ーー 目次 --
- 1 がんに効く生活ー克服した医師の自分でできる「統合医療」
- 2 このまま死んでる場合じゃない! がん生存率0%から「治ったわけ」「治せるわけ」
- 3 「がん」では死なない「がん患者」 栄養障害が寿命を縮める
- 4 がんが自然に治る生き方――余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと
- 5 がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点
- 6 がんを生きよう―あなたのT細胞が治療の主役です
- 7 サイモントン療法―治癒に導くがんのイメージ療法
- 8 孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜
- 9 がんとともに、自分らしく生きる―希望をもって、がんと向き合う「HBM」のすすめ
- 10 「死ぬのが怖い」とはどういうことか
- 11 がんは引き分けに持ち込め
- 12 抗がん剤治療の正体
- 13 がん患者のためのインターネット活用術
がんに効く生活ー克服した医師の自分でできる「統合医療」
統合医療のバイブル本。統合医療とは、現代西洋医療に全人的医療を加え、代替医療に科学的根拠(エビデンス)を加えて、それを有機的にと統合したものです。
著者のシュレベールが、死の宣告からどのようにして生還したのか、がんの弱点、効果のある食物、心の有り様まで含めた治癒への道が解き明かされています。内容は実証的であり、背景となる論文もあげた上での著者の考察です。シュレベールの考えを一言で言えば「がんを治すことのできる代替療法は一つもないが、自己治癒力・自然の防衛力を無視することもナンセンスである」ということです。信頼できる統合医療は、この本で言い尽くされています。これ一冊あれば他の本は要りません。
このまま死んでる場合じゃない! がん生存率0%から「治ったわけ」「治せるわけ」
肝臓や肺に転移があっても、諦める必要はない。完治することもある。少数転移説(オリゴメタ説)によれば、標準治療を駆使して充分に治ることは可能である。 岡田医師と患者の善本さんによる生存率0%からの生還の記録。
転移があれば手術はできません。これが標準治療です。しかし、末期がんであっても、何割かは少数転移がん(オリゴメタ)です。オリゴメタ説によれば、治療法はあり、完治することも可能なのです。
「がん」では死なない「がん患者」 栄養障害が寿命を縮める
がん患者の多くが感染症で亡くなっている。歩いて入院した人が、退院時にはなぜか歩けなくなっている。
入院患者の3割は栄養不良――。まさに「病院の中の骸骨」とも言うべき高度栄養障害の患者がたくさんいる。こうした実態の背景には、栄養管理を軽視してきた、日本の病院の驚くべき「常識」があった。
人生最後のときまで食べたいものを食べ、がんを抱えてでも、本来の寿命まで元気に生き抜くことはできる。
そのために、私たちが知っておきたいことは何か。超高齢社会において、医療はどう変わらなければならないのか。
ゲルソン療法は危険です。四つ足の動物は食べないには根拠がない。栄養障害を改善したら余命一ヶ月の患者が5年生存した例も。
がんが自然に治る生き方――余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと
がん患者なら誰しも、自分にだけでも奇跡が起きて欲しいと願うものでしょう。
現代医療、標準医療を無視するわけではありませんが、それだけでは統計的な生存率、生存期間はだいたい定まっています。手術不能のがんであれば、抗がん剤には延命効果しかなく、治癒を期待することはできません。
治癒の可能性があるとすれば、それは代替療法と現代医療を併用した統合医療にあるのでしょう。
どのような代替医療を選択するべきか。そのヒントを得ることができます。
この本、中には首をかしげるような内容もありますが、膵臓がんのように「治らないがん」を宿した患者には福音となるものです。
ターナー博士が上げた9つのこととは、
- 抜本的に食事を変える
- 治療法は自分で決める
- 直感に従う
- ハーブとサプリメントの力を借りる
- 抑圧された感情を解き放つ
- より前向きに生きる
- 周囲の人の支えを受け入れる
- 自分の魂と深くつながる
- 「どうしても生きたい理由」を持つ
がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点
精神腫瘍学とは、昔は、がんが心にもたらすダメージについての研究が多かったのですが、次第に、「心の状態ががんにどんな影響を与えるか」という研究に移り、それ以降、がんと心の関係を研究する新たな分野が確立されました。それが、私の専門とする「サイコオンコロジー(精神腫瘍学)です。
うつの患者さんの心をケアすることで、がんの予後を左右するということはあまり知られていません。このブログでも執拗に取り上げているように、心を元気にすることは、がんの治療そのものと密接な関係があるのです。がんであっても、なくても、「心のありかた」が健康に大きくかかわっています。
日本人の半分はがんになるというのを、「がんになったら半分は死ぬ」と誤解している人が多いのですが、実際にがんで亡くなる人はずっと少ないわけです。さらに、がん全体の五年生存率は六〇%にまで達していて、元気になった患者者さんが大勢います。実際には心臓病や脳卒中など一般的な病気で亡くなる人が多く、がんをそれほど特別視する必要はないのです。
がんを生きよう―あなたのT細胞が治療の主役です
進行がんの患者さんの多くが普通の生活をおくれないのは、がんによる仕掛けとがん治療の副作用による二つの”壁”があるためです。この二つの壁を乗り越えて、T細胞が元気になる生活をすることが「がんを生きる」ための確実な方法です。
第1章は「T細胞によるがん制御の仕組み」、第2章は「T細胞によるがん治療法の開発」で、伊東先生の研究生活をふりかえりながら、T細胞との出会い、免疫系におけるT細胞の役割をわかりやすく解説しています。最近話題の免疫チェックポイント阻害剤の開発にも触れて、T細胞ががんとの闘いの主役となる時代を展望しています。
サイモントン療法―治癒に導くがんのイメージ療法
サイモントン療法は、アメリカの心理社会腫瘍学の権威カール・サイモントン博士が開発したがん患者とそれを支える人々のための癒しのプログラムです。
私たちの心や感情が身体に及ぼす影響は、近年、科学的に解明されています。
本書では、治療の毎日の中で生み出されるストレスを効果的に解消する「ビリーフワーク」や「イメージ療法」など、さまざまなアプローチでがんを治癒へと導くサイモントン療法の実践的方法をわかりやすく解説します。
心と身体に癒しが訪れる「メディテーション」CD付き
孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜
ブログ『がん治療の虚実』でがん患者のために、がんの情報を分かりやすく説明している押川勝太郎=sho先生の著作です。
がん治療の科学的根拠を一般の患者にも分かりやすく丁寧に説明してくれます。これって結構難しいことなんですね。「科学的」にこだわれば専門用語や統計の話になる。難しいことを難しく説明するのは簡単ですが、難しいことを優しい言葉で説明することは相当のエネルギーと深い知識と経験がないとできません。
私はがん治療医として、20年以上にわたりがん患者さんと接しています。また、勤務医としてできることに限界を感じ、NPO法人宮崎患者共同勉強会を設立してがん患者さんの不安や要望に正面から対応してきました。
本書では、実際にがん患者さんやその家族から寄せられる質問を厳選しました。その上で、ひとりのがん治療医として医学的妥当性を保ちつつ、患者さんの心情に寄り添ったアドバイスを綴っています。
と本書を上梓した動機を述べています。
- がんを告知された患者にとって、目の前が真っ暗で落胆することが多いでしょう。告知された当初は「何が分からないのか、分からない」状態です。
- 抗がん剤は本来、患者の苦しみを和らげるためのものです。耐えられない副作用に耐えてまで抗がん剤をやるのは本末転倒です。
- 代替医療は「絶対悪」ではないと考えています。「まだ別の選択肢がある」と患者が希望が持てることもある。
- がん治療だけに残りの人生やお金をつぎ込むのは懸命ではない。
- 治療だけの修行のような人生となるのは、あまりにももったいない。
などなど、患者会を主催していたsho先生ならではの、実践的な助言が豊富に載っています。
がんとともに、自分らしく生きる―希望をもって、がんと向き合う「HBM」のすすめ
虎の門病院臨床腫瘍科 高野利実先生は、EBMではなく、HBM(Human-Based Medicine)を提唱しています。
高野先生は、「あなたにとってプラスになるなら、抗がん剤を使えばいいし、あなたにとってマイナスになるなら、抗がん剤を使わなければいい、ただそれだけのことです。」と明快だ。「治療目標があって、それに近づけるなら抗がん剤を使えばいいし、それに逆行してしまうのなら、抗がん剤は使わないほうがいいわけです。」と。あなたにとっての治療目標はなんですか、それが大切ですと訴える。これからどう過ごしたいか、どのように生きていきたいか、という目標があって初めて、どういう治療が自分に必要なのかが見えてくるのです。
なかには、次の抗がん剤をやるためにも、今の抗がん剤の副作用に耐えているという、抗がん剤をやることが目的になってしまっている患者もいます。抗がん剤は、あくまでも治療目標を達成するための手段であるのに、手段がいつのまにか目的になってしまっている方もいる。
これからどう過ごしたいか、どのように生きていきたいか、という目標があって初めて、どういう治療が自分に必要なのかを考えるべきではないでしょうか。
ここでは、HBM実践のための15箇条を紹介ておきます。
① 医療は自分のものであると心得る
② 生老病死ときちんと向き合う
③ 自分の想い、価値観や大事にしていることを医療者や家族に伝える
④ 治療目標を明確にし、医療者や家族とも共有する
⑤ イメージに惑わされず、うまく情報の波に乗る
⑥ 最低限のエビデンスとEBMのルールを知る
⑦ リスクとベネフィットのバランスを考える
⑧ 自分にプラスとなる治療を受け、マイナスになる治療は受けない
⑨ 医学の進歩と限界を知る
⑩ 緩和ケアを積極的に活用する
⑪ 医療者や家族とよく語り合う
⑫ しんどいときは、まわりに頼る
⑬ がんとうまく長くつきあう
⑭ 希望を持って生きる
⑮ 自分なりの幸せをめざす
「死ぬのが怖い」とはどういうことか
縁起でもない本を出して、と言わないでください。死を恐れて、そればかり考えていては免疫力が下がることは証明されています。また、がんが消えた奇跡的治癒例の多くは、死を受け入れ「あとは神様にお任せ」という、実存的転換の心境になった患者に多いという報告もあるのです。
奇跡的治癒例を世界に先駆けて研究したの池見酉次郎氏や中川俊二氏は、その症例のほとんどの患者に「実存的転換」というべき変化があったと報告しています。「実存的転換」の意味は中川俊二さんの言葉を借りると、『今までの生活を心機一転し、新しい対象を発見し、満足感を見出し、生活を是正するとともに残された生涯の一日一日を前向きに行動しようとするあり方』です。
前野氏は「死が怖いのはなぜか」を帰納的に説明しようと試みています。そして「死のシステムデザイン・マネジメント学」から、死ぬのが怖くなくなる方法を山登りに例え、頂上にいたる7つの推奨ルートがあると説明するのです。
- 心は幻想だと理解する道(脳科学の道)
- すぐ死ぬこととあとで死ぬことの違いを考える道(時間的俯瞰思考の道)
- 自分の小ささを客観視する道(客観的スケール思考の道)
- 主観時間は幻想だと理解する道(主観的スケール思考に道)
- 自己とは定義の結果だと理解する道(自他非分離の道)
- 幸福学研究からのアプローチ(幸福学の道)
- リラクゼーションと東洋思想からのアプローチ(思考の道)
前野さんは、死ぬのは「いや」だけれど、「怖く」はないという。哲学から脳科学までを動員して、帰納的に考えを展開する。本書の前半は帰納法と演繹法について「死」を考える。「死」を恐れないためには生は”クオリア”がつくりだした”幻想”であることを理解すれば良い、という結論に達したのです。
がんは引き分けに持ち込め
あなたに効く抗がん剤はありませんから、あとは緩和ですね」と言われても、「こんなに元気なのに」と諦めきれないのはあたりまえですよね。そんなときのひとつの選択肢が低用量抗がん剤治療です。我慢ができる程度の副作用になるように、患者それぞれに会わせて抗がん剤の投与量を減量し、生活の質(QOL)を保って治療が継続できる方法です。
休眠療法、メトロのミック療法、低用量抗がん剤治療など、さまざまに言われている治療法を行っている銀座並木通りクリニックの三好立先生の2冊目の上梓です。
本の内容については、↓でもっと丁寧に紹介しています。
抗がん剤治療の正体
上に紹介した三好立医師と同様、低用量抗がん剤治療をやっている梅澤充医師の著作です。
低用量抗がん剤治療については、エビデンスがない、人体実験だなどという多くの批判があります。エビデンスがあっても効果が実感できない薬、エビデンスはなくても効果が実感できる治療法。どちらが患者にとってありがたいかは自明でしょう。
ただ、残念ながら膵臓がんについての治療成績は、やはりよろしくないようです。
がん患者のためのインターネット活用術
私が膵臓がんを告知されてから、インターネット上で情報を集め、治療に役立ててきたスキルの集大成です。がん患者が、インターネットから情報を集め、整理し、活用するためのスキルとノウハウをまとめています。がん患者でなくても、仕事や日常生活でインターネットを活用するためには、それなりの情報リテラシーが必要です。そうした方にも参考になるはずです。がん患者にとって役立つインターネットの活用法、スキルを紹介しています。