今日の一冊(171)『がんの消滅:天才医師が挑む光免疫療法』

第5の治療法「光免疫療法」

8月3日、楽天メディカル株式会社が、同社が創薬した抗CD25抗体-色素複合体である「RM-1995」と、波長690nmのレーザ光照射のための機器を用いたアルミノックス治療(光免疫療法)について、「肝転移を有する進行または再発固形がん」に対する第1相臨床試験(RM-1995-102/jRCT番号:2031220721)を国内で開始したことを発表した。こちらの記事 ↓

肝転移した膵臓がんも対象に含まれていて、いよいよ膵臓がんでも光免疫療法が使える第一歩に入ったかと、感慨深かったです。

楽天メディカルのアルミノックス治療免疫療法(光免疫療法)は、手術、放射線、抗がん剤、(オプジーボなどの)免疫療法に次ぐに次ぐ「第5の治療法」とも言われています。

これまで光免疫療法については開発者の小林久隆先生のもの、永山悦子記者のものなどがありましたが、今回芦澤健介氏が、専門用語も分かりやすく解説して、光免疫療法の開発過程その特徴小林先生と楽天の三木谷会長のこの治療法にかける思いなどを描いています。

今回の第一相臨床試験は転移した肝臓への適用ですが、膵臓の原発層への適用もいずれ実現することでしょう。

ただその際に問題になるのは、手術のできない膵臓がんの多くは周囲の大きい血管に腫瘍が巻き付いていることです。光免疫療法で治療をすると、その時点で腫瘍がパラパラと剥がれ落ちていくと言われています。この点に多くの医師が目を見張るのですが、大きな血管にできた腫瘍が突然なくなってしまうと、蓋をしていた腫瘍が剥がれるのですから、大出血を起こして患者が死亡することがあります。

アメリカでの第一相試験において1人の患者がそのために死亡したのですが、小林先生はその点について「血管にステントを入れておくべきだったのにそれを怠ってしまった事故だ」とと述べています。対策はあるのです。

放射線治療は、数十グレイという大きな線量を照射するので、何度も治療を繰り返すことはできません。しかし光免疫療法は何度も治療することが可能です。急がなくて良いのです。

大血管にまとわりついた膵臓がんの腫瘍に対して、抗体医薬品も少量にして正常細胞が再生してくるのを確かめながら徐々に照射をしていけば良いのです。

こうすれば大きな血管にまとわりついた膵臓がんの腫瘍に対しても治療が可能になります。

こういったことなどを芦澤健介氏が説得力を持って紹介をしています。

現在の膵臓がん患者さんに適用するには、まだ5年10年という時間がかかるでしょうから難しいに違いありませんが、その途中でも何度か臨床試験に巡り合う可能性はないとは言えないでしょう。

「RM-1995」は、膵臓がん患者で亡くなった三木谷会長の父、三木谷良一氏の頭文字と、彼の生まれた年から取ったとのエピソードも紹介されています。

「第5の治療法」に大いに期待が高まります。

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巷のクリニックで行われている「光免疫療法」はインチキです。

「光免疫療法」に期待が集まり、臨床試験のニュースも流れるようになると、悪徳クリニックが跋扈します。

インターネットに「光免疫療法」でキーワードを入力して検索すると、上記のようなたくさんの自由診療のクリニックの宣伝が出てきます。

頭頚部がん以外の固形がんでも治療できるかのように書かれています。

しかし、これらは全てインチキです。高額な医療費を請求されます。

「光免疫療法」を受けられる医療機関は楽天メディカルに記載されています。

同時に、楽天メディカルのサイトには次のような注意書きが書かれています。

弊社の光免疫療法(アルミノックス™プラットフォームに基づき開発された医薬品・医療機器を用いた治療法)による治療が受けられるかのように標榜するウェブサイトがありますが、正確な情報ではないことがありますので十分ご注意ください。
弊社製品による治療は、クリニックでは実施しておりません。
また、この治療は、保険適用であり、高額療養費の自己負担限度額を超える額については申請により支給を受けることができます。

楽天メディカル:https://rakuten-med.com/jp/pts/


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