膵臓がん、治療のやめ時は?
俳優の綿引勝彦さんが、年末の30日に膵臓がんのために75歳で亡くなられました。
綿引さんは劇団民藝て活躍され、その後テレビドラマや映画にも出演していたことを記憶しています。ポケモンのCMにも出ていました。女優の樫山文枝さんは奥さんです。
3年前に、膵嚢(のう)胞を取り除く手術を受けたが、その際に進行性のがん細胞が見つかったとのこと。書かれてはいませんが、手術はできなかったのでしょう。
その後肺への転移が確認されました。しかし昨年11月には積極的な治療はやめて、自宅と信州の山小屋で、療養と身辺整理を続けていたということです。
樫山文枝さんがいうには、「どうして膵臓がんになったのかなあ」と嘆いていたそうですが、「仕方ないよ」と慰めあいながらこの一年は夫婦で寄り添ってきたと語っています。
最期は穏やかに逝かれました。
膵臓がんの最期は、激しい痛みに襲われるということもよく言われます。倉本聰のテレビドラマ「風のガーデン」で中井貴一が演じる主人公の麻酔科医が、膵臓がんの激しい痛みに耐えるシーンが度々登場しましたが、実際には痛みの程度も患者さんそれぞれですね。
がん細胞の位置にもよります。腹腔神経叢に近いところの腫瘍ですと痛みが激しいのではないでしょうか。
逆に、私の友人もそうでしたが、十二指腸に近い部位であれば、腫瘍が大きくなっても最後まで痛みを感じることは少ないようです。亡くなる前日まで笑顔で過ごしている患者さんだっていました。
鍵となるのは無理な抗がん剤治療をしないってことでしょうね。
これでもかこれでもかと、最後まで命に執着して抗がん剤を続けると、あまり良い結果にならない気もいたします。
治らない膵臓がんの場合、「人生会議」という提案もありましたが、その一環としても治療のやめ時を考えておいた方が良いように思います。