定期検診

今日は3ヶ月ぶりの癌研での定期検診でした。CT検査はなしで、血液検査と主治医の診察だけ。

血液検査の結果は、ヘモグロビンA1Cの値が6.0で、正常値4.3~5.8を少し上回っているが、他の検査項目40個の全てに「異常なし」。膵臓癌になる前よりもよほど健康体です。

腫瘍マーカー、CEAもCA19-9ともに正常値の範囲内ですから、癌細胞はまだおとなしくお利口にしているようです。もちろん全ての癌細胞が手術で取り切れていて、残っていないのだという(私としてはそうあって欲しい)可能性もありますが、それは通常は不自然なことでしょう。切った腫瘍部が大動脈に近く、さらに上腸間膜動脈や下腸間膜静脈などの比較的大きな血管もあります。腫瘍がその数ミリ近くまで迫っていたのですから、血液に乗った癌細胞が"旅"に出ていることは考えておくべきだと思います。しかし近くのリンパ節は全て切除し、組織検査ではリンパ節から癌細胞は一切検出されていないので、仮に"旅"に出た癌細胞があったにしても少数でしょう。

白血球数が5000に上昇していました。手術前でも4000程度で、もともと白血球数の少ない体質ですが、自己免疫力の一応の目安となるこの数値が大きくなったことは嬉しいことです。自己免疫力を高めるためにいろいろなことにチャレンジしてきました。湯たんぽ療法が効いたのか、積極的に歩くことが効いたのか、ビタミンCやAか、それとも玄米菜食と黒ごま、あるいはヤクルトのプロバイオティクス効果なのか、サイモントン療法か、チェロの音が効いているのか。もちろん何が効いているのかは分かりません。相当数の同じ程度の病状の患者を集めて、上に書いた同じ療法をしてみれば、統計的に何が効いたのかが分かるかもしれませんが、癌患者の一人にどの療法が効いているかを特定することは難しいし、結局エビデンスなどというものは、患者本人にとってはあまり意味のないことです。要するに、効果がありそうで安全性に問題が無く、法外な金がかからなければなんでもやってみることです。『当たれば儲けもの』という考えでやってみる。高い薬だから効くということはないのです。化粧品と同じで、安い薬は効果も少ないという誤った常識があり、そうした心理につけ込む悪徳業者がたくさんいます。

ただ、膵臓癌の場合は時間がありません。いろいろと試している間にあっという間に症状が進展してしまいます。時間との闘いです。どの方法を選ぶかも寿命のうちと考えて、結果を受け入れることしかないでしょう。私も「これをやれば確実に治る」ということは書けません。現状で再発していないことが、どの効果によるものなのか、あるいは何もしなくても今の状態になっていたかもしれないし、逆に明日転移し再発するかもしれません。

「病院や療法を選ぶのも寿命のうち」と達観して、自分が選んだ方法に賭けてみる、その決意なしにサバイバーになることは難しいと思います。運が悪ければ、少し寿命が短くなる、いずれは何かの原因で死ぬはずの命が癌で死ぬ、それだけのことです。心のどこかに「まぁ、こんなものでいいか」という気持ちが持てるかどうかが、逆説的ですが、癌に勝つ心構えのように思います。『勝とうとしなければ負けることはない』という老子の教えに通じるのです。

「効果がありそう」かどうかは、自分で調べて判断する。そのために癌患者はいろいろな知識を学ばなければなりません。医者任せでは治るはずのがんも治らないことになります。医者は平均的な治療をしていれば、例えその癌が治らなくても責任を追及されることはないのです。しかし癌は、同じ組織の癌でも一人一人違います。癌は個性的です。統計で平均的には効かないはずの方法が、ある人には劇的に効果を現すということも珍しくないのです。

『魔法の弾丸』がどこかにないだろうか、と探している癌患者がたくさんいます。その気持ちはよく分かります。そんな心理につけ込む悪徳業者や巷で有名だといわれる医学博士がたくさんいます。そんな癌患者を食い物にしている連中の罠にはまらないように、自分の命に対して信念と責任を持つことにしましょう。


インシュリンを分泌するβ細胞、ランゲルハンス島が集中している膵体部や膵尾部を切除しているのに、どうしてインシュリンが正常に分泌されているのでしょうかと、今日の診察で聞いてみました。癌研の主治医の先生の答えは単純明快。『一般的にはそう言われていますが、膵頭部だけ残した患者さんでも、インシュリンを投与する必要のない貴方のような患者は珍しいことではないですよ。教科書にはそんなことは書かれていませんが』とのこと。癌研では年間50例以上の膵臓癌手術をしており、その何割かは私のように膵頭部を残した術式でしょうから、先生の言われるのは実体験に基づいた言葉です。これまでの疑問はこれで解決。

鼻の形が人それぞれ違うように、臓器の形や性格も人それぞれ違う。癌も人それぞれで個性的、ということが改めて分かったということです。


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