メラトニンについて(2)

メラトニンとストレス
マエストロらのマウスに対する実験では、マウスにウイルスを投与したのち、Melatonie
空気孔のあいた筒に閉じ込められたマウスにメラトニンを与えたところ、与えられなかったマウスは1週間以内に死亡したが、メラトニンを投与されたマウスはウイルスを撃退し、82%が生き残った。
コーネル大学のウータモーレンがおこなった二重盲検法の実験では、被験者の唾液中の免疫グロブリンAの値が、250%増加し、学内で流行していた風邪に対する免疫が確認された。

マエストロらは、ヘルパーT細胞にメラトニンのレセプターがあることを突き止めた。メラトニンがこのレセプターに結合するとインターロイキン-4と同種のサイトカインが放出され、NK細胞、細胞障害性T細胞、食細胞、B細胞らの主要な免疫系の細胞に刺激が連鎖的に伝達される。

ミラクルホルモン メラトニンの真実

メラトニンと癌
モントリオールに住むドーラは、甲状腺癌が肺に転移したことを1993年に知らされた。手術を拒否した彼女は、地元の医師の薦めで、毎晩6ミリグラムのメラトニンの服用をはじめたら、翌年の春の検査では肺の腫瘍は1センチ以上も小さくなっており、転移も見られなかった。奇跡的治癒の例としては、16歳の骨原性肉腫になった少年の例がある。メラトニンと放射線療法との併用で、すっかり腫瘍が消失した。
乳癌にメラトニンを投与する研究はPubMedでもたくさん見つけることができる。化学療法、放射線療法との併用で有意な結果を得たことが報告されている。

また、メラトニンは糖尿病を防ぐ効果があるとの研究もあります。グラナダ大学のCastroviejo教授らの研究では、メラトニン生産を停止した時点(マウスでは5ヶ月)からメラトニンを長期投与すると、加齢に関連したすべてのプロセスの影響を弱めると明らかにしている。
人間の場合は、30歳あるいは40歳ぐらいから毎日メラトニンを摂取すると、神経変性疾患(例えばパーキンソン病)そして糖尿病などの病気に関連した合併
症などの加齢に関連した病気、やフリー・ラジカルと炎症プロセスに関連した病気を予防したり遅らせる可能性があるとしています。PubMedで検索したこちらの論文でも、メラトニンがインシュリンの分泌に影響を及ぼすことが示されています。

否定的見解

メラトニンの服用に否定的な意見もあります。メラトニンはこれまでのと
ころ重篤な副作用は全くないとはいっても、長期間の服用による影響は未知数であることが主な否定的意見です。また、メラトニンが人体で生産されるホルモンであるがゆえに、長期間の服用は慎重にするべきだという意見もあります。遅れてから副作用が知られることとなったサリドマイドのことを考慮すべきだということです。もっともサリドマイドは今ではがん治療にも使われて効果を上げていることは知られるべきでしょう。薬はいつの場合も毒になり得るということです。

アンドルー・ワイルは、彼の処方するサプリメントにメラトニンを含めていませんが、メラトニンを勧めない理由を次のように言っています。

メラトニンはごく少量で効果のあるホルモンであることに留意すべきである。大用量を服用した場合の副作用に関して、私たちはまだ少しのことしか知らない。メラトニンは化学療法との併用で生存率に一定の効果があることは示されている。また化学療法の副作用も低減することも知られている。標準的治療では助けられなかった進行癌患者に対して、残された選択肢の一つであることを信じている。しかしながら、高用量、長期間の服用についての安全性はもっと研究されるべきである。


メラトニンを服用すべきか?

  • 優れた抗酸化作用がある
  • 重篤な副作用は報告されていない
  • IL-2とメラトニンとの併用で腫瘍縮小効果・延命効果がある(主として乳がん)
  • メラトニン単独では、腫瘍縮小効果は少ない、あるいはほとんどない

長期服用による副作用があるかもしれないが、膵臓癌患者にとっては5年後、10年後の副作用は考える必要はないでしょう。なぜならそれまで生存している可能性は非常に小さいからです。再発予防効果についての大規模なエビデンスはないし、今後も出てこないでしょう。先に書いたように、特許の取れないメラトニンの大規模な治験がおこなわれる可能性はほとんどないからです。

健康な人がメラトニンを長期に服用することは、慎重に考えるべきでしょうが、癌患者が、これまでに知られている研究にも関わらず、メラトニンの服用を躊躇することはもったいないような気がします。日本の医学界がどうしてメラトニンに関心を示さないのか不思議です。自然界の存在する物質ですから、研究者の成果には繋がらないからでしょうか。

サプリメントや代替医療全般に言えることですが、100人に1人に対して効果があるサプリメントが100種類あれば、運良く自分に合っているものに当たれば100人全員が恩恵を受けることができるのです。現にクレスチンなどは抗がん剤として認定されているが、キノコ由来のサプリメントです。しかし、巷には高額なサプリメントをあたかも万能であるかのように宣伝している業者も多い。自分で調査し、考え、不十分ではあっても科学的な根拠に基づいていると思われるのであれば、自己責任で決定するべきでしょう。

決してこのサプリメントを勧めているわけではありません。私が調査し、考え、今の時点で思っていることを書いているだけです。書かれた内容についても、素人の判断ですから鵜呑みにしないでください。


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メラトニンについて(2)” に対して2件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    陶さん。私は3-6-9-20mgと徐々に増やしてきましたが、悪夢はおろか、夢一つみないで、ぐっすりと寝られるのが唯一の副作用でした。サプリメントも効果は人それぞれですね。無理をしないで、心の声に従いながらというのが良さそうです。ビタミンDも最新の安西さんのブログで書かれていますが、摂りすぎると返って膵臓がんのリスクが増加するという研究結果が出たそうです。食物も同じですが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」ほどほどにしておくほうが無難でしょう。「物」に頼る治療法・健康法はやり過ぎになりがちかもしれません。抗がん剤しかり、食事療法しかりです。「まぁ、こんなもんでよいか」というのが私の信条です。

  2. より:

    メラトニンの副作用
     ここでの記事を参考にしてメラトニンというサプリメントを服用して丸1週間が経ちました。
    キノシタさんの記事にあるとおりアメリカでは普通に売られているサプリメント ― 特に睡眠障害のある人に効果のある、自然な成分
    (脳の松果腺から出ているホルモン)を合成して作られた睡眠補助剤で、時差ぼけの調整のほか老化防止やその抗酸化作用から
    がん細胞の抑止効果があるとされています。しかしながら、そもそも体内にあるホルモンなので、特許を取ることができず、そのため
    儲けが見込めない製薬会社が研究投資をしようとせず、研究がある段階からはまったく進んでいないと言われています。
    多量に飲んでも人体に害がないとのエビデンス(オランダでの観察結果あり)もでていて、また副作用もほとんどないとされています。
     ただ、
     私個人の内服体験で言いますと、メラトニン服用後から毎日(朝方)悪夢といいますか、不快な夢を見続けるようになりました。
    調べてみますと、Wikiのメラトニンでも副作用の一番手に「悪夢」が挙がっていました。メラトニン、副作用(またはメラトニン、悪夢)で
    検索しますとかなりの数がヒットし、メラトニンの副作用として悪夢があることが分かります。この副作用がでるのは5人から6人に一人
    くらいの割合でしょうか。
     無から有(=悪夢)を生むのか、薄い夢を悪夢として強く映し出すのか、その機序については分かりませんが、一部の人だけとはいえ
    やはり薬(?)ですから副作用はある、ということだと思います。ただし、服用を止めることと連関して悪夢もおさまってはじめて副作用と
    断定できるわけですから、しばらくは様子見です。

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