進化したフォトカウンティングCTで、数mmの膵臓がんが見つかる
東海大学医学部付属病院が、シーメンスヘルスケアのフォトンカウンティングCT「NAEOTOM Alpha(ネオトム アルファ)」を導入すると報じられています。
これはすごいデバイスですよ。
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現在主流のCTは固体シンチレーション検出器を搭載している。X線がシンチレーターに当たると可視光に一旦変換され、それがフォトダイオードによって電流情報になるため、可視光の強さ(X線のエネルギー情報の積分値)の情報しか得られない。
一方で、シーメンスのフォトンカウンティング検出器は、光の粒子(X線も光と同じ電磁波です)を一個一個数えることができ、更に光のエネルギーを弁別することができるのです。
X線のエネルギー情報の積分値しか得られなかった従来型CTになかった機能として、X線フォトンのエネルギー情報を計測できることによるスペクトラルイメージングが挙げられる。これはエネルギー情報によって体内の物質を識別することで、血流部分や炎症を起こしている部分、カルシウム成分などを強調・除去した物質選択的な画像を作成する機能のこと。
感度が格段に良いので、患者の被ばく線量を少なく、しかもより高精度の画像を得ることができます。
フォトンカウンティングCTはアノード(X線フォトンから変換された電子が流れ出す電極)を細かくすれば、画素数を増やすことができる上、フォトンを個別にカウントすることで高解像度の画像が得られる(写真2)。東海大学医学部長の森正樹氏は、「例えば膵臓癌は1cmでも進行癌であることが多いので、できるだけ小さい段階で見付けなければならない。高精細な画像が得られるこのCTを使えば、数mmのレベルで検出できるようになるのではないかと考えている」と話す。
実はこのエネルギー弁別型のフォトカウンティングデバイスを使ったシステム、シーメンスのものではないですが、同じデバイスを工業分野に応用するステム開発に、私も少し関わっていました。15年も前の話ですが、新しい技術が出てくるにはその程度の時間が必要なのでしょうね。
デバイス自体は、半導体メーカーである株式会社アクロラド(沖縄県うるま市、代表取締役社長:大野 良一)が15年もまえから研究開発しています。シーメンスもこのデバイスを使っています。
当時からこのデバイスが医療に応用できればすごいことになるだろうと期待していました。