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今日の一冊(107)「最先端治療 胆道がん・膵臓がん」

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がん治療を解説した書籍はたくさん出版されていますが、その多くは標準的な治療法を解説するだけに留まっています。

しかし難治性のがんである胆道がんと膵臓がんでは、標準治療だけでは、患者にとってはなかなか希望が見出せません。

膵臓がん患者は、希望が持てる最新の正しい知識を求めているのです。

そうした患者の要求に応えようと、ある程度努力した内容となっています。

ある程度と書いたのは、再発、転移後の治療法に関しての情報がほとんどないからです。再発しても健康保険で使える治療法はあります。しかし、それらにはまったく触れられていません。国立がん研究センターの出版物の限界なのでしょう。

たとえ、がんをすべて取り除くことができない場合であっても、がんとともに、苦痛を感じることなく、できるだけその人らい生活を送り続けることが大な目標となります

と、奥坂拓志先生が書かれているように、手術ができない患者、再発・転移した患者は、抗がん剤治療が唯一の選択肢であり、その後は緩和ケアですよ、と言っていることになります。ガイドラインに従えば、当然そうなるのですが、再発・転移した患者には、治験・臨床試験への参加があるとは言え、この本からは希望は見いだせません。

もちろん、標準治療に関しては、その内容が詳しく網羅されています。

また、治験や臨床試験中の検査法、治療法も取り上げられており、膵神経内分泌腫瘍(膵NET)、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)についての検査方法や治療法についても取り上げられています。

例えば、膵臓がんが確定できない場合に行われるEUS・FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診)の説明では、検査による合併症の説明では、

EUSは比較的安全な検査ですが、まれに消化管出血や消化管穿孔などの合併症を起こすことがあります。EUS/FNAの場合は、さらに、急性膵炎や感染症、臓器損傷や臓器出血、がんの播種(がん細胞を穿刺針でほかの場所に移してしまうこと)を起こすことがあります。

日本消化器内視鏡学会の全国的な集計によると、合併症の発生頻度は、 EUSで0.042% 、EUS/FNAで0.716%とされています。

この検査により、がん細胞を胃壁に播種させてしまい、胃の一部を切除した膵臓がん患者にもお会いしたことがあります。検査には必ずリスクが伴います。

また近年、ステージ4でも手術をする症例が増えていますが、ボーダーライン膵癌に対する治療の現状について、その治療成績も掲載されています。

第3部では、近未来の検査法と治療法について、膵臓がんに関するものでは、次のものが取り上げられています。

  • BRCA膵がんに対するPARP阻害薬
  • がんゲノム医療のこれから
  • MRIガイド下放射線治療システム(MRIdian)
    メリディアンについても紹介されていますが、早く実用化してもらいたいものです。
  • 重粒子線治療(膵臓がん)

第4部は、国立がん研究センター中央病院の宣伝のような内容です。これは病院のパンフレットとして出せば良いのであって、この本には不要ではないでしょうか。築地に通える患者ばかりではないですから。

告知されて間もない患者、一次治療中の患者には役立つ書籍です。

最先端治療 胆道がん・膵臓がん (国がん中央病院がん攻略シリーズ)

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国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科、肝胆膵外科、他
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