靖国参拝で四面楚歌状態

膵臓がんの術後1年ほど経ったころ、いずれ再発して死に至ることになるかもしれないからと、田舎にある墓を東京に移す決心をしました。納骨室を開けると、かび臭い空気の中にあった骨壺の一つが、太平洋戦争で戦死した叔父のものでした。「昭和十九年十月没 享年二十一歳」と書かれてあります。蓋を開けると、中にはいくつかの石ころがビニール袋に包まれて入っているだけでした。戦死した場所も日付も不明です。日本軍の戦死者の6割が餓死で亡くなっています。それ以外はマラリアなどの病気によるもので、実際の戦闘で亡くなった兵士は1割にも満たないのではないでしょうか。補給路を断たれた挙げ句の、軍指導部の無茶な作戦で犬死にしたのです。

決して「祖国のために闘った英霊」ではありません。侵略戦争に借り出された犠牲者です。また、それ以上に何千万人というアジア地域の国民が日本軍の犠牲になっているのです。

一年前には飛ぶ鳥を落とす勢いだった橋本氏の日本維新の会も凋落ぶりが激しいです。そのきっかけは橋本氏自身の「従軍慰安婦」発言であり、歴史認識の貧しさと右翼的体質が凋落のきっかけとなりました。いま安倍晋三が同じ轍を踏もうとしているようです。靖国神社参拝に対して中国はもとより、韓国台湾からも反発を食らい、アメリカからはその日のうちに「遺憾」ではなく「失望している」という、同盟国の首相に対しては過去に例のない強い口調で公式声明を出しました。EUも同じように声明を出しています。27日付けのニューヨーク・タイムズは、国際面のトップに「神社への参拝によって日本のリーダーは平和主義から離脱する姿勢を鮮明にした」という見出しの論説記事を掲載しました。まさに四面楚歌状態です。

ドイツがナチスの戦犯の時効を認めず、徹底的に追求して今日の欧州での信頼と地位を築きあげたのとは対照的に、日本は戦争前の「日本を取り戻す」としているようです。橋本氏と同じ「躓き」の一?となるに違いありません。

囚われない練習 ~人生を変える禅の教え

囚われない練習 ~人生を変える禅の教え

平井 正修(全生庵住職)
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中曽根氏ら歴代の首相が座禅を組みに通っているという、谷中にある全生庵の平井正修住職の『囚われない練習』の帯に、安倍晋三氏が推薦文を寄せています。「求めない。だから手に入る。平井住職との交わりをきっかけに、私は私の道を行く心を決めました」とあります。その「道」は、国民には負担を強いる一方で、富めるものには更に優しく、隣国とは一戦交えても良いとし、そのためには「潔く国のために命を捧げる」ことを「求めている」ようです。座禅の最中におどろおどろしい想念が渦巻いていたのでしょうか。禅の心を取り違えているようです。

今年もコンサートで「第九」を聴くことができませんでした。今日はCDでフルトヴェングラー指揮、バイロイト祝祭管弦楽団のベートーベン 交響曲第9番「合唱付」を聴いています。

第二次世界大戦で中断していたバイロイト音楽祭の復活祈念コンサート(1951年7月29日)のライブ録音です。最初にフルトヴェングラーの足音が収録されています。モノラル録音ですが、戦争が終わり平和が到来した喜びが背景にあり、特に第三楽章の出だしからの透明感あふれる演奏、終楽章のコーラスとともに盛り上がっていく高揚感は、今後二度とこの感動的な演奏は再現され得ないだろうとさえ思えます。

歴史の教訓を学ばない者の末路は哀れです。

こちらのCDは第二世代復刻版です。ノイズが除去されて驚くほどの音質に生まれ変わっています。

ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱つき》[バイロイトの第9/第2世代復刻]

ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱つき》[バイロイトの第9/第2世代復刻]

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