【膵臓がん最新ニュース】再発率がわずか5%に?手術中の「標的放射線治療」が示す新たな希望
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「手術は成功したけれど、再発しないだろうか……」
膵臓がんの治療において、多くの患者さんやご家族が抱える最大の不安は「再発」ではないでしょうか。
今日は、そんな不安に光を当てる、アメリカからの希望あるニュースをご紹介します。
ジョンズホプキンス大学の研究チームが、手術中に「ある特定の場所」へピンポイントで放射線をあてることで、膵臓周辺での再発率を劇的に下げることに成功したという発表を行いました。
この記事では、その最新の研究成果をわかりやすく噛み砕いてお伝えします。
どんな治療法?「隠れたがん細胞」を狙い撃ち
今回発表されたのは、「術中(じゅつちゅう)標的放射線治療」という方法です。
これまで、進行した膵臓がんは血管に浸潤(入り込むこと)しやすく、手術で取り切るのが難しいとされてきました。しかし近年は、手術前に抗がん剤と放射線治療を行ってがんを小さくし、手術できるようにする治療が進歩しています。
今回の研究は、そこからさらに一歩踏み込んだものです。
- 手術前: 抗がん剤と放射線で、がんを小さくして血管から引き剥がす。
- 手術中: がんを切除した直後、お腹を開いているその場で、ロボットを使って放射線をあてる。
狙うのは「魔のトライアングル」?
研究チームは、膵臓がんが再発しやすい特定のエリアを突き止めました。それは膵臓の上にある神経や脂肪が集まった三角形の場所で、研究者はここを「ボルチモア・トライアングル」と名付けました。
がん細胞はこの「三角形」にある神経に沿って隠れていることが多く、ここが再発の火種になっていました。今回の治療は、手術中にこの隠れ家をロボットで正確に狙い撃ちし、徹底的に叩くというものです。
臨床試験でわかった「3つの希望」
この治療法を試みた臨床試験(対象:切除可能境界、または局所進行膵臓がんの患者さん20名)では、驚くべき結果が出ました。
1. 再発率が「5%」まで低下
これまで、似たような治療を行っても再発率は12%~47%ほどありました。しかし今回の方法では、術後2年時点で膵臓周辺に再発したのは20人中わずか1人(5%)でした。これは、この病状の患者さんにおいて、過去最も低い再発率と考えられています。
2. 狙いは正確だった
残念ながら再発してしまった1名の方も、再発場所はその「三角形」の一部(放射線が届きにくかった場所)でした。つまり、「どこを治療すれば再発を防げるか」という狙い自体は正しかったことが裏付けられました。
3. 「再発ゼロ」を目指して
研究チームのナラン医師は、「次は再発率を0%にできる」と語っています。届きにくかった場所への対策もすでに開発中で、さらに大規模な試験が計画されています。
この治療を受けられるのは?
今回の記事で対象となっていたのは、以下の条件に近い患者さんです。
- 切除可能境界(せつじょかのうきょうかい)膵臓がん
- 局所進行(きょくしょしんこう)膵臓がん
- ※診断時に血管への広がりがあるため、手術が難しい、あるいは手術前に治療が必要と判断されたケースです。
【注意点】
これはアメリカのトップレベルのがんセンター(ジョンズホプキンス大学)での研究結果であり、日本ですぐに一般の病院で受けられる治療ではありません。 しかし、「膵臓がんの局所再発は防げる可能性がある」という事実は、世界中の医療現場に大きな影響を与えるはずです。
まとめ:不可能が可能になる未来へ
「10年前には不可能と思われていたことが、可能になりつつある」
研究者はそう述べています。
膵臓がんは治療が難しい病気ですが、こうして「どこに隠れているか」「どうすれば叩けるか」が一つずつ解明されています。
主治医に聞いてみること
もし、現在手術前の治療中であったり、放射線治療を検討されている場合は、主治医との会話で以下のような視点を持ってみるのも良いかもしれません。
- 「手術後の『局所再発』を防ぐために、今の治療計画ではどのような対策がとられていますか?」
- 「放射線治療の範囲は、神経への浸潤なども考慮されていますか?」
このニュースが、闘病中の皆様にとっての「前を向く力」になりますように。
出典:CancerIT(海外がん医療情報リファレンス)「術中の標的放射線照射により膵がんの再発が減少」(2025年11月17日掲載)より要約











