今日の一冊(176)がん「エセ医療」の罠:岩澤 倫彦

がん「エセ医療」の罠 (文春新書 1456)

がん「エセ医療」の罠 (文春新書 1456)

岩澤 倫彦
1,210円(07/05 19:53時点)
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本の帯には、

あなたを喰いモノにする「自由診療」、免疫療法に騙されるな!、治療費4クール1600万円、途中で患者を見放す「闇堕ち」医師

などの文字が並んでいます。金のためなら患者を騙しても平気だという悪魔のような医者もいます。

もしあなたが治療法に迷っていて、巷のクリニックによる自由診療の「免疫(細胞)療法」を考えているのであれば、まずはこの本を読んでからにしてはどうでしょうか。

患者は治らない膵臓癌だと分かっても、何か助かる方法があるのではないかと考えて、普段は科学的リテラシーの高い方であっても、悪徳クリニックの宣伝文句に騙されてしまいます。

藁をもつかみたい気持ちの患者に対して、

  • 他の免疫細胞療法クリニックはインチキだ
  • うちは、樹状細胞を患者個人のがん抗原に合わせて作る
  • 少量のオプジーボと併用した独自の治療法での経験がある
  • 奏功率は80%である
  • 中にはがんが消えた患者も相当いる
  • あなたに5年、10年の人生をプレゼントしたい

このような言葉を投げかけられると、自分は科学的リテラシーが高いと自負している高学歴の患者でも、命がかかった瀬戸際には簡単に騙されてしまいます。

一番危ないのは、数千万円程度の退職金をもらった方あるいは相当の貯蓄のある方が、「金で治るのなら」との思いから、これらのクリニックの餌食になります。

巷のクリニックで行われている「免疫細胞療法」と謳ったインチキ療法を告発し続けてきた岩澤さんが新しい著作を出しました。本の「はじめに」から一部を引用します。

がん「エセ医療」の罠 (文春新書 1456) 患者だけが知らない「エセ医療」の罠

日本のがん医療には、無法地帯というべき闇がある。

「がんが劇的に消えた」「骨転移があっても効いた!」「ステージ4でも諦めない」などの謳い文句を使い、がん患者に奇跡的な治療効果を期待させて莫大な費用を取る、自由診療のがん治療のことだ。まるで最新の医療テクノロジーを駆使した、特別な医療であるかのように見えるが、実際は、現代医療に必須のエビデンス(科学的な根拠)が存在しない。規制する法律がないために、モラルを欠いた一部の医者が、命の瀬戸際に追い詰められたがん患者を相手に、荒稼ぎしているのだ。

進行がん治療の第一人者である、日本医科大学腫瘍内科の勝俣範之教授はこう述べる。「世界医師会によるヘルシンキ宣言では、『有効性が確認されていない治療は医療行為ではなく、研究として行わなければならない』としています。しかし、日本では有効性が確認されていない自由診療を行う医師が、誇大広告や虚偽広告によって患者を集めて多額の報酬を得ています。これは患者にとって有害な医療であり、『エセ医療』と呼ぶべきでしょう」

小林製薬の紅麹コレステヘルプによる死亡事故が報じられておりますが、問題視される「機能性表示食品制度」は安倍案件です。2015年に「機能性表示食品」制度の創設により、事業者が安全性と機能性にかんする科学的根拠などを消費者庁に届ければ、審査なしで機能を表示できるようになったですが、これを強力に推し進めたのが安倍晋三元総理でした。

どうように、2014年に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(以下、再生医療等安全法)」で、自由診療の免疫細胞療法が公認されたのです。

当時の安倍政権が、再生医療を成長戦略の一つに掲げて、有効性が確立していない免疫細胞療法を、患者が高額な費用を負担して行うことができるように認めたのである。以来、この法律は世界標準のEBMを無視して、エセ医療を国が公認した『天下の悪法”といわれるようになった。

がん「エセ医療」の罠

このような状況に対して厚生労働省も重い腰を上げて、悪質なエセ医療を抑え込む戦略を計画したが、法改正の有識者会議において、自由診療クリニックの顧問弁護士が「限定解除」という例外規定の追加を要求し、それが通ったことで骨抜きの法改正となってしまった。

中には本心から効果を信じて患者のためにと努力している医者もいるのでしょう。しかし、大多数のクリニックは、金のためには患者のことは二の次と考えているが現実です。

6年前の記事ですが、こちらも是非参考にしてください。


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