お薦めの記事
今日の一冊(114)「がんを抱えて、自分らしく生きたい」
「自分も自分の治療チームの一員として参加したい」。この言葉をブログでも何度か使ってきました。西先生も、この本の中で同じことを言われているので嬉しくなりました。
また「医療の民主化」。これもこの本が掲げるキーワードのひとつです。
医療に自分の生き方を合わせるのではなく、自分の生き方に合わせて医療を味方にして歩んでいってほしい、と語ります。それが医療の民主化を進めることにつながります。
インターネット上で活躍する医療者が増えています。皆さんそれぞれ、患者さんの利益のため、幸福のために頑張っているのですが、そのスタンスや考え方は微妙に違います。そういう目でこの本を読んでみることで、新しい発見があると思います。
血液中のがん細胞をレーザーで破壊する
この治療法は被験者として集められたがん患者28人のうち、27人のがん細胞を正確に検出することに成功しており、加えてがん細胞が静脈を流れる際には、高い確率でリアルタイムにがん細胞を破壊することに成功しています。
この技術はがんの転移を大幅に抑制できる可能性を秘めている。
転移性がんの元となる「循環がん細胞(CTC)」が安定する前に破壊することで、転移性がんの発症を抑制することが可能となります。また、単純にCTCがどの程度体内に存在するかを数えることができれば、医師は転移性がんについてより正確な診断および治療が行えるようになると考えられてきました。
低出力でのCTC検出モードであっても6人の被験者のCTCを破壊することに成功しており、「ある患者の体内では96%のがん細胞を破壊することに成功しました」とジャーロフ氏は説明しています。
闘病記『ステージⅣbからの脱出』
園田医師の最初の言葉が「私の治療法は標準治療ではないよ」というものでした。
当時の甲南病院のサイトには次のように書かれていました。
「下町ロケット」のごとく、革新的なアイデアに職人的な技術を加味した治療でがんの根治を目指します。
進行固形腫瘍に対する治療戦略として、次のように基本的な考え方をあげています。
1.寛解導入療法:固形がんは薬剤感受性が悪いので、治癒する前に薬剤耐性を獲得します。多剤併用、2週間ごとの集中治療と、がん腫により薬剤耐性克服剤の併用を行います。
2.局所療法:固形がんは治療後も縮小したがん細胞の塊が残存します。手術・放射線治療・Aポートによる動注療法等の局所治療を追加します。
3.維持療法:固形がんは、がんの幹細胞が多いため数年後に再発することがあります。緩解後も外来化学療法を長期に継続します。
「標準治療ではないよ」という中身は水田さんの治療歴を読めばわかります。
今日の一冊(113)「死に逝く人は何を想うのか」
佐藤由美子さんは、ホスピス緩和ケアを専門とする米国認定音楽療法士です。長年米国のホスピスで音楽療法を実践してきた方です。またブログ「佐藤由美子の音楽療法日記」も開設されています。
大切な人との別れは辛いものです。あまりの辛さに誰もが打ちひしがれてしまいます。
私たちは、死に逝く人の気持ちがわかりません。何かをしてあげたいのに、何をしたらいいのかが分からない。どうすれば末期の患者さんの心に寄り添い、サポートできるのだろうか。
佐藤さんの1200人以上の人生を見届けたホスピス音楽療養療法士の経験から、多くの実話を紹介して「見送り」に必要なことが説明されています。
これまで気づかなかったこと、なるほどそうなのかと言う内容が盛りだくさんです
基礎研究を充実して、免疫系の秘密に迫る
本庶さんは常々、このままでは若手の基礎研究者が育たない。文部省の科学研究費は少なすぎるし、すぐに応用につながる研究だけに目が向いているという趣旨の発言をしています。
オプジーボも、本庶さんの何の役に立つのかもわからない好奇心からの基礎研究が実を結んだものです。「経済効果」一辺倒の考えでは、画期的な発明など出てきましません。すぐに臨床に応用したがる傾向にも反対をしています。
昨年10月に行われた、ノーベル賞の受賞決定後の初めての講演後、次のように発言しています。
科学的根拠がない治療を「がん免疫療法」とうたい、自由診療で提供している医療機関も多い。講演後に会見した本庶さんは「(科学的に裏付けのないがん免疫療法を)お金もうけに使うのは非人道的だ。わらにもすがる思いの患者に証拠のない治療を提供するのは問題だ」と強調した。