膵癌術後化学療法は、GEMからTS-1になるだろう
久しぶりにDP1 Merrillで散歩。自販機の背景の絵は新潟県十日町市の美人林でしょうか? どらえもんの「どこでもドア」のようです。

膵臓がんの術後化学療法はGEMよりもTS-1が優位であると、先日JASPAC-01試験の結果が出た。Abstractに関してはこちらに書いたが、「癌Experts」誌には杏林大学医学部主要な医科学教授:古瀬純司先生の解説「日本人における膵癌術後補助化学療法の標準はS-1に」が載っている。こちらには生存率曲線もあり、古瀬先生の見解も知ることができる。
- ゲムシタビン群の2年生存率は53%(95%信頼区間:46-60)
- S-1群の2年生存率は70%(95%信頼区間:63-76)
- 全生存率(OS)のハザード比が0.56で、死亡リスクを44%下げることを意味するが、これは驚異的な数字である。
- プラセボ対照試験のように大差がついたのは大きな驚きです。

- 無再発生存期間(RFS)中央値はゲムシタビン群が11.2ヶ月
- 同様に、S-1群は23.2ヶ月
- ハザード比はこちらも0.56
結論は、
- この結果は、S-1の術後補助化学療法としての有効性をしっかりと示した
- CONKO-001試験のOS中央値は約23カ月。JASPAC-01試験では25.5ヵ月であり、ほぼ同等
- 無再発生存期間中央値は、JASPAC-01試験の方がやや悪い。ですから、特に良い症例だけを登録した試験ではないことになります。
- 進行癌で同程度の効果を示した薬剤同士が、術後補助化学療法では大きな差がついた理由の1つは、直接の抗腫瘍効果の差、つまり、
- S-1の方が、肉眼では検出できない微小な遺残癌をきちんと排除する力がある。
CONKO-001試験はヨーロッパでの試験であり、今回は日本人を対象とした試験ですから、民族の差があるのかもしれません。TS-1がアジア人に対してより効果があるという情報がどこかにあったような気がします。