ドラッグ・ラグ解消へ一歩前進か

Twitterの「膵臓がん」タイムラインをサイドバーに表示していましたが、暗いつぶやきばかり多いので削除しました。Twitterもやる気にもならないし。


27日の朝日新聞のニュース

未承認薬、条件つき容認へ 重病患者を対象、厚労省方針

 厚生労働省は、ほかに治療法がない重い病気の患者に対し、国内では承認されていない薬を一定の条件で使えるように制度化する方針を固めた。26日夜、薬事行政の見直しを検討している厚労省の審議会で大筋了承された。同様の制度は欧米にあり、がん患者らが要望していた。
 日本は欧米に比べて薬の承認時期が遅れるため、欧米で受けられる最新の治療を受けられないことがある。医師や患者が海外の薬を個人輸入して使っている例もあるが、偽造薬を買わされる危険性や、副作用が起きたときに対応ができるのか、などの問題がある。
 創設する制度では、欧米で承認済みで、国内で承認を得るための臨床試験(治験)が始まっている薬を対象とする。医療機関が厚労省に必要な届け出をすれば、複数の病気を抱えているなど治験に参加できない患者に、この薬を使えるようにする。患者にとっては治療の選択肢が広がることになる。

この記事だけでは詳細がよく分からないが、ドラッグ・ラグ解消への第一歩となるのでしょうか。未承認でも保険で使えるようにするのでしょうか。それとも混合診療禁止の例外として、この薬には保険適応はできないが、他の保険診療との併用を認めるという意味なのでしょうか。

ただ、これだけでドラッグ・ラグがすぐに解消するとは思えません。ドラッグ・ラグの問題は厚生労働省の承認審査が遅いという側面もありますが、それ以上にグローバルな製薬企業から見たら、日本での臨床試験、承認を経ての販売には魅力がなく、後回しになっているのも原因です。今回の厚労省の方針も「国内で承認を得るための臨床試験(治験)が始まっている薬を対象とする」のですから、製薬企業が臨床試験を始めないかぎりは使えないし、すぐに多くの臨床試験が始まるという見通しにも乏しいのではないでしょうか。

11月25日にイレッサの添付文書が改訂されたことは、大きくは報道されませんでした。「イレッサ:EGFR遺伝子変異陽性例のみの使用に

薬害イレッサ原告団の「全面解決要求書」にある、

3 国は、イレッサの再審査にあたり、少なくともイレッサの適応をEGFR遺伝子変異が陽性の患者に限定したうえで、今後の投与症例につき全例登録を義務づけるとともに、EGFR遺伝子変異陽性患者に対する、全生存期間を主要評価項目とした比較臨床試験を義務づけること。

との要求の一部を遅まきながら認めた格好です。わずか半年という短い審査期間で承認され、多くの患者に有効であったと同時に、たくさんの間質性肺炎による死者を出した結末が、今回の添付文書改訂だとしたら、藁を持つかむ気持ちで投与されて死んでいった患者の想いが通じたと解釈すべきでしょうか。

今回の未承認薬への方針によって、イレッサのような例が起きないことを願うばかりです。もちろん、がん患者として、末期で「これ以上治療法がありません」といわれたとき、海外にはあるではないか、それを使いたいという気持ちは当然です。仮に重篤な副作用があるかもしれない、日本人への効果は証明されていないとしても、それでも良いからと一縷の望みに掛けようと考えることも自然な感情です。がん患者は誰でも「自分には効くかもしれない」と生きる希望をつなぐのですから。

一歩前進かもしれませんが、詳細が待たれます。


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