テラ、慶應医学部と進行膵がんに対するWT1樹状細胞ワクチン療法の共同臨床試験

1月6日のニュースですが、テラ(株)と慶応大医学部が共同でWT1ペプチドワクチンの第一相試験を実施するとアナウンスされています。首都圏でWT1ペプチドワクチン療法を受けられる機会が増えます。

テラ(株)ニュースリリース

テラ株式会社、慶應義塾大学医学部と共同臨床試験を開始
~進行膵がんに対する抗がん剤を併用した
WT1ペプチド(※1)を用いた樹状細胞ワクチン療法(※2)の第I相臨床試験~

 テラ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:矢崎 雄一郎、ジャスダック上場(2191)、以下「当社」)は、この度、慶應義塾大学医学部と共同研究契約を締結いたしました。
 
この共同研究契約に基づき、当社は慶應義塾大学医学部と共同で、進行膵がんを対象として、抗がん剤(塩酸ゲムシタビン(※3))を併用したWT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法に関する共同臨床試験を開始いたします。この試験により、本療法の安全性評価を行ってまいります。
 今後は、慶應義塾大学病院における本療法の先進医療(※4)への申請について、両者で協議を進めてまいります。

 我が国のがんによる死亡者数は年間30万人を超え、死因別死亡率の第1位(※5)となっており、羅患数、死亡数とも増加傾向が続いています。がんの死因の中では、膵がんは、肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がんに次いで第5位となっています。
 
膵がんは難治性がんの一つで、極めて予後不良な疾患です。膵がんにおいては、多くは発見後1年以内に死亡し、発生数と死亡数がほぼ同等となっているのが現状です。進行膵がんにおいては、局所進行例では放射線化学療法が、また遠隔転移例では塩酸ゲムシタビンによる抗がん剤治療が、標準治療として位置付けられています。しかしながら、進行膵がんに対するこれらの既存の標準治療には限界があり、樹状細胞ワクチン療法は、この限界を打破する新規治療法として期待されています。
 今回の共同臨床試験は、進行膵がんを対象として、塩酸ゲムシタビンを併用した、WT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の第I相臨床試験を実施し、その安全性を確認することを目的としています。
 
今回の共同臨床試験は、慶應義塾大学医学部外科学(一般・消化器)の北川雄光教授が、試験代表医師としてこれを統括・実施し、慶應義塾大学医学部先端医科学研究所細胞情報研究部門の河上裕教授が、免疫学的解析を行います。樹状細胞ワクチンの作製および投与は、テラの契約医療機関である、東京ミッドタウン先端医療研究所(※6)の協力のもと実施してまいります。
 当社は、WT1ペプチドの樹状細胞ワクチン療法における独占実施権、樹状細胞ワクチン療法の技術・ノウハウ及び各種基礎データを保有しており、これらを本共同臨床試験に提供いたします。
 
当社と慶應義塾大学医学部は、今回の共同臨床試験において、進行膵がんに対する塩酸ゲムシタビンを併用した樹状細胞ワクチン療法の安全性を確認することで、本療法の科学的根拠に基づいたデータの構築を進めてまいります。また、今後は慶應義塾大学病院における本療法の先進医療への申請について、両者で協議
を進めてまいります。
 当社は、この臨床試験を通じて、より良い治療法の提供に取り組んでまいります。

【※1】WT1ペプチド
 
WT1ペプチドとは、大阪大学の杉山治夫教授等によって発見された、ほぼ全てのがん(血液がんも含む)に存在する、世界でも有名ながん抗原(がんの特徴)と呼ばれる物質の一つです。この物質を用いることによって、より多くのがん患者に対して樹状細胞ワクチン療法を提供することが可能となりました。

【※2】樹状細胞ワクチン療法
 
本来、血液中に数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養
し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの特徴を持つ物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させる新しいがん免疫療法をいいます。「がんワクチン療法」のひとつであり、患者自身の細胞を用いてがん細胞だけを狙うため、副作用はほとんどないと言われています。

【※3】塩酸ゲムシタビン
 ジェムザール(R)(商品名)。膵がん、胆道がん等に対する治療薬として保険適用されている抗がん剤です。作用機序としては、DNA合成を直接的及び間接的に阻害することで、細胞死を誘発します。

【※4】先進医療
 
最新医療技術の中で、安全性と有効性が確認され、将来的な保険適応を検討されるものとして厚生労働省が承認し、保険診療との併用が認められた医療技術です。先進医療に係る治療費用は全額自己負担となりますが、それ以外の診察、検査、投薬、入院等の費用については公的医療保険が適用され、いわゆる「混合診
療」が認められます。

【※5】がんによる死亡者数
 出所:平成20年人口動態統計の概況(厚生労働省大臣官房統計情報部)

 ■死因別死亡率の割合(平成20年)

  *添付の関連資料を参照

【※6】東京ミッドタウン先端医療研究所
 2010年2月に設立。樹状細胞ワクチン療法などのがん治療に加え、人間ドック、日帰り外科手術等を行う。
 ■住所 〒107-6206 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー6F
 ■所長 田口 淳一

【テラ株式会社について】
 ■社名 テラ株式会社 [英名]tella,Inc. [証券コード]JASDAQ 2191
 ■住所 〒102-0083 東京都千代田区麹町四丁目7番地2 サンライン第7ビル7階
 ■設立 2004年6月
 ■資本金 418百万円(2010年9月末)
 ■代表者 矢崎 雄一郎
 ■従業員数 44名(2010年9月末時点)
 ■事業内容 樹状細胞ワクチン療法の研究開発、樹状細胞ワクチン療法等の技術・ノウハウの提供、再生医療の研究開発


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