誤診で膵臓がん、あるかも

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今日は出張先から書いています。宿のWi-Fi環境が悪くてネットが遅い。外は真冬の寒さです。

千葉県がんセンターで昨年末、病理検体を取り違えて別患者の乳房全摘という事故がありました。院内事故調査委員会の報告内容が報道されています。

検査量が2倍に増えているのに検査員は10人から3人増やしただけ。これには国の医療費抑制が大きく影響しています。「全国の病院病理部門に共通した問題である」と言及。「現状の医療政策のしわ寄せが病理部門にきているのは明白」と断言しています。

私たちにも無縁ではないです。政府はどこまで医療費を抑制するつもりなのでしょうか。

検体の取り違えなどのエラーについて検討した海外の論文(ArchPathol Lab Med.2011;135:969-74.)によると、1000件に1件の割合で検体取り違えエラーが発生しており、そのうち1%が臨床に何らかの影響を与えていた。

とも書かれています。エラーはゼロにはできません。個人の注意力では限界があります。

ということは、膵臓がんと診断されても、0.1%の確率で膵臓がんでないかもしれない。逆に「良性です」と言われても、油断はできないですね。「がんが消えた」のなかには、こうした誤診の例も含まれているのでしょう。

こちらの日刊ゲンダイの記事も、膵臓がんの”誤診”の話題。

膵臓がんの宣告を受け、治療を受けている人の中には、「がんではない人」が混ざっているかもしれない。

自己免疫性膵炎は膵臓に腫瘤ができる。そのため膵臓がんと間違われやすいのだが、別の病気だ。
「腫瘤ができるのは、免疫タンパク質の一種IgG4を作る細胞が異常に増えて炎症が起こることが原因。これは膵臓だけでなく全身に起こり、現在は『IgG4関連疾患』と呼ばれ、膵臓がん、胆管がん、悪性リンパ腫、下垂体腫瘍、乳がん、肺がんなど、腫瘤ができた場所のさまざまな悪性腫瘍と間違われやすいのです」

膵炎がある、過度のアルコールを飲む、喫煙、糖尿病のある人は、定期的に腹部エコーを受けましょう。超音波検査で多くの膵臓がんが早期に発見できます。

現時点では、膵臓がんを早期に発見するのはこの方法しかありません。ということで、長尾和宏先生が、1月10日にに膵臓がんで亡くなった竹田圭吾さんに関して、次のように書いています。
竹田圭吾さん生き方 治療の難しい膵臓がんと冷静に闘った

助かる範囲の膵臓がんを見つけるためには、無症状のうちに腹部エコーと腫瘍マーカー(CA19-9など)を半年ごとに調べるしかありません。
糖尿病患者さんなどハイリスクグループに入る人は半年ごとに腹部エコーを受けて下さい。何回受けても全く無害です。膵臓の中を通る管、膵管の拡張(通常は1ミリ以下のところ、2ないし2.5ミリ以上)ないし膵のう胞がたくさんある人に膵臓がんができやすいことが分っています。

私が膵臓がんが見つかったときも、検査技師さんに「他はいいから膵臓を丁寧に診てください」と言いました。エコーで膵臓を診るには横になったままでは難しいので、上半身を45度に起こす必要があるのです。熟練した検査技師さんなら知っているはずです。横たわったままエコーをするなら、その技師さんは熟練ではないと考えて良いでしょう。

話題を変えて、
健康食品販売「ナチュラリープラス」に業務停止命令が出されましたね。水素水「IZUMIO(イズミオ)」を販売している会社です。

「水素水」の効用として「がんに効く」と言ってしまったのですね。明らかに違法です。水素水は”がんに効果がある”ことは実証されていません。

「水素」で一歩先のエイジングケアをしませんか。水素水「イズミオ」は、水素溶存方式の改良を重ね、水素溶存率アップを実現しました。膜溶解法による水素溶存により、2.6ppmと業界トップレベルの水素溶存率。さらに、1億8,000万本を突破する安心の販売実績。皆さまに信頼され、愛される水素水「イズミオ」。たっぷりの「水素」をあなたに届けます。

とサイトにも書いています。しかし、水素の溶解度(上では溶存率と言い換えているが)の上限は、1気圧のとき1.57ppmなので、2.6ppmと書いた時点で、この会社には基礎的な知識がない、あるいは故意に騙していると分かりますね。

さて、早いけど<膵炎にならない程度に>焼酎を飲んで寝るとするか。


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誤診で膵臓がん、あるかも” に対して6件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    松沢さん、順調に退院されたようす、おめでとうございます。
    よく食べ、よく寝て、体力をつけて、心の平安に意を尽くしてください。それが再発の可能性を下げる一番の処方箋です。
    登山ですか、いいですね。頂上に立って眺める景色には、下手な抗がん剤以上の効果があると思います。
    これからもよろしくお願いいたします。

  2. 松沢 久 より:

    キノシタ様
    2/15に手術し、3/11(金)、がん研有明病院を退院する事が出来ました
    術後は、お腹の痛みよりも下痢(特に夜中)に困りました(安易に睡眠導入剤を飲んだことも間違いでした)
    入院中は、貴殿の仰る通り、廊下を歩く事を心掛けました
    さすがに階段の昇り降りはしてません
    今後も歩く事を忘れず、軽く登山するくらいまでなりたいと思っています
    この度はありがとうございました

  3. 松沢 久 より:

    キノシタ様
    2/15に手術し、3/11(金)、がん研有明病院を退院する事が出来ました
    術後は、お腹の痛みよりも下痢(特に夜中)に困りました(安易に睡眠導入剤を飲んだことも間違いでした)
    入院中は、貴殿の仰る通り、廊下を歩く事を心掛けました
    さすがに階段の昇り降りはしてません
    今後も歩く事を忘れず、軽く登山するくらいまでなりたいと思っています
    この度はありがとうございました

  4. 松沢 久 より:

    キノシタ様
    2/15に手術し、3/11(金)、がん研有明病院を退院する事が出来ました
    術後は、お腹の痛みよりも下痢(特に夜中)に困りました(安易に睡眠導入剤を飲んだことも間違いでした)
    入院中は、貴殿の仰る通り、廊下を歩く事を心掛けました
    さすがに階段の昇り降りはしてません
    今後も歩く事を忘れず、軽く登山するくらいまでなりたいと思っています
    この度はありがとうございました

  5. キノシタ より:

    バカ建築屋さん。
    検体の取り違えは論外としても、検査に100%はないのでしょう。また、研修医でも悪性、良性が分かるような教科書に載っているような症例なら迷うことはないのでしょうが、グレーの領域が存在します。結局は最終的な判断は、医師の経験と勘ですね。こう言って悪ければ、これまでの経験知と照らしてパターンマッチングさせて判断するのですね。
    病理をやっている甥っ子に「グレーで迷ったらどうするの? 安全側に結論を出すのですのか」と尋ねたことがありますが、これまでの経過と顔色や体調を全体的に見て、総合的に判断するんだとの答えでした。学閥によっても判断基準が違うのだとか。患者は悪性・良性は顕微鏡で見れば機械的に分かるものだと考えていますが、病理医次第で運命が分かれることは結構あるのです。
    グレーをまちがいなく判断できるのがプロということでしょう。それでも完璧は無理です。医療は不確実性に満ちています。現代の医学はこの程度のものだと受け入れるのが、唯一納得できる解決策ですかね。

  6. バカ建築屋 より:

    キノシタ様
    興味深い話題をありがとうございます。
    つい反応してしまいました。
    自分では悪性、4つの大学病院は良性診断で焦ってました。
    手術の2つ手前、近くの中規模な企業病院で
    内科よりはるかに知識が幅広い外科の先生は
    4マーカー正常でこの造影CTは変だってんで
    IgG4と超音波で悪性疑義症例と診断
    ERCPの為に医大病院へ転送してくれました
    勉強・研鑽してる先生にはわかると云う事でしょうか
    読図医とは別にご自分でも..と云う貴重な先生です。
    がん研有明で一時のお隣りさんは
    外科は造影CTでクロの疑い診断
    内科は胃カメラ超音波EUS/FNAで確定できず
    再度ERCP生検陰性とIgG4陽性(良性)で即日ご転院
    と云う事もありました。
    どちらも臨床ダブルチェックがポイントでしょうか
    技師や専門任せにしないと云うことですかね
    シロもクロも、切るも切らないも、診断難しいのですね

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