大学教授がガンになってわかったこと

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帯に『大腸ガンと膵臓ガンの経験を踏まえ、「賢いガン患者」になるための秘訣を伝授』と書かれている新書を本屋で見つけました。なんとまぁ、私は直腸がんでしたが、この方はS字結腸がんで、どちらも大腸がんには違いない。膵臓がんのステージはたぶん同じステージⅢではなかろうか。

山口仲美さんの『大学教授がガンになってわかったこと (幻冬舎新書)』です。「大学教授」を冠するところは幻冬舎らしいと言えば”らしい”ですね。日本語の歴史を研究されて、2008年に紫綬褒章を受賞され、日本エッセイスト・クラブ賞も受賞されている方です。さすがに文章は読みやすく、一気に読みました。

大学教授がガンになってわかったこと (幻冬舎新書)

大学教授がガンになってわかったこと (幻冬舎新書)

山口 仲美
880円(01/21 14:30時点)
発売日: 2014/03/28
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大腸がんのときには、「日本一の内視鏡検査の権威がいるから、紹介してあげる」とか、著者の面識の広さから、いくつかの選択肢が挙げられているのですが、それが返って病院選びに迷うことになっているようです。我々普通の庶民には迷うほどの選択肢はないので、特に地方に住んでいればなおさら、近くの少し大きな病院程度の選択肢しかないのですよね。「個室が良いか大部屋か」では個室の優位性を書かれているのですが、これも貧乏患者には縁のないはなしです。

腹腔鏡下手術でリンパ節に転移なし、早期癌で無罪放免、となるのですが、3年後の検診で腫瘍マーカーCA19-9の異常が見つかり、膵体部に15mmの腫瘍があると診断されます。民間療法でなんとかならないだろうかとの淡い期待と、できれば手術はしたくないとの思いもあり、近藤誠氏の中学時代からの友達だという同僚からの紹介で、K先生(近藤誠氏)のセカンドオピニオンを受けることになります。「超売れっ子のK先生」と書かれているように、近藤先生も多忙なのか? しかし、「近藤誠がん研究所」の予約カレンダーはいつでも予約可能の状態ですが。

そういえば、最近Twitterでは石原メソッドでがんが治ったというムラキテルミ氏が話題になっていますね。石原結實先生も超売れっ子で、診察が3ヶ月待ちだとか。余命3ヶ月のがん患者には間に合わないよね。近藤誠先生も石原結實なみになってきたか。

で、近藤氏は、

K先生は、私の顔をあまり見ず、また膵臓の状態もあまり聞かずに、データもほとんど見ずに、顔を両手でこすりあげながら、言いました。

「膵臓ガンは手術しても助からない。手術はしなくてもいいでしょう。まあ、そのままにして余命に任せるのがいいでしょう。」

とのご託宣です。案の定です。紹介状も検査結果もなくてもよいとの評判ですからね。データも見ないのならそりゃ必要ないですわ。

膵臓がん患者は、このままにして死になさいということです。著者も近藤氏の言葉に手術を止めようかといったんは考えるのです。学歴の高い患者ほど近藤氏の言葉に心酔する傾向がありますね。しかし、アップルのジョブズのことなども思い起こして、手術を受けることになります。

手術後は同じ外科医の抗がん剤治療を受けることになるのですが、その医者の言葉にまた深く傷つきます。

「病理検査の結果は悪性のガンでした。浸潤性膵管ガンですね。細かい血管、リンパ管、神経内にがん細胞が浸潤している状態でした。最悪のシナリオですね。」
「あなたは手術ができたということで、3割の人の中に残っただけです。手術をできた人でも、再発を防止する手段はありません!」

「自分だけは何としても生き延びようと思ってさまざまのことを試みる人に限って、不思議なことに死ぬんですな。」

こんなにずけずけという医者もめずらしいですね。患者の気持ちをまったく忖度しない担当医に、著者は落ち込んだり怒ったり、最後はこの医者の元を離れる決心をすることになります。

でも、この医者の言っていること自体は、私は真っ当なこと、言いにくいことをはっきり言っているのだと思います。

「再発しないためにさまざまのことを試みる。サプリメントを飲むとか食事療法とか。でも、たいていダメなんです。それよりも、生き延びようなんてことを忘れて、一日一日を大切に生きる。調子が良くなってから、あれをやろうなんて考えてはいけない。調子が悪くても、やりたいと思ったことは直ちに実行する。それが、結果的にはいいんですな。」

これは、奥の深い言葉ですよ。心の有り様、平安が一番大切だということなのです。「治りたがる患者は、治ることは希である」などと、私もブログでも同じ主旨のことを書き続けてきましたからね。ただ著者は、”一日一日を大切に生きるなんて、私の寿命はそんなに短いのですか?”と逆に受け取ってしまうのです。

まぁ、無理もないか。膵臓がんの余命は月単位ですが、患者になりたてで、それを実感しろというのも無理かもしれません。済陽式とかフコイダンとかを取り入れるのですが、文系の著者にはエビデンスを調べるという動機が希薄なように思われます。

いろいろ書いてきましたが、参考になる記述も随所にあります。運動の大切さを強調しているところなど、多くのがん患者にも読んで考えて欲しいものです。

大腸がんも膵臓がんも罹患し、たぶん同じステージですので、著者に親近感がわいてきます。術後2年になりますね。なんとか治って欲しいと祈っております。


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大学教授がガンになってわかったこと” に対して1件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    林様。貴重なコメント、ありがとうございます。
    近藤医師の主張に従えば、私は生きていないし、完治もしていないはずですよね。膵臓がんは全て本物のがん=治らない、はまさにいかさま理論です。
    代替医療は科学的に証明されたものは一つもないが、かといって無視するのも勿体ない。少なくともプラシーボ効果はあるのでしょうから、患者が納得して選ぶのならフコイダンだろうが、済陽式だろうが、私は良いと思っています。私が選ぶことはありませんが。
    今後ともよろしくお願いします。

  2. より:

    キノシタ様
    何時も有益な情報有難うございます。私も日経で山口さんの本を見つけて購入致しました。癌患者となった時誰もが考えること、どの病院、医師、治療法をどう選択していくか
    どの代替療法を取り入れるのか、皆さんが、まずぶち当たる壁かと思います。
    近藤医師の言うように、がんもどきは治療の必要なし本当の癌は何をしても治らない
    これでは医学の進歩もなければ、運命に立ち向かっていく患者の希望も何も無くなると思います。やはり医療は本来サービス業であるべきで、医療の質、医師のスキルの高さ、いかに結果を出しているかで公的なランキングもあるべきかと思います。
    癌との闘いのプロジェクトリーダーは自分自身で、病院、治療法は徹底的に検証して
    自分自身で選択していくべきかと思います。世の中人の弱みに付け込む癌ビジネスが
    横行していますが、そんな中キノシタさんのブログは、生き抜いていくための羅針盤の役割を果たされているかと思います。これからもご教示宜しくお願い致します。

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