今日の一冊(86)『最新放射線治療でがんに勝つ』

宇都宮に高精度放射線治療センター

はっきり言って、宇都宮セントラルクリニックの宣伝本です。このクリニックは、放射線による画像診断を得意としてきたのですが、この冬にはサイバーナイフとトモセラピーを備えた「高精度放射線治療センター」が開設されるそうです。

役にたつ情報が載っているのなら、宣伝本だからダメとは言えません。

サイバーナイフとトモセラピーの違いや、トモシンセシス、ABVS、PEM、DCハイブリッド療法、BAK療法、ハイパーサーミアの欠点を改良したオンコサーミア(腫瘍温熱療法)などをわかりやすく解説しています。

「手術はできません」と言われたら、あとは抗がん剤しかないのか?がんの三大療法は、手術、放射線、抗がん剤であるが、治癒を望むことができるのは手術と放射線だけです。手術ができなくても放射線がある。

ところが、欧米では放射線治療を選ぶ患者は6割もいるのに、日本では3割以下である。これは胃がんの手術から発展してきた日本のがん治療の遺産だろう。がんの拠点病院でも、手術のできない患者に放射線治療の可能性を説明する医師は少ないと聞きます。

膵臓がんにも適用できる放射線治療の進歩がめざましい

重粒子線や陽子線が注目されるが、他の放射線治療も日進月歩です。なかでもガンマナイフから進化したサイバーナイフとトモセラピーの治療機器の進化が著しい。

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サイバーナイフ:6センチ以下の初期のがんに有効。原発巣に再発した場合も有効。
トモセラピー:進行がん、再発・転移したがんにも有効

ともに膵臓がんにも保険適用(条件あり)です。

トモセラピーはアキュレイ社の登録商標で、IMRT(強度変調照射)の装置です。一本の放射線野の中で強い部分と弱い部分を混在させることができるので、正常細胞へのダメージがより少なくなります。トモセラピーは、ヘリカル回転照射モードなら、1回の治療で原発巣と転移巣への照射が可能です。膵癌が肝臓に多発したような場合にも1回の治療で照射することができます。

アブスコパル効果:放射線をがんに照射すると、がん細胞が死に、死んだがん細胞から免疫の刺激作用があるタンパクや、がん抗原などが放出される。その物質をマクロファージや樹状細胞が吸収し、腫瘍を特異的に攻撃する細胞障害性Tリンパ球を活性化させる。この細胞障害性Tリンパ球が遠隔のがん細胞も攻撃する。これがアブスコパル効果のメカニズムと考えられている。

DCハイブリッド療法:NKT細胞、NK細胞、ガンマ・デルタT細胞、キラーT細胞、ナイーブT細胞、ヘルパーT細胞、DC(樹状細胞)の七種を活性化する。治療費は300万円。

オンコサーミア(腫瘍温熱療法):放医研では再発食道がんの治療に用いている。13.56MHzの電磁波が、がん細胞の細胞膜だけに集中する特性を利用して、細胞膜の内外に温度差を生じさせて細胞膜を破壊する。がん細胞をアポトーシスに導く。

これって、細胞膜を破壊することでは光免疫療法に似ていますね。

宇都宮セントラルクリニックでは、この他にライナス・ポーリング博士が発見したという「超高濃度ビタミンC点滴療法」も提供しています。がんには効果がないことが証明されているにもかかわらずです。

しかし、免疫療法とトモセラピーを同じ医療機関で行えば「混合診療」になり、全ての治療が全額自費になるのではなかったか? この点、このクリニックではどのように処理しているのだろうか。


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