代替医療と「ニセ抗がん剤」

23日の新聞各紙によると、中国から輸入した漢方薬を「最強の抗がん剤」としてインターネット販売していた薬事法違反(承認前医薬品の広告)の疑いで、東京都中野区の輸入代行会社「東洋漢方研究所」社長宮沢宏容疑者(43)らが逮捕された。宮沢容疑者は、「菅宏」という中国名を使って、さも漢方薬の権威であるかのような宣伝をしていた。

「すい臓がん相談センター」なるものがある。しかしこのサイト、がんの種類ごとに「●●がん相談センター」というWebがたくさんあり、しかもその連絡住所・電話先がすべて同じ番号であった。胡散臭い会社だなぁと思いながら内容を見ると、末期がんにさも効果がありそうな漢方薬がいくつも登場し、それぞれの症状に応じて使うべき薬の指定まで書かれている。漢方薬の価格も高価だ。報道された住所と同じであるから「東洋漢方研究所」の運営していたサイトに間違いないだろう。

今はこのサイトは削除されてしまって表示はされないが、こんな書き方で、専門知識のある親切なサイトであるかのように装っていた。

  • 膵臓がんは非常に悪性度が強く、進行の早いがんです。単独での抗がん剤治療が難しい場合があります。攻撃ばかりではなく、体の守りも行っていくべきです。
  • ジェムザール・TS-1を3~6ヶ月使用すると耐性ができてしまいます。その後、有効な抗がん剤は日本にはありません。ただ、世界に向けると標準的に使用されている治療薬が残されています。広い視野でがん治療に取り組むべきです。
  • がんのみの治療ではなく、体の治療及び本人の生活環境、精神的なサポートを統合した視点で考えてあげるべきです。
  • がんが縮小したことが、延命につながるかを考えるべきです。延命に繋がらないがん治療は意味がありません。判断基準を持っての取り組みを心がけるべきです。

書かれていることは概ね正しいのだが、彼らは、末期がん患者らにこの漢方薬を5万~45万円で販売し、2年半で約16億5000万円を得ていたという。

これ以外にも”藁をも掴みたい”がん患者を食い物にする業者・サイトがたくさんある。弱い者の弱みに付け込んで、命を悪徳金儲けの手段とするこんな人間は厳罰に処するべきだ。

しかし、国民の健康に責任を負うはずの厚生労働省が、薬害エイズ・C型肝炎などの問題でまったく責任を果たしていない。製薬会社と厚生労働省は、C型肝炎になっている可能性のある患者の氏名を把握していたにもかかわらず、知らしていなかったとは、『命すら申請主義なのか?』という怒りにどう説明するのだろう。悪徳業者と無責任官庁、この国もすっかり金が第一の風潮になってしまった。


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