ウルフキラーを付けてみた

私のチェロ、ゴフリラーも購入して1年になるので、ずいぶんと音がこなれてきた感じがする。響きが良くなり鳴るようになった。そのためなのか、ウルフトーンが以前にも増して出るようになった。G線のE、F、F#で唸るような、まさにオオカミの遠吠えのような振動が出る。D線のF付近でも出るが、こちらはそれほど気にならない。やはりウルフキラーが必要かなとネットで検索したら、これは良いかもというものに出会った。

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長谷川陽子さんが、ご自身で使ってみてお勧めだとブログで紹介している。一般に出回っているウルフキラーはゴムを使ってあるため、ウルフトーンは抑えられても音が変わってしまうので、長谷川さんは使わないできたが、このウルフキラーは音の変化が少ないのだという。彼女のチェロもゴフリラーであるので、これはいいかもしれない。品物は大阪にある見附精機工業(株)が作っている金属削り出しの手作り品、ピュア・ブリランテ。3000円とまあまあの値段か。早速注文したら丁寧にも速達便で送っていただいた。

溝がS字状に掘ってあり、構造はシンプルで他のウルフキラーのようにねじもなければゴムも使っていないで、溝に弦をねじ込んで取り付けるようになっている。早速G線に取り付けて最適な位置を探してみる。私のチェロでは駒に近い位置でもっとも効果があることが分かった。チェロによって最適な位置は違うらしい。
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効果のほどは、完全に消えるというわけではないが、弓の当て方を加減すれば気にならない程度にはなるようだ。

チェロのウルフトーンを物理学的に解析している「チェロの力学」という面白いサイトを見つけた。手作り楽器工房ミネハラが開いているサイトで、ウルフキラーを振動解析して原理的に説明している。機械工学で、振動が起きては困る場合に、ダイナミックダンパーという減衰装置を使う。この原理を簡単に言うと、振動を止めたい周波数に共振する振動系(振動しやすい部分)を敢えて付けると、その振動が止まってくれるというものである。この原理(仮説)からウルフトーンの発生メカニズムを推定すれば、次のようになる。

チェロを弾く時の振動数(演奏している音程)が、チェロの裏板の特に振動し易い部分の固有振動数に合ってしまう場合(Eの165Hz~F#184Hz)には、裏板の振動による反力が表板の振動を打ち消すように作用してしまう。これはつまりダイナミックダンパーが架かってしまうということであり、その結果かすれた音になってしまう。これがウルフトーンである。

ウルフトーンを消すためには、駒とテールペース、その間の弦、弦に取り付けたウルフキラーをひとつの振動系と考えて、この振動系の固有振動数がウルフトーンの振動数になっていればよい。

ウルフキラーはウルフの出ている音が駒の振動を殺してしまうことに対して、駒の振動にウルフキラーの振動を加算して、駒の振動を助けてやるもの。したがって、ウルフキラー としては、できる限り軽くて短いものがよい。

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ということは、ピュア・ブリランテは15gと結構な重さがあるが、上の仮説が妥当だとすると重すぎるのではないかとの疑問が生じる。それでもうひとつのウルフキラー(ウルフ・エルミネーター)を試してみることにしたが、こちらはまだ到着していない。4g程度の軽さなので期待できるかもしれない。

とまあ、このように物理学を使って原理的に説明してくれますが、どの位置に取り付けるのがよいのかは、実際に試行錯誤しながら、ウルフトーンのもっとも小さくなる位置を探す方が合理的です。ウルフトーンが出るチェロは良く鳴るチェロであり、良い楽器である、ある程度はしようがないということらしいです。

あれこれと考えていると”ウルフ・シンドローム”になりそうな気もする。

 


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