ステントは金属が良いか、プラスチックが良いか

先日の「膵臓がん患者と家族の集い」において、支持・緩和療法としてのステント療法では、金属製とプラスチック製のどちらが良いのでしょうかという質問がありました。

これに対して、きゅんきゅんさんが先日、がん研有明病院においてセカンドオピニオンを受けられた際に質問をして頂き、尾坂先生から次のような回答を得られたそうです。

胆管ステント(だと思う) という想定で、お答えとしては最新のガイドラインでも基本は 金属ステント が推奨されている。重粒子線は線量が強いので要注意だけれど 通常の放射線(CT、MRI 等 )は問題ない、との事。

金属アレルギーがあればプラスチックを使うだろうけれど、やはり主治医に不快感を伝えて相談しながら決めると良いみたいてす。

ステントを留置するとその後放射線治療ができないのではないかという疑問が前々から出されておりましたが、重粒子線や陽子線の場合は要注意ですが、通常の放射線治療のレベルでは問題ないらしいとのこと。

さらに「膵癌診療ガイドライン2022」で調べてみました。

金属ステントとプラスチックステント

「膵癌診療ガイドライン 2022年」では次のように書かれています。

膵癌診療ガイドライン 2022年版

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CQ(クリニカル・クエスチョン)

SSt2:(術前補助療法を前提とした場合)閉塞性黄疸を伴う切除可能、あるいは切除可能境界の膵癌に対してメタリックステントは推奨されるか?

ステートメント:

  • メタリックステントを提案する
  • 待術期間が短期間の場合はプラスチックステントも提案する

また切除不能膵癌に対しては、「膵癌診療ガイドライン2019年版」では、閉塞性黄疸を伴う切除不能膵癌に対してプラスチックステントと自己拡張型メタリックステント(SEMS)のどちらが推奨されるかという C Qがあり、メタリックステントを推奨する(推奨の強さ:強い、エビデンスの強さ:A)と報告された。

しかしプラスチックステントと比較して SEMS の有用性は明らかであるので、「膵癌診療ガイドライン2022年版」では C Qとして取り上げられていない。

2022年版では

CQ SSt3:

閉塞性黄疸を伴う切除不能膵癌に対してカバー付きメタリックステントは推奨されるか ?

に対して、

ステートメント:

カバー付きメタリックステントを用いることを提案する。(推奨の強さ:弱い、エビデンスの確実性:B)とされている。(プラスチックステントとの比較はなくなった)

金属ステントと放射線治療

「膵癌診療ガイドライン2022」では

CQ

SSt6:

閉塞性黄疸を伴う切除不能膵癌に対して化学療法、放射線療法を行う際に、メタリックステントは推奨されるか?

次のように書かれています。

放射線療法中の胆管ステントの種類による比較を行った報告は見出せなかったが、胆管メタリックステントを留置した膵癌に対する化学放射線療法施行後に右管動脈の仮性動脈瘤からの出血例が報告されている。ただし胆管メタリックステント留置例での仮性動脈瘤出血は放射線非施行例でも報告されており、放射線療法の影響の有無については不明である。

以上より切除不能膵癌に対する放射線療法中の胆管ステントについて、メタリックステント・プラスチックステントいずれかを推奨するには至らなかった。

つまり金属ステントを留置して放射線療法を行った例では、仮性動脈瘤出血の事例が報告されているが、その例では放射線治療との因果関係はあきらかではないということです。

ほぼ安全と考えてよろしいのではないでしょうか。


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