 迅速な決断
  • 情報リテラシー

12年前と違い、今日では有り余るほどの情報があふれています。昔はすい臓がんの情報がなくて困ったのですが、今では怪しげな情報も含めて選択に迷うほど溢れています。

患者として、この情報の海から必要な情報いかに素早く探し出すか。そのためにはインターネットの検索のスキルも大切です。そしてその情報を判断する能力、どの程度の科学的根拠がある情報なのか。そういった患者としての情報リテラシーも求められています。


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